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From the abyss of 竹ノ塚

俺の生まれ育った街は東京都足立区、最寄駅でいうと竹ノ塚駅になり、その中でも限りなく埼玉県に近いような場所だ
両親も2人とも足立区竹ノ塚の出身で、生粋の竹ノ塚ファミリアとも言える

足立区竹ノ塚というと最近は月曜から夜ふかしという番組で取り上げられがちで認知度も高くなってきているけど、外から見ると変な街らしい(内側にいた時は気付かなかったけど)
確かにやたら鬼ごろしの紙パックを持って徘徊するじいさんや、時代錯誤のヤンキー、単純な狂人もよく見かけるし、やたらパトカーも巡回してる
自転車なんてすぐ盗まれた

そんなハードボイルドワンダーランドのような地元だけど、俺は比較的地元との縁は薄い
友人も高校や大学の人間がほとんどで、中学の友人は今ではほぼ居ない
高校生の頃に「このままじゃ真っ当な人生を歩めなくなるかもしれない」と危機感を抱いて徐々にフェードアウトしていったし、そこに関して今も未練は無いし、その後の彼らの人生の顛末を噂で聞いた限りでは正しい選択だったと思ってる

そんな地元竹ノ塚に昨日の夜いたので久々に竹ノ塚でご飯でも食べて帰ろうと思った
数年前まで何千回と通ったであろう道に入ると、かなり様変わりしてた
そして知ってる店がほとんど無い
ご飯屋さん探しがてら竹ノ塚駅東口を散策する
ちなみに実家のある西口はマジで何もかもなくなってたし、いまだにロータリーすら無い、日高屋と西友と珍来しか無い

東口のロータリー脇のパチンコ屋、その最上階のネットカフェが無くなってたし、その脇のモンテローザビル(モンテローザ系列の居酒屋ばっか入ってるビル)も半分が空きテナントで驚いた

さらにその隣にある三菱UFJ銀行も無くなってた
え?駅前という好立地の銀行ってなくなるの??

さらに奥に入るとホスト、フィリピンパブ、キャバクラが乱立するエリア
ここはよう分からない
とりあえず眩しかったからそれなりにやってるんだろうけど、角のセブンイレブンが無くなってた…
駅近くの繁華街なのにコンビニが無い笑
でも近くのピンサロビル(ビルの1階がキャバクラで2〜4階が店舗の違うピンサロの頭の悪いビル)はまだ有った
営業してるのか知らんけど

また駅前のメインストリートに戻るとタカノは健在だった

ここ、俺が高校生ぐらいの時ラーメンが300円だったんだけどこのご時世500円になってた
足立区のソウルフード、タカノも物価高には勝てなかった

この通りも全然お店が数年前から変わってた
マツモトキヨシが日高屋に転生してたのはビックリしたし、めっちゃ混んでたのも竹ノ塚っぽかった

もう少し教習所よりのほうに行くと、中学時代の俺が人間サッカーという恐ろしいものを見た駐車場は無くなって小さいビルみたいなのになってたし、かつて深夜にみんなで輪になってひたすら肩パンしあうという足立区特有の通過儀礼(イニシエーション)をした場所に至っては近くにいるはずなのに見つけられなかった
その現場が全く別のものになってしまうと、俺の頭の中の思い出もはたして現実の出来事だったのか疑いたくなる

あとアホみたいな看板やラッピングバスで有名なス◯ー不動産は健在で少し腹立った
(新卒の会社の時取引先で担当者にぶちギレて大喧嘩になったことがある)

話を戻すと、結局行こうとしたご飯屋さんはほとんど無くて、足立区民が大好きなドンキホーテ裏のすた丼で晩御飯を食べた(足立区は竹ノ塚、西新井、梅島、北千住とかなり近い間隔でドンキホーテがある)

何となく、ご飯を食べる場所さえ分からないというのはもう竹ノ塚という街は俺の地元では無くなってしまったんだなと感じた
街も生きている
そこで生活する人にとってローカルに沿って変化していく
そしてその変化の中に俺はもう居ない
ただ単にご飯を食べるという人間として当たり前の行為すら、携帯で検索して、場所を確認しなければ竹ノ塚でご飯にありつけない

もうとっくに俺は竹ノ塚の外側の人間になっていた
でもそれでいいし、それを望んでたから俺は地元との縁を故意的に薄くした
また戻ってきたらきっとその時はコンビニの灰皿周りで鬼ごろしを飲む歯の無いじいさんや、深夜の舎人公園でたむろしてるような若者や猛暑でも絶対アームカバーを外さない色黒の営業マンと同じように竹ノ塚に溶け込めるるような気もする

ダラダラと書いたけど、これは単純に久々に地元でご飯食べようと思ったら飯屋がことごとく無くなってて途方にくれたデブがいたというだけの話です

竹ノ塚の深淵より、永遠に

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