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学び改革計画② ~実現のためのステップ~

 前回からすっかり日が空きましたが、熱中小学校学び改革計画の記事第2弾です。前回は「学び続ける事の広がりと深みの先に希望があるかもしれない」ということで、改めて学び続ける事に希望があるのではないかという仮説の下、様々な物事を捉えなおしていこうという話でした。
 その先で具体的に取り組んでいる事や今後のステップを記していこうと思います。

前回の記事はこちら↓

学校の価値の最大化

 以下の3つのようなステップを通じて学び改革を遂行していこうと考えています。改めてまとめてみて全体を通じて一貫している事は「学びの場における価値の最大化」という事のように感じています。それを元に3つのステップを考えています。

学び改革3つのステップ

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①学び自体の本質的改良
②役に立つ学びの提供
③仕組みやシステムとしての体系化

 ここからは各ステップについて細かく書いていきます。

①学びの場自体の本質的改良

 「なぜ学ぶのか?」そんな一つの問いかけから始まった学び改革ですが、もう少し深堀りして「これまで学校として提供していた学びや体験は、集う人たちにとっての価値を最大化できているのだろうか」という問いについて考えました。「そもそも楽しいところであるか?」「授業の内容は今のままでいいのだろうか?」「もっとこんな授業や体験があったらよいのではないか?」と改めて問いかける事、そしてそれらを特に生徒の皆さんを中心に対話の機会を設ける事を始めています。

クレソールプロジェクトについて
 こうした発想を元に「クレソールプロジェクト」という取り組みを始めました。クレソールというのはここで作った造語で”カリキュラムを作る”という意味の単語がなかったため、原義を元に勝手に名前を付けてみました。カリキュラムという言葉はラテン語で走る道が語源だそうで、道を作るのは走り続ける人だろうし、学びを作るのは学び続ける人だろうという発想からクレソールという語をあてはめました。”学びを作ることで学ぶ”こういったイメージを取り組みの根幹にもって進めています。その他にも学校内での気づきをシェアする気づきメモやオンラインでの読書会なども実践してみています。クレソールプロジェクトは実際に2021年11月より熱中小学校の生徒10名程度を交えて、2時間3回のディスカッションを行いました。

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こんなイメージでつけてみました

大人の新教育課程的な事も考え始める
 こうした取り組みを始めてから、小中高で行われている学校教育は今どうなっているのか、そもそも教育や学習はどうあるべきか、などなど考えたり調べたりし始めました。特に「学習する学校」という本の読書会を半年ほど前から毎週やっていて、新教育課程の話なども含めて学校の先生ともオンラインで意見交換する事も多くなりました。そんな取り組みを通じて理想の学校に根柢にある望みは大人も子供もそう変わらないのではないかとそんな風に今は思っています。「クレソールプロジェクトを実際に進めてみての事」や「理想の学校論」についても面白い事が見えてきたのでまた別途書いていこうと思います。

一人一人の探究テーマを明示すること
 クレソールプロジェクトを通じて、「何を学ぶべきか?」、「教室を通じて何を実現するのか?」という事を考えたとき、「私が今本当に生み出したいものは何か?」というもっと根源的な問いに一人一人が向き合う必要があると改めて感じました。そこで何名かの生徒の方と対話形式で前述の問いについてゆっくりと話し合ってみました。
 改めて私自身も探究テーマを考えたのですが、「物質的にも生命的にも十分満たされているが、今後より複雑になっていく現代において、どんな夢や希望を抱けるだろうか」というような問いから始まり、今は「学びを通じて夢や希望を実現する仕組みを体系化したい」というような言葉でまとまりました。改めて言語化することで学ぶべき事や進むべき方向が見えてきたのと、このテーマ自体も少しずつ形を変えながら世界が深く広がっていく事を探究学習と呼ぶのかもしれないと実感しています。

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クレソールプロジェクトを通じて2つの授業形式が見えてきた

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個人から教室、教室から共創へのステップの仮説

 こうした一人一人の追い求めるものを改めて言語化して共有するという事で、教室や日常的にも学びや気づきの質が上がり、その願いが折り重なって新しい物事を生み出していくのではないかと改めて感じています。そこで来期はもう少し簡略化した形で整理してより多くの方と探究テーマを共有していきたいですね。

②役に立つ学びの提供

 まだまだ第1ステップの学びの場自体の本質的改良を進めていく事が重要で続けていく事を考えていますが、平行して地域にとって価値ある場としての機能も実装していく必要も感じます。日々楽しい学び舎としてのアップデートをしながら、「まずはみんな熱中小学校に通ってね!、そしたら価値がわかるよ」と言いたいところなのですが、よく考えてみると熱中小学校のスタッフとしてここで学びを作っているからそう思えるという事もあるよなと考えたりもします。ステップ1の話と同様ですが、学びを作ることで学ぶ事の方が自身にとって得るものが多く、わざわざ身構えて色んな事勉強するより、実際に自分の興味を元に色んな行動を起こしていく事の方が重要で得られる学びも大きいと考える人も多いでしょう。
 そこで学校で得られた知見やご縁をわかりやすく活用しやすい形に少し加工して、学校から外へ持ち出して伝えていくというデリバリー的な取り組みを考えています。ただしこちらが一方的に提供するだけではなくそれぞれが実現したい事をより良い形で実現するサポートとして、熱中小学校の力を活用していただくという関係性が理想と考えます。

