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『二十歳の原点』 高野悦子

ひょっとしたら、十代の頃、いちばん手に取る機会が多かった書籍(日記ノート)かも知れない。

全共闘まっさかりの、日本が大きなうねりの渦中にあった時代に生きた筆者の二十数冊のノートを編纂した本だが、ものごとをつきつめて考え、時に運命を受け入れ、時に反駁し、最後には自ら帷を下ろした、真摯に生きた一女学生の心象風景に心を奪われっぱなしだった。

思えば、そうした女性達の足跡に妙に心奪われていた中高生の頃の自分だったが、結局男性性にはない、痛々しいほどのひたむきさ、感情の波濤に、当時の私はひたすら驚いていたのかも知れない。

彼女らの心の道程をうやうやしく辿ることを通じて、女性の感性の窓から世を眺むる習慣がついたような気がしているし、今の自分の生業にもそれが活きていると感じている。

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