#連続小説【アオハル】〜第一章・動き出す俺の道 4 〜
勉強を開始した俺だったのだが…すぐに壁にブチ当たる事になった。今までロクに授業を受けた事がない俺には書いてある内容すら理解出来なかったのだ。
何とかなるとばかり思っていたが、現実は相当にハード。いや…エキスパートモードだった。特に数学と英語はチンプンカンプン。因数分解には分解するんじゃねぇ!って思い、英語には日本人なんだから必要ねぇだろ!ってキレる始末である。
(マジでヤバイ…全く分からん。どうするよ俺…)
まだ辛うじて理解出来る問題などから取り掛かり始め数日が過ぎた頃、昼休みにニッちゃんからの呼び出しがあった。
「進路の事、お母様から連絡があって聞きました。私は定時制の学校しか調べていなかったの…見識の狭さを実感したわ…ごめんなさい。」
ニッちゃんは本当に申し訳なさそうな顔をして頭を下げた。
「全然だよニッちゃん!お袋の知り合いの伝手でたまたまそうなっただけだし、別に謝らなくてもさ…谷間を見れただけで満足だから。」
「優人君!あなたは本当に!」
その後は2人してゲラゲラと笑い合った。ニッちゃんは、担任としてこんな俺に出来る事をしようと頑張っていたんだ。その気持ちだけで十分すぎるほど嬉しかった。
「最近は朝から授業にも出てるし、一生懸命に理解しようとしてる。やる気が出てるのが凄く伝わるよ。ただ試験はそんなに甘くない。そこで…このプリントをプレゼントします。1日1枚。算数から数学まで分かりやすく、そして理解できるようにできてます。これを何回も繰り返し解いていたら必ず数学は点数が上がるからチャレンジしてみて!」
「すげぇ量…ハハ…ニッちゃんありがとう…頑張ってみるわ。ピンチの時には聞きに来ていい?暇な時間なんて無いと思うけど、お願いします!」
「もちろんよ!あなたの担任なんだから遠慮せずに言って!」
大量のプリントを纏めたファイルは軽くタウンページくらいありそうでズッシリ重かった。それは今までの勉強のツケが一気に回ってきた事を意味してるのだろう。
(ニッちゃんがここまでしてくれたんだ…男ならカワイイ女性の手助けを蔑ろになんて出来るかよ…しかし重ぇよこれ…)
放課後、真也が俺の近くに来て親指を川辺の方へ向けて「行くべ!」と誘ってきたので向かうことにした。その道すがら真也がニコニコしながら頑張れよって肩を叩いてきやがったんだ。
コイツ…マジで嬉しいから止めろってキレちまったんだけど、俺の目からは久しぶりに塩水が出てきてマジで恥ずかしかった。
でも、幼なじみで悪友で親友のコイツがお前なら出来るよって言ってくれて、頑張れよって言ってくれて…最高だよな。
真也ありがとな…
最後まで読んで頂きありがとうございます。 無理のない範囲で応援をしてもらえたら嬉しいです。 これからもチャレンジしていきますので宜しくお願い致します。