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父の人生を変えた『一日』その20 ~アメリカ大統領と接見~

その20 ~アメリカ大統領と接見~
 シアトルに米国大統領ロナルド・レーガンが日本と中国を親善訪問する事になった。シアトルを出発する前に日本向け貿易・中国向け貿易を見学することになった。たまたまシアトル近郊のタマコ港で㈱トーメンの木材船が材木の詰め込み中であった。偶然にもそこに大統領が来ることになった。
3メートルおきにSPが張りつめられレーガン大統領は来たのである。ハイ、ジャパニーズボーイと言って私に声をかけてきた。
「I am very honored to meet you sir」「大統領にお会いできて誠に光栄です」
と言って固い握手をレーガン大統領と交わした。外人の友達まで私を羨ましがっていた。その後この木材は日本で何に使うのかと2~3の質問をされて私が答えて大統領は納得され理解され満足げな顔をしてにこりと笑った。一緒に撮った何枚かの写真がある。元映画俳優だけに私の胸元まで脚が長かった。米国大統領と1時間以上も直接話できたことを幸運と思った。あの人生を変えた1日がなかったらこんな事はおこらなかったと思う。あの日を今でも忘れられなく感謝している。
 帰り際SPのボスが「ライオンさんお父さん警視庁勤務だったね。お兄さん第4機動隊だね」と言ったのには驚いた。身元調査をCIAかなにかを通じてちゃんと行っていたのである。大国アメリカを率いる大統領は何事も無かったかのようにエアーフォースワンに乗ってワシントンDCに帰っていった。そして無事に日本と中国の訪問をされた。読者のみなさん人間の運命はいろいろあるのですよ。感激の運命はあるのですよ。


~倅の解釈~
 父の自慢の一つ。当時絶対的な人気のあったレーガン大統領。父は口癖のごとく「仕事を頑張っていたことに対するご褒美だ」と自慢していた。必ずこの話をすると目が輝いている。ここには記載がないが、大統領に港付近に安全に来ていただくために、I5(インターステイト5)という高速道路を封鎖して、エアフォースワンは高速道路に着陸したという。大陸アメリカ。やることのスケールがでかい。
 父はすべての出来事の「偶然性」をいつも否定した。偶然なんて存在しない。全ては「必然」であり、自分自身の生き様で引き付けるものだと。努力は絶対に裏切らないことを父は体現していた。苦しければ苦しいほどそこにはチャンスがあることを父から学んだ。
 会社経営することは99%が不安と孤独との闘いかもしれないが、自身を信用してくれている大事なスタッフのことを考えれば考えるほど、残りの1%が光る。この1%があるからこそすべてを乗り越えられる。勿論、素晴らしい業績、大金を手にしてお金持ちになることを「成功」、1%ととらえる方もいるが、私にとってはそこではない。人と人がすれ違うことで生まれる「摩擦」。ここに人生、経営、商人道の魅力があると考える。

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