コラボ企画を通じて地域の文化やコミュニティをアップデート
 熱中小学校を通じてせっかく学校が再び開かれたのだから、運動会やお祭りの復活という事をやらせていただきました。そこで気づいたのですが、内容がどうこうというより同じ方向を向いて集まれる”集いの機会”こそが本当に求めている事ではないかと感じました。また、ただかつての賑わいを模倣して再生するということは、ある意味では停滞ではないかという事も。
 そこで地域に普遍的にある運動会やお祭りなどを含め、各種イベントを新しい企画として作り直す事を熱中小学校と各種団体や個人とのコラボで実現できないかと考えています。昔から継がれる文化の流れを感じながらも、今ここに集まる人がやりたいと思うことを実現するために挑戦していくこと。そうした取り組みを創っていくことで初めて前に進めるように思います。また特に最近だとオンライン授業なんかは2年位ずっとやっててノウハウが溜まったので、是非近隣の小中学校などでも使ってもらえたらいいなと考えています。これらは各種団体や個人への呼びかけや、チラシなどでコラボ団体を募集するというところから始めていきたいと思います。ここでもやっぱりテーマは「一緒に創ることで学ぶ」です。

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コラボ団体募集中です!

高畠×熱中の広報誌作成 
 これまでも熱中小学校の授業のまとめという冊子を記録として作ってきていたのですが、これをもっと身近に読みやすい形にできないかと考えています。これも教室で得られた知見を外にもっていく方法の一つと考えています。また生徒の皆さんはすでに色んな活動をしていたり、これからやっていこうと考えている方もいらっしゃいます。ちょっとした文芸誌(今風に言うとzine)のような形でいろんな人にここでの出会いから生まれて物語を読んでもらえたらいいなーと思っています。こちらはすでに高畠熱中小学校の修了生でデザイン業をやられている生徒の方と内容を一緒に考えながら進めています。 

本当に身近な人にとってどのような意義を見出してもらうか
 ただし一番重要なのはやはりこの学校に昔本当に通っていたような身近な人にとって価値のある場となれるかどうかという事と考えています。オンラインへ取り組みを少しシフトしてきたこともあり、身近な年配の方の参加は減ってきているのも実情です。
 しかしながら学校の周りに暮らして土地や財産を持つ人にとって学びの場が必要とされないのであれば、この地で学び舎を開く意義が弱まってきます。(外から集まる人が価値を感じて有効活用しているからいい、外から人が集まって新しい関係人口を創出しているのは有意義、といった発想もありますが)
 いずれにせよ大人も子供も学び続けるという発想は、今後重要になっていくとは思っていますが、この場所で学び舎を開く意義というのは特にこの地に暮らす人と一緒に見出して行かない限り、ぼやけたままになるのではと懸念しています。私自身は高畠町の時沢地区という風光明媚なぶどうの里に立派な学校の校舎が残っている事にはとても価値を感じていますし、この地で暮らしながらも熱中小学校が続いている意義や価値を様々考え、真摯に問いかけていこうと思います。

仕組みやシステムとしての体系化

 最終的には、この学び改革を通じて「学びの場のデザイン」の骨子を作りたいと考えています。より広く一般化できるよう、今回の取り組みを通じて得られた知見や経験を仕組みやシステムとして確立していくという事を目指します。
 個人的に昔から今に至るまでずっと「世の中なんだかおかしいことだらけだよね」という想いを抱き続けています。そろそろいい年になって今では、誰かの都合が折り重なってなんだかおかしな事ばかりになっていくのだろうとそんな風に感じられるようになりました。だからと言って割り切って自分が自分のためだけに行動してまた誰かがおかしいなと思う事を増やしたくはないです。
 そこで、学び続ける大人達が答えのない問いや困難な課題に本気で向き合って、愛憎を交えて選択し困難な事もひっくるめて楽しく生きられるような場づくりがしたいと、そして自分自身もそんな風にありたいと思っています。ただ実際には想像する以上にいろんな考えの人がいると思いますし、人間の能力の限界だってある、だからここで書いたことは理想論です。
 しかしながら、「今現在私たちの豊かさや安定がどれだけ奇跡的な関係の元成り立っているのか」と改めて立ち返れば、私たちは理想論を掲げ続けて追い求め続けない限り、理不尽で非合理でどうしようもないことだらけの無垢な自然の中へと戻っていくだけなのだろうと改めてそんな風に思います。だからこそ社会として学び続け、繋がり続けて、選択し続けなくてはいけないのだろうと。
 また一人一人が”こうありたい”という望みを叶えるのに、「争って奪い合うのではなく、考え抜いて対話して共創していく」という事を少なくともまず学びの場では実現して行きたいとそんな風に願っています。それが今考える”学び改革”の目指すゴールであり、そこに至った時その道のりを後から振り返れば本当に価値のあるカリキュラムが出来ているとそう信じて進んでいきます。

高畠熱中小学校第14期生徒募集中です。

 という事でひとしきり目指しているところを書かせていただきましたが、私一人で実現できることではないので、熱中小学校を通じて集まる方々と一緒に未来を創っていきたいと考えています。少なくとも今こういった事を考えるようになったのも、とりくみを通じて色んな方と出会いお話をさせていただいたことがきっかけだろうと改めて感じています。
 第14期の授業は生徒のみなさんとじっくり話し合ってテーマ設定や、講師の方のご紹介をいただきながら決まっていますので、これまで以上に盛り上がるだろうと確信していますし、いよいよ商品化が近づくワインプロジェクトや、前述のコラボ企画や昨年好評だったキャンプイベントなども実施していく予定です。
 この記事を読んでなんとなく興味を持っていただいた方も、一緒に参加してみたいと思っていただいた方も、是非ご入学お待ちしております。継続のみなさまとはまた来期もワクワクの教室を作れることを楽しみにしています。締め切り間近ですのでお申し込みはお早めに!

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14期スケジュール

14期新入生募集要項


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