Massun

作曲家、ピアニスト。ピアノ講師。一か月に20冊は本を読む読書オタクです。 noteは始…

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作曲家、ピアニスト。ピアノ講師。一か月に20冊は本を読む読書オタクです。 noteは始めたばかりですが、読書ログとエッセイを徒然なるままに綴りたいと思います。 音楽・ピアノ関係はこちら https://www.instagram.com/composer.masuda/

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note始めました。~自己紹介~

「男もすなるnoteというものを女もしてみむとするなり」的に始めたnote。あ、女性仮託で綴るつもりはないわけですが。 正直まだ五里霧中かな。 どうやったら、フォロワーさんがついてくれるかも皆目わからない。どうぞ、みなさん教えてください。 本業は音楽家です。作曲8割、演者1割、ピアノ教師1割で活動しています。 ピアノと作曲のコンクールでプライズいただいてからは音楽が生業となりましたが、それ以前は広告代理店でコピーライターやってたり、編集プロダクションでコラム書いてたりゴ

    • エッセイ『人生どう転ぶかわからない #4』

      「おまえにも責任がある…」 私は心の中で担任の言葉を反芻しました。 あまりにもあからさまな責任回避を決め込むその姿勢には 清々しさすら覚えたくらいです。 私の親始め、親類知己は教員が多く、彼らの資質、マインドセットがある程度わかっていましたので、職員室の内側に期待することはもうやめることにしました。 「公的義務教育機関」は私は「収容所」だと昔も今も思っていますが、 彼らは教育者ではなく、収容所の管理者だと考えれば、すっと腑に落ちます。 特定の収監者に肩入れするわけにはい

      • エッセイ『人生どう転ぶかわからない #3』

        自己紹介で書いた通り、私にとって学校はアウシュヴィッツでした。 完全に強権が支配する場だったのです。 その時のクラスは、街の有力者の息子がおり、 虎の威を借りてやりたい放題でした。 そのまわりには取り巻きがおり、 構造的にはサル山と同じでした。 私も下駄箱の靴を隠されたり、カッターシャツの背中に、マジックで卑猥な言葉を書かれたことが何度もありました。 比較的おとなしい同級生は皆、同じ目に遭っていました。 そして、自分の順番が終わるまで、ひたすら耐えていたのです。

        • エッセイ『人生どう転ぶかわからない #2』

          ダイヤモンドダスト舞う、凍てついた冬のとある日、 私は飼い猫のシロに「もう帰ってこなかったらごめんね」と 小声で伝えて家を出ました。 「行ってきます」 「行ってらっしゃい」 母のかわいた声色から察するに、私の朝の挙動に 少しの不審も抱いていない様子でした、 私は通学路の三番目の交差点の角を、 周囲に同級生がいないことを何度も確認した上で 学校と真逆の方向を目指して歩き始めました。 行き先は、もう決めてありました。 ヒントはフランダースの犬の、ネロとパトラッシュが移

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        note始めました。~自己紹介~

          エッセイ『人生どう転ぶかわからない #1』

          暗転したかに見えて、それは好転の兆しかもわからない。 その逆もまた然りですが、それはその人が「自分の生」を生きているかどうかで決まるとつくづく思うわけです。 ニーチェの言うところの「病者の光学」、格言においては「夜明け前がいちばん暗い」「一病息災」などなど、綺羅星のごとくパラドックスが存在しますが、自分が骨の髄からそれを感じたのは、家出をめぐる顛末からでした。 自己紹介でも書かせていただいた通り、私はコミュ障特級レベルの小学生だったので、とにかく学校が嫌でたまりませんでし

          エッセイ『人生どう転ぶかわからない #1』

          エッセイ『100人中100人に抱腹絶倒された話』

          これは以前、私のPCが再起動できなくなったときの実話です。 PCが使えなくなると業務に大きな支障が出るため、 購入店の薦めで、私の所有するPCはすべて 「PC119」というサポートサービスに加入済みでした。 障害が発生した際、遠隔操作で原因を特定し、 すぐリペアしてくれる心強いサービスです。 そして、私はすぐコールできるよう、 イエ電の「短縮ボタン」+「119」でつながるよう設定しておきました。 そして、ある日、ついにそのサービスを活用できる日がやってきました。 PC

          エッセイ『100人中100人に抱腹絶倒された話』

          『恋と革命』 評伝・太宰治 堤重久著

          思い起こすに、私の太宰治ワールドへのゲートウェイは、彼の稀有の文章力だったように思う。 日本語を編み上げる力というか、彼の紆余曲折を極めつくした人生行路を知る前に、その天才的言語感覚に耽溺してしまったわけである。 太宰の小説は「詩」と形容したのは、山崎富栄だったが、私は「音楽」でもあると感じた。 読点の打ち方、単語の紡ぎ方、言葉の抑揚にロマン主義を感ずるし、どんな掌編であってもバロックや古典派のような堅固な形式を感じる。そしてかつ、気品がある。 そして彼は、それを意識

          『恋と革命』 評伝・太宰治 堤重久著

          『毒になる親』 スーザン・フォワード著

          母が、失明につながる可能性のある眼底疾患と、車椅子生活を視野に置かねばならない脊椎疾患を併発し、毎週2~3日地元の医大病院通院を余儀なくされ、近隣に住む私が介助する生活が続いている。 本当は馬の合う私の妹に介助して欲しいのだろうが、遠隔地在住のため、私で我慢していると推察している。 母と私の相性は最悪である。 幼少時から「お前など産まなければよかった」「あの子に比べておまえは…」などなど、絶対に子供に使ってはならない言葉をあえて羅列しているとしか思えない煤煙を常に私に浴

