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「量」の変化と「質」の変化

社会に変化はつきもの。

僕が音楽制作を始めて20年以上。
その間に随分と制作環境は変わった
なぁ・・・ということをなんとなく考えておりました。

デモテープを作る人はカセットMTRが必須だった時代です。
僕は高校にあったYAMAHAのSY77というシンセの内臓シーケンサーに演奏情報を打ち込んで自動演奏のデータを作り、それをカセットMTRに録音してダビングして、それを自宅のミニコンポ(SONY Liberty V950)のアンプにつないでトラックダウンして完成。

程度の差はあれ、あのころはみんなこんな感じでした。
プロの録音スタジオではデジタルレコーダーがあったでしょうが未だ少数派であり、アナログ録音がまだまだ現役で一般にはDATでさえ未だ高嶺の花、はーどでぃすく録音て何だ?でした。コンピュータでMIDIを打ち込むのが出始めた頃だったんです。

その後爆発的なWindows95の普及でパソコンでのMIDI打ち込みが王道となり、そのうちにパソコンで生音の録音が一般的になり、MIDIで作ったベーシックトラックにメロディーやヴォーカル、ギターなどの生楽器をワンポイントで足していくのが主流になり、プラグインエフェクトが現れ、パソコン内で録音→ミックス→マスタリングまで可能になり、宅録で商業レベルの音源を作ることが造作もなくなりました。最近はシンセサイザーすらソフトウェア化されたものが制作では主流となり、外部MIDI音源を使うことの方が少なくなりつつあります。パソコンは楽器ですら呑みこんだのです。

その間、パソコンの変化と言えば、「ただひたすらに処理が速くなっただけ」ですよね。デジタルコンピュータが生まれて以降、その変化というのは処理速度の高速化の一点張りなんじゃないか、と思うんです、素人的には。

最初はデータ量の小さいMIDIの演奏情報、扱えるデータが大きくなって処理が高速化したことからリアルタイムに音声処理ができるようになって生音をパソコンで扱えるようになり、更に高速になって余裕が出てきたのでエフェクタも取り込み、更にさらに高速化て余裕ができたのでついには楽器まで取り込めちゃったわけで。
こうしてみると、CPU高速化が全てを成し遂げたと言えなくもない気がするんです。もちろん、記憶媒体の大容量化・低廉化があったことも大きいわけですが。この2つが複雑な仕事もこなせるプログラムの走行を可能にしたわけで。

音楽制作に限らず、動画サイトの普及やスマホの多機能化を見ても、全部処理速度の高速化によって成し遂げられているんじゃないかな。それによって僕らの生活は質的にも大分変化しましたよね。

でも、この質的変化は、コンピュータのひたすらな低価格化(これですら処理速度の高速化の結果と言えるでしょう)と処理速度の高速化というたった一つの量的変化の結果で、コンピュータそのものは質的には変化していないんだなぁ・・・

・・・なーんて事を考えたのです。

この先、更に次元が違うレベルの高速処理が可能な量子コンピュータが実用化したらどんな質的変化が起こるのでしょうか。
とりあえず楽しみです。

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