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【MEMBER INTERVIEW vol.2】キノシタシンイチロウさん

マスマスのある馬車道から電車で1時間ほど。横浜を離れるにつれて車窓には、海や山の風景が広がっていき、天気の良い日には富士山を眺めることもできます。都会の喧騒から少し離れたことを実感したころ、たどり着いた二宮町。

今回、コワーキングスペースmass×mass(以下、マスマス)の入居者であるキノシタさんにお話を伺うため、二宮町にある「CAMBIO WORK」を訪れました。


2人目のお子さんが生まれたことをきっかけに地元の二宮町に戻り、「#にのみや暮らし」をしながら地域活動を積極的に行っています。2021年、コワーキングスペース「CAMBIO WORK」を開設。また、まちで挑戦する人を応援する「みらいはらっぱ」も、まもなくオープン予定です。


地元にもどり、さまざまな場づくりを実践されているキノシタさんに、二宮町での暮らしやコロナ禍で変化したことについてお話をお伺いしました。

「地元が、消滅するかもしれない。」子育て世代を増やすための挑戦の幕開け


——— 二宮町はとても素敵なところですね。地元に戻ったきっかけはなんですか?

二十歳ぐらいのころ、将来子供に関わる仕事に携わりたいと思っていました。そのきっかけになったのが、書籍『子育てに野生を取り戻せ(阿部進著)』との出会いです。

すでに30年前に書かれているのですが、本書で「子供たちをもっと外で遊ばせなきゃダメだ」と危機感を持った人が紹介されていました。この本の内容と、自身の生い立ちを照らし合わせ、自然の豊かなところで子育てをすると決めていました。


二宮町は変わらず多くの自然が残っている土地なので、子育ての環境としてはベストだったんですよね。


——— 二宮町に戻ってどう感じていますか?


ほとんどの同級生が二宮町に住んでいません。同世代と子育てを楽しくやりたいけど、そもそも子育て世代が少ないです。小学校のクラスも全学年1クラスしかない状況です。

一方で、65歳以上の高齢者が人口の7割を占めています。消滅可能性都市の1つとされた過去もあり、子育て世代をもっと増やさないといけないと思いました。


——— 自分の育ったまちが無くなる可能性がある。ショックですよね。


それで、この町を住みやすく、子育て世代に選ばれるような町にしたいと思いました。自分が子供の頃に遊んだ公園に、いまでは子供がいないんです。

そこで、公園部会を新設した地域再生協議会という団体の門を叩きました。さらに公園愛護会をつくり、町や自治会にも協力してもらいベンチを綺麗に塗り替えたり、お手洗いを綺麗な洋式トイレにするなど、みんなで手を動かしながら、遊びやすい公園にすることで同時にコミュニティも育てて行く活動を始めました。次の目標は、ボール遊びを可能にすることです。


それと並行して取り組もうと思ったのが、「コワーキングスペースをつくり、町内で働ける場所を増やすこと。」です。

——— 地域の公園での愛護活動からコワーキングスペースCAMBIO WORKの立ち上げにつながるんですね!


2016年の夏頃にマスマスに入居しました。オープンなスペースで仕事をするようになり、二宮町にもあったらいいなと感じていたんです。

特に毎月開催されていたトークイベント「マスマスカフェ」は、参加するたびにいろんな方とつながり、ソーシャルな活動事例をたくさん知ることができました。

ローカルで活動する人たちと出会い、刺激を受けて、自分も地元で活動したい、地域に貢献したいという気持ちが強くなり、一歩を踏み出すきっかけになりました。

以前、毎月第一金曜日に開催していた「mass×mass cafe」は、現在、YOUTUBEでライブ配信をするスタイルで行っています。

——— マスマスカフェが一歩踏み出すきっかけに!嬉しいです!


定期的にさまざまな実践者のお話をきけることができて、とても良かったです!

地元は好きでしたが、何かやるイメージはほとんどなかったです。マスマスでそういう人たちと出会わなかったら、いまの活動につながっていなかったかもしれません。

コロナ渦で気づいた豊かな「#にのみや暮らし」

——— コロナ渦でのご準備となり、大変だったと思います。キノシタさんご自身の働き方は、どう変わりましたか?


