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アオマスの小説

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どんな一面にも些細な物語が存在する。それを上手に掬って、鮮明に描いていく。文士を目指す蒼日向真澄によって紡がれる短編集です。
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2023年2月の記事一覧

サヨナラ、日曜日 (過去作小説)

 僕は日曜日の午前中になると、決まって近所にあるカフェ、『ブルーノ』へ行く。シックで落ち…

蒼乃真澄
1年前
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夜明けまで(6)

 目の前に置かれた黄色い楕円形から、バターの香りがする。それを囲む丸い線は、皿だった。も…

蒼乃真澄
1年前
12

夜明けまで(5)

「沙耶香」  今度は沙耶香の意識に入り込んだらしい。先ほどより驚くことはなかったが、それ…

蒼乃真澄
1年前
12

夜明けまで(4)

「私は愚者だ」  ピアニッシモの明かりは消えた。真っ暗な世界で聞こえるのは、いつも穏やか…

蒼乃真澄
1年前
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夜明けまで(3)

 深夜に浮かぶ煙は姿を見せない。ただ、忌々しい匂いだけが夜風に吹かれて漂っている。 「孤…

蒼乃真澄
1年前
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夜明けまで(2)

 私は男である。しかし、女でもある。ただ、トランスジェンダーではない。だから正直なところ…

蒼乃真澄
1年前
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夜明けまで(1)

 どうしても死にたいときはある。  それは彼女に振られたとき、そして彼に捨てられたとき。  いつだって波の音は消えない。永続的に、そして怠惰的に行ったり来たりを繰り返すだけだ。私はその波に向かってあぐらをかいて、頬杖をついて眺めている。 「この世にいるすべての人間が消え失せようとも、海は穏やかにさざめくだろう」  私の隣で、誰かが言った。しかし私はその正体を確認しなかった。風かもしれないし、幽霊かもしれない。はたまた自分自身かもしれない。 「私は、得体の知れない海に飲