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父の人生を変えた『一日』その79 ~建設業の現状~

その79 ~建設業の現状~
 大型物件は地方の電気工事会社では受注できないような雰囲気を感じた。大きな金額なると資金力・与信力・施工力色々と出てくることは間違いない。長岡に着いた時点方その辺のことが気になっていた。ライオンはたまたま総合商社にいただけに金額の大小には余り気を留めてなかった。営業本部長が私の前で曰く。6億円は最高の金額です。電気の6億円は建設業の60億円に匹敵します。電気業界はそんなものかと思った。たいしたことないなと思った。
 100億円の建設を作ると1割が電気工事、設備が1割5分位圧倒的に建設部分の金額的に大きく締めるのである。発注形態にもよるが包含で一括なら全てゼネコンが受注し電気屋も設備屋もゼネコンの下で虐められあくまで下請けなのである。最近は「乾いた雑巾を絞るゼネコン」と言われるほど下請けを虐めながらゼネコンの担当は威張りまくっているのである。幸いなことに電気工事に置いて官庁関係は分離発注であり下請けではなく元請けになれるのである。中には専門職で永久に下請けした出来ない建築業の業種もあるのである。
『何かを変えねばならない』とライオンは考え始めていた。地方の電気工事会社でもやれるかどうかの見極め今までの慣習を変えられる何かがあるとライオンの嗅覚は感じていた。


~倅の解釈~
 親父は全く畑違いのマーケットから「建設業界」に飛び込んできた。商社と建設業界の絶対的な差は「物売り」と「モノづくり」の差であると思う。物売りはとにかく売上にこだわり、商品をいかに売り込むかを徹底的に考える。反面、モノづくりはいかに制度の高い建設構造物を施工して、技術力を武器とした信頼商売である。
 ただ、どんな業界にも商売にも共通していることは、需要と共有という経済の仕組みがあるように、必ずそこには「営業」と「受注」という仕組みがある。いくら技術力が高く最高の施工物を世に出しても、この技術力を発信して、PRする営業力が無い限り難しい時代に突入している。
 親父はゼネコンを総合コンダクターとして下請けいじめ的な記載をしているが、今の時代はそうとは限らない。特に地域に根差した地域ゼネコンは「協働」で建物を受注するというスタンスの方が強い。
 企業規模、技術力、財務力で建設業界のキャパシティーが決まってしまうという記載にも時流に伴い変化が出てきている。特に営業力のある企業に関しては、企業規模問わず、売上と利益を上げる営業力を磨いている。ここが弊社にとっての大きなカギだと私は考える。いかにさらに営業力を先鋭化させるかである。営業力=対応力。ブラック企業と言われるかと思うが、営業たるものは365日24時間対応できないと本物ではない。自身の営業に魂を込めて命を懸けて仕事を受注する。こんな楽しい仕事は無いと思う。なかなか働き方の改革ということで難しい時代に突入しているが、本質は変わっていないはず。戦後、日本が復興を遂げることが出来た先人たちが残してくれた精神性を今一度思い返したい。


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