【MEMBER INTERVIEW vol.3】ミラー赤堀祥子さん
2021年もコロナ禍が続き、なかなか外出ができず、たくさんの時間を自宅で過ごしました。お家にいる時間を良くしようと、家具や雑貨をネットで購入した方も多いのではないでしょうか。
今回のインタビューでは、海外と日本をつなぐお仕事をされているMARKET TO JAPANにお話を伺いました。これまで、日米企業の海外市場への進出のサポート、日本市場と北米市場を中心にマーケティング、セールス活動のコンサルティングをしていましたが、新規事業として高品質で人々の生活を豊かにする商品をセレクト、販売する自社ブランド「AVOCADOLEMON」を立ち上げました。
今秋はマスマスでPOPUPでの販売会も実施し、さらに活動の幅を広げています。
代表のミラー赤堀祥子さんは、現在シアトルに在住。今回はオンライン会議ツールを通じて遠隔インタビューを行いました。
後半にはマスマスを事務所として横浜で働く松岡さんと齋藤さんを交え、事業についてはもちろん、お仕事とプライベートをどのように両立しているか、POPUPを開催した感想について伺いしました!
アメリカで起業するまでの経緯
MARKET TO JAPANがシアトルで創業したのは2004年。当時はまだSNSは一般的ではなく、ネット通販の利用者も少しづつ増え始めてきたころでした。(iPhone初代のリリースは2007年のこと。)
赤堀さんは日本で大学を卒業後に、東京の企業に入社。営業職で約4年半を過ごしましたが、MBAを取得するために渡米します。
プライベートでは、アメリカで出会ったご主人と結婚し、2人のお子さまにも恵まれました。そんななか、どのように日本と海外をつなぐ事業をはじめられたのか、当時のエピソードからお話を伺いました。
「MBA取得と同時に夫と結婚、直ぐに子どもが生まれ、かつ夫の仕事の関係で引っ越しがあり、仕事探しは簡単ではありませんでした。
アメリカでの就職は実績が全てと言われたりもしますが、生まれたばかりの子供がいる、アメリカでの仕事の経験がない、英語もそこまで話せない、でもMBAを取得して学歴だけは高い、という、就職活動をするにはとてもアンバランスな状況になっていました。
MBAで学んだことや本来やりたい仕事や希望する職種などには就けませんでしたが、ようやく就職した日系の会社でエントリーレベルのスタートで、一からアメリカでの経験と実績を積みました。
その後転職を2度しましたが、やはり自分に合った仕事ではなかったこともあり、ITの当時ドットコムバブルが弾けたとき、レイオフ(解雇)を経験しました。
その年はアメリカで同時多発テロが起こり、経済も落ち込んでいました。
これから仕事をどうしようかなと考えていた時、日本とアメリカでビジネスをしている方から「日本で売りたいものがあるんだけどどうしたらいいか」「アメリカで商品を売りたいんだけど、どうすべきか」と相談の連絡がきていました。
私は2人目の子供を妊娠していて、できることは限られていましたが相談や依頼にはなんでも応えるようにしました。
時には無償で受けたりもしていたら、依頼いただいたいくつかの企業から、すごい結果が出たと評判になり、それが口コミで広まっていって、さらにたくさんの方々からマーケティングなどの相談を受けるようになったんです。
そして、2004年の4月に法人化をしていまの会社を立ち上げました。
会社を立ち上げても、最初から大きなビジョンを掲げたわけではなく、人から依頼されたことは何でもやるような何でも屋でした。その中でも私が強みにしていたのは、商品やサービスを他の市場(海外、特に北米市場と日本市場)で展開、継続して販売をするための施策立案と実践、そして新規事業開拓です。
国も違う、文化も違う、言葉も違う、ライフスタイルも違う、そういった条件下で、クライアントの商品をどのようにうしたら売れるのか、そして販路を開拓していく、というようなところで関わっていってたんです。
それが今のビジネスのスタートラインになりました。」
女性が世界で活躍できる場をつくりたい
「MBAを取得するために通っていたビジネススクールで驚いたのが、ほぼ全員といっていいほどのクラスメイトが働きながら通っていて、その約半数の生徒が女性だったことです。しかも、40〜50代の方たちもいました。
当時の日本では女性がビジネススクールに行くことも珍しい状況でしたのて、本当に目からウロコでした。
アメリカでは小さな子供がいる家庭でも、母親が働くのはごく普通のことで、旦那さんやパートナーさんと協力し合いながら子育てをすることが日常になっています。
日本の女性はもっと仕事を通して社会で活躍できるはずなのに、結婚や出産のタイミングで子育てに専念しないといけないという風潮を感じていました。
一方で、アメリカでは結婚や出産を機に、仕事を辞めるというケースはあまり聞いたことがありません。結婚しても、出産しても、仕事を続けるということがある意味前提になっています。