その間、自分自身も地元から出ないようにして、隣町のコワーキングスペースを利用していました。

自転車で通い、帰りに魚屋さんに寄って帰る。このような余白のあるその充実したライフスタイル感じをもっと地域の人に広めていきたいし、そういうニーズってあるなと思いました。

休憩中に、海へ行って足つけたり。横浜の海しか見てない人には衝撃だと思います。

インタビュー後に、ご案内いただいた二宮町の海は本当に綺麗でした!遊び上手のキノシタさんと、はしゃいでいたらズボンまで濡れました。

「暮らしの中に、働けるスペースを」



——— 「生活圏内に、働くスペースがある」この環境はキノシタさんが目指されてたことですね。

1日の中で仕事が中心になっている人は多いと思います。そういう人ほど地域で働けるようにしたいと考えています。マスマスに通っていたときは、通勤に往復3時間かかっていましたが、地元で働いているとそれが20分になります。

生活圏のなかに働く場所があると、通勤にかかっていた時間がそのまま自由に使える時間になります。もちろん地域活動だけではなく、家族との時間が増えたり、好きなことに費やす時間が増えるわけです。それって、豊かな生活に近づけるなと。

——— 確かに、通勤時間が3時間から20分に短縮できるのは大きいですよね。

コロナ渦になって、通勤していたときよりも、自宅や近所で働いた方が良いと感じた人は多いと思います。時間の使い方や、社会の価値観が大きく変化してきています。それに気がついた方々が、移住先として二宮町を選んでくれています。だから、今の二宮町は気の合う仲間が増えてきている印象があります。

——— 二宮町はどんなまちでしょうか。二宮町を知らない人に、どんな紹介をしていますか。


「豊かな暮らし」は、昔は通じませんでしたが、最近はキーワードとして使っています。豊かさは様々ですが、「自然がある」「地域とのつながりがある」と言い換えられると思います。 いま移住者さんが率先していろいろ面白いことを始めていて、町が生まれ変わっていく感じがしているんです。


——— 今、まさに変わってきてるところなんですね。


たぶん、なにか始めようとする人たちに選ばれているんだと思います。二宮町は小さな町なので何か始めたい人には相性が良いんですよね。春に移住し、秋には自宅を開放してマルシェを開いている人もいます。

規模感がいいんだと思います。なんか小さな規模で始めるのにちょうどいいんです。だから、あんまり構えずに、「このくらいなんですけど、どうですか」みたいな感じの始め方でできるんです。


——— CAMBIOWORKは、どんな使われ方をしたいですか?


マスマスにいたときはイベントがあったり、利用者同士をつなぐ仕組みがあったり、とても良かったです。

コロナ禍で、まだ人を集めたイベントなどは開催ができていませんが、入り口にあるアナログのボードを活用したり、ITが得意な入居者さんがチャットツールを紹介してくれたり、入居者同士がコミュニケーションが自然と生まれるといいなと思っています。

デジタルのチャットツールや、コメントにスタッフに限らず知っている人が答えるアナログのボードなどを用意しています。

そういうことができる場所を目指し、地域に開かれた場所にしたいなと。そうするとここに来る人たちの、まちに対する思いが強まっていくし、そこでの繋がりもできてくるので。

——— 地域のつながりを育み、まちに開かれたコワーキングスペース、素敵です!これからチャレンジしたいことはありますか?

地域でアクションする人を増やしたい。そんな思いもあって「みらいはらっぱ」プロジェクトを準備しています。

子育てしていると不登校の子や、熱が出て園に連れていけなかったりと、いろいろ大変ですよね。
子どもを原っぱで遊ばせながら、自分もそばで30分くらい仕事できるといいじゃないですか。

都内にはコワーキングスペースはたくさんあり、すぐに見つけることができますが、二宮町はまだそういった働くスペースは少ないです。

みらいはらっぱには、トレーラーハウスが2台あります。1つは、オフサイトミーティングやワークショップに一台ごと借りることができ、もう1つはコワーキングスペースとして使用できます。

トレーラーハウスと一つはワークショップだったり、その販売店みたいなことのをしたいです。また、ベタですけど女子会を開いたりしてもいいですね。とかね-そんなような場所にしたいなと。

これからの二宮町、そしてキノシタさんのご活躍が楽しみです!
今日はありがとうございました。


関連情報:
◎CAMBIO WORK HP:https://cambiowork.jp/
◎CAMBIO WORK note:https://note.com/cambio_ninomiya/

インタビュー直後の編集後記トーク

今回の記事と関係ある話があったり、なかったり。
インタビュー直後のリラックスしたトークをお届けします。
ぜひ、記事と合わせてお楽しみください。

インタビュー後の「二宮町には、何にも”ない”ことが”ある”んです」という言葉が印象的でした。大きな空が広がり、ゆったりとした時間が流れている二宮町。都会の便利さはないけれど、この町の豊かさがある。だからこそ、できることは無限大だと感じました。

(photo : ツクダテタクミ/text:おかやまちさ)

2021年12月1日にHPに掲載した記事です。

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