          『毒になる親』 スーザン・フォワード著

          『小さな習慣』スティーヴン・ガイズ著

          世には綺羅星のごとく自己啓発本が存在するけれども、自分が他人に勧めるとしたら、この『小さな習慣』一択になるだろう。 人間にはホメオスタシスという生存本能がある以上、とにかく変化を嫌い、それがゆえ初動にいちばん負荷を感じる生き物なのである。 そこをクリアするには、敷居の低さというか、とっかかりの容易さがとにかく大事で、それを的確にセットアップできるか否かで、習慣という神器をわがものとすることができるか否かが決まってしまう。 この本は一貫して、その命題が平易に書かれているが

          『小さな習慣』スティーヴン・ガイズ著

          『二十歳の原点』 高野悦子

          ひょっとしたら、十代の頃、いちばん手に取る機会が多かった書籍(日記ノート)かも知れない。 全共闘まっさかりの、日本が大きなうねりの渦中にあった時代に生きた筆者の二十数冊のノートを編纂した本だが、ものごとをつきつめて考え、時に運命を受け入れ、時に反駁し、最後には自ら帷を下ろした、真摯に生きた一女学生の心象風景に心を奪われっぱなしだった。 思えば、そうした女性達の足跡に妙に心奪われていた中高生の頃の自分だったが、結局男性性にはない、痛々しいほどのひたむきさ、感情の波濤に、当時

          『二十歳の原点』 高野悦子

          『天才たちの日課』 メイソン・カリー著

          毎日のすき間時間によく手に取る本がこれ。『天才たちの日課』。 彼らの日常が数奇な習慣に彩られているのは常だが、ここに編纂された161人のそれは、はるかに俗人の想像をたやすくこえるものが満載で、驚きを超えて笑ってしまうエピソード満載である。 自分が音楽家なので、特に同業の士の項を興味深く拝誦するのだが、その中の一つがベートーヴェンのそれ。 彼は毎日コーヒーを自分で挽いて淹れる習慣があったが、必ず決めた豆の数で淹れないと納得できず、「ひとーつふたーつ」とうめくように確認しな

          『天才たちの日課』 メイソン・カリー著

          三島と太宰

          幼少時から俊才と謳われ、ほとんどの古典を読破し、自在に日本語を操り、数々の名作を物して昭和文学史に金字塔を打ち立てた三島由紀夫。 そんな彼が、唯一、タレントの部分で気後れを感じていたのが、ほかでもない太宰治であろう。 太宰について質問されたインタビュー映像が残っているが、なんとも悔しそうに太宰について語る三島の姿が印象的である。 「堕落」を排斥した生き方を希求した三島。だが、「落つること」を通じてしかたどり着けない境地があることを、歯噛みをしながら感じていたのだろう。

          三島と太宰

          栄養学読書は最高の脳活

          基本、様々なジャンルの本を読むが、定期的にマイブームがやってくるのが栄養学関連の書籍群。かなりの確率で復読するのがこのジャンルの特徴だ。エビデンスが明確に織り込まれている章は、ノートに転記し、必ず実行してみることにしている。 効用を実感できたものはたくさんあるが、不動の習慣に落とし込んでいる両輪が「16時間断食」と「一日二食」。 驚くほど頭が冴え、細胞が日々生まれ変わっているのが実感できる黄金律である。 夜8時に夕食を摂ったあとは、翌日12時半までは重い食事は一切摂らな

          栄養学読書は最高の脳活

          山崎富栄『雨の玉川心中』~太宰治との愛と死のノート~

          高校生の時に古書店で見つけて衝動買いした本。 太宰治に心酔していたのでその流れで購入した書籍だが、かくまでに知的な女性が、なぜすべてを放擲して自分の「女性性」に従順に生きるに至ったのかが、克明に書き綴られており、若気の至り的発想ながら、「女性はこういう生き方をしている時がいちばん輝いているのではないか」と感じた本である。 世間の価値観に臆することなく、月見草のように颯爽と生き抜いた姿は、美しいと私は今なお、思う。

          山崎富栄『雨の玉川心中』~太宰治との愛と死のノート~

          石角完爾著 『ユダヤ知的創造のルーツ』

          聖書(旧約、新約各一章ずつ)を読み終えた後必ず手に取るのがこの石角完爾氏の『ユダヤ知的創造のルーツ 超一流を育てる不屈の精神+究極の習慣』。度重なる迫害を受けてなお、存在し続ける民族の秘密が緻密に綴られている名著。一読するとなぜユダヤ民族がかくも優秀なのかが、おぼろげながらも解ってくる。しかし600万人もユダヤ人を虐殺したんだな。ナチスドイツは。

          石角完爾著 『ユダヤ知的創造のルーツ』

          モーニングルーティーン読書

          Torah(トーラー)と呼ばれる『モーセ五書』(創世記、出エジプト記、レビ記、民数記、申命記)と共観福音書(マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネ)を日課として一章づつ読んでいる。幾星霜経てなお残る不滅の書物。哲学者や、似非教祖が何度も切り刻もうとしては、自らが切り刻まれた経典。

          モーニングルーティーン読書