アメリカで子供たちを見ていると、母親が働いていても、たくましく成長している様子がとても印象的だったんです。
そうしたアメリカでの生活から、会社を設立したら、女性が世界で活躍できる場を提供したいと思いました。
女性がもっと働きやすく、そして海外でも活躍してほしい。そう思いながら日々会社を経営しています。」
横浜に拠点を構えた理由
相談されたことを一つひとつ答えるようにしていたら、それが仕事になり起業へつながったという赤堀さん。現在も本社はアメリカですが、あるタイミングで日本支社を立ち上げるために動き出します。
これまで地縁はなかったそうですが、どうして横浜に事務所をつくることになったのか。マスマスを選んでくださった理由についても伺いました。
「私たちは、毎日の暮らしを豊かにするためのクリエイティブな製品を生み出そうとし、日々努力されている中小企業さんの海外進出をサポートしています。
最初は北米企業の日本進出で、アメリカから日本への販路開拓でコンサルティングを行っていましたが、時代の変化とともにクライアントの日本市場へのビジネスに全面的に関わるようになりました。そのタイミングで、日本国内の販路をより広げていくために日本での拠点を探しはじめました。
そこで、海外展開を支援しているシアトルのジェトロに相談したところ、海外企業の誘致に積極的な地域をご紹介いただき、そのひとつが横浜でした。
拠点を決めるため帰国し、ジェトロの担当者の方と一緒に候補の物件や街を巡りました。その中でも、横浜のジェトロ担当者の方、そして横浜市経済局の方など、皆さんとても優しく、一生懸命で、良くしてくださいました。
実はそれが決め手となって、横浜を選びました。みなとみらいの街もすごく綺麗で、シアトルとも似ていると感じています。
2016年からワールドポーターズ内にある外資系企業向けのシェアオフィスを期限付きで3年間利用させていただき、転出のタイミングでマスマスのブログを弊社の社員が見つけて内覧へ伺い、2019年5月にマスマスに入居することを決めました。
ブログを読んでからすぐに内覧をさせていただいたのですが、アットホームな印象があり、ここなら背伸びをせずにいられそうで良いなと思いました。ブログを見つけた社員に、「もう絶対ここだよ!」と言ったのを覚えてます。
マスマスには新しい風も感じられ、弊社もより成長できるのではないかなという期待もありました。他に入居されている方々とも、たとえばすれ違うときに気軽に話せる、オープンな雰囲気がありますね。」
私生活と仕事の両立
後半では、MARKET TO JAPANの日本支部、マスマスを拠点に営業サポートやマーケティングなどを担当されている松岡恵美さん(以下、松岡さん)と齋藤亜希子さん(以下、齋藤さん)を交え、座談会形式でお話をお伺いしました。
小林 ここからは松岡さん、齋藤さんにお話を伺っていきます。赤堀さんもぜひ入ってきてくださいね。
それでは、まずはお二人がMARKET TO JAPANにジョインしたきっかけから教えてください。
松岡さん 主人の転勤で大阪から横浜に引っ越しましたが、保育園が見つからず勤務していた会社を辞めることになったんです。
専業主婦になって育児をしていましがた、次男が小学生になった時、やはり働きたいなと思い求職活動をしていた時にMARKET TO JAPANに出会いました。
赤堀さん 面接をしていて、「この人だ!」と思ったんです。働きたい時間で良いからとプロポーズのようなメールを送ったことを覚えています。
松岡さん 社長の赤堀さんが、結婚、出産をされてからもずっとキャリアを続けられていて、仕事と育児の両立に対しサポートもしていただけるので安心して働くことができています。
齋藤さん 私は結婚していましたが、子どもがいませんでした。将来的に子どもが欲しいと思っていましたが、色々とありフルタイムで働くことが難しくなったため、当時の仕事を辞めて、仕事と家のことを両立できるような働き方をしたいと考え転職活動をしていました。
これまで海外に関わるお仕事の経験はなく、商品やブランド、ITサービスを扱うこともなかったので、MARKET TO JAPANを見つけたときとても興味が湧きました。
赤堀さん 実は、齋藤さんを採用するのに私は面接をしていなくて。
ほかの社員からの猛プッシュがあったので、採用を決めたんです。私はアメリカにいるのでリモートでのサポートになりますが、齋藤さんどんどん自分でアクションして切り開いていってくれます。自ら学びにいって 自分のものにするスピードが早いんですよ。
齋藤さん 一人オフィスで不安な面はありましたが、まずは自分自身で考えて動くというスタンスに合っていたのか働きやすいです。
もちろん最終的にはちゃんと相談し、アドバイスを頂くのでそれが次へと繋がっています。
マスマスでのPOPUPイベント
小林 マスマスでPOPUPイベントをされていますが、最初はいつでしたか?
