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もと鳥取市歴史博物館学芸員・やまびこ博士こと佐々木孝文による城跡や近代文化史に関する論考等を、不定期に掲載していきます。
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#幽霊

賀露神社所蔵『吉備大神遊碁御影』に描かれた場面
ー阿倍仲麻呂の幽霊姿を通してみるー

賀露神社所蔵『吉備大神遊碁御影』に描かれた場面 ー阿倍仲麻呂の幽霊姿を通してみるー

(鳥取県立博物館展覧会図録『はじまりの物語』【2008.10・完売】に寄稿。縦書現行なので数字表記が漢数字中心になっています)

一.紙本彩色『吉備大神遊碁御影』について 鳥取市の賀露神社に、『吉備大神遊碁御影』と題する、一幅の不思議な画幅が所蔵されている。この画幅についての記録は残っておらず、落款はあるがやや雑に押されているため判読が困難である。本稿執筆のため、筆者も短時間ながら閲覧の機会を得た

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「性差」からみる近世社会の一局面    ―前期怪異小説の「うわなりうち幽霊説話」を素材として―

(処女論文です。The若書き、というイメージ。お恥ずかしい限りですが。関心の所在とか方法論の祖型はあるので、一応公開。掲載は『文化史学』 51号,1995)

1、はじめに

 現代社会学において、社会とは「各人の心情のうちに「内化」しつつしかも同時に外にあるもの(客体)」であると言われる(1)。このような定義は、現代社会のみならず、歴史上のどのような社会にも当てはまるものであろう。そのように考え

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