齋藤さん これまで2回やりましたね。1回目は2019年8月です。
小林 もう2年前ですね!やろうと思ったのはどうしてですか?
松岡さん 私たちが扱っているブランドを皆さんに知ってもらいたいと思ったからです。
齋藤さん あとはマスマスに入居されてる方たちと交流を深めたいという意図もありました。2回目は10月に1階のエントランスでやらせていただきました。
松岡さん アボカドレモンというオンラインショップを日本で立ち上げて、私たちが直接販売をしていくことになったので、皆さんが商品を手に取ってみてどんな反応をするのか見てみたいというのもありました。
小林 POPUPイベントをされていかがでしたか?
松岡さん マスマスの入居者さんとコミュニケーションが取れたというのが大きかったです。
次回はもうすこしコミュニティを広げて、マスマス以外の方と直接触れたらと考えています。サイトに商品はたくさん載っているのですが実際に触ってみるとわかることがありますからね。
そういった意味でもPOPUPイベントを実施することは有意義なものでした。
齋藤さん 海外の商品を扱っているので、説明はすべて英語なんです。それをお客さんに合わせて文言を変えて伝わりやすいように常に工夫をしています。
このブランドのこの商品はどういうところが優れてるのかとか、そういうものを汲み取って、伝えて販売をしたいなと。
小林 ほかの入居者さんと一緒になにかやっても面白そうですね!
齋藤さん コラボとかね!マスマスさんが仲介役になってもらって(笑)
そういう場で活性化していったらもっと楽しいオフィスになりそうです!
これから目指すところ
小林 最後に、お二人がお仕事で大事にしていることを教えてください。
松岡さん 少人数の会社で、それぞれの強みをいかしながらチームワークを意識してプロジェクトを進めています。私は海外製品の説明の翻訳をし、齋藤さんは見せ方を考えてニュースレターをつくったりとか。
齋藤さん みんなフルタイムじゃないので、どうしても時間の途切れが生まれてしまいます。会社としては一連の流れが止まってしまうと困るのできちんと共有をして、次の人に繋がるようにやっています。
それぞれが決められた時間のなかで、最大限力を発揮できるように工夫しています。
小林 それぞれが無理をしすぎず、プライベートと両立して働くために連携をとられているところがとても素敵です。赤堀さん、最後に何かありますか?
赤堀さん コロナ渦の影響で、2020年2月上旬以来、帰国できていません。
会社も大きく影響を受けましたが、それでもなんとか継続することができています。それはみんなの協力があったから。だから必ず事業を成功させて、みんなに我慢してもらった時期があるぶん、お返しをしたいですね。
アボカドレモンのプロジェクトをはじめ、さまざまなものがありますけれど、みんなで夢をみたいなと思っています。
インタビュー直後の編集後記トーク
今回の記事と関係ある話があったり、なかったり。
インタビュー直後のリラックスしたトークをお届けします。
ぜひ、記事と合わせてお楽しみください。
(text:小林璃代子)
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