見出し画像

「志ら毛染君が代」というめっちゃインパクトのある社名の会社をみつけた話

仕事が少し落ち着く時期なので趣味の方の情報収集に勤しんでいたのですが、今日は某社の決算公告(官報に出てないなら日経とかに当たるしかないので)を探していたら、明治製菓や三菱鋼材や日窒鉱業といった会社に混じって「志ら毛染君が代」という会社の決算公告が掲載されていて、えぇ…?と三度見してしまいました。

出所:日本経済新聞 昭和30年6月3日朝刊

しかも「が」が変体仮名という!社名で変体仮名使ってるのめちゃめちゃ珍しくないですか?今の上場企業でも飲食か和服かにあったようななかったようなという感じがなくもないですけど、ありましたっけ?
縮刷版だから字が潰れていて「君お代???君が代ではなく????」とか思いながらコピー取って拡大してようやくわかったのですが。
# 変体仮名はこちらにわかりやすい画像があります。
# 余談ですが決算公告の単位が銭なのもポイント高いですね

それで、この見るからに白髪染めの会社、正体はなんだろうということで帰宅して落ち着いてからググってみたところ「ちょっと詳しい白髪染めの歴史」というこれまた通好みな感じのするブログがトップに出てきまして、ここや他のサイトを見ているとどうやらアンティーク小壜コレクションの界隈では割と知られているんでしょうかという感じがしました。どうも明治38年が日本初だとか、そうではなくてこの年かどうかは確定的ではないとか、色々な話があるようで、どういうものであったかは以下の記事など見ていただくと楽しいかと思われます。
→ 白髪染めの歴史
→ 明治時代・後期の白髪染(その1)
→ 明治時代・後期の白髪染(その2)
→ 平成ボトル倶楽部日記 「君が代」・・・
→ 八郷の日々 「君が代」

というわけで、明治38年創業らしいこと、元は山吉商店という商号で浅草で店をやっていたことなどが知れるわけですけど、だとすると昭和30年で8期??って??という疑問が出てきます。当時は半期を以って1期としていた時期ですから昭和26-27年頃に改組したであろうことが予想されるわけですが、まさか終戦後の会社経理応急措置法と企業再建整備法の対象になるような軍需会社じゃあるまいし???と思って『産経会社年鑑』第3版他を見ましたら、昭和18年に有限会社に改組、昭和24年に株式会社に改組、昭和26年に改名、とあって、整合性が取れましたね。
なお、昭和29年で売上高1.2億昭和31年で1.08億昭和33年で1.5億くらいな感じのことが書いてありますから、パオンとかビゲンとかの戦後に出てきてヒットした白髪染めにシェアを取られつつ経済成長に乗って成長した様が垣間見えますかね。
# ビゲンとかパオンとか並んでると2年前に流行していたぴえんこえてぱおん🥺とか連想しますねw

その後「志ら毛染君が代」では昭和39年頃を境に出てこなくなるので倒産したか商号を変えたかしたなという感じで、そういう時は社長や取締役の名前か住所などで官報検索したりするわけですけど、そうすると、昭和40年には君が代に改称していたことがわかります。変体仮名続いていて良いですねw

出所:官報 昭和40年3月20日
出所:官報 昭和41年3月28日

このあと会社は存続しているのか、存続していないとしたらいつまで残っていたのか、ということが気になってさらに時代を下るわけですけども、決算公告で時代を下れるのは昭和47年までなんですけど、業界誌での会員名簿等では平成4年くらいまでは下れそうですかね、住所と電話番号は変わってないっぽいようで、検索すると株式会社君が代が出てくるし、当該住所には平成元年竣工の雑居ビルがありますから、事業は畳んでビルオーナーに衣替えして法人格は残っている、くらいな感じなのかもしれませんね。

【2022/12/23 8:50追記】
朝になったので登記情報調べに行きましたけど、廃業してました。ここで課金すればいつ廃業したかもわかるとは思うのですが、そこまでは良いかなと・・・

出所:登記情報提供サービス

【2022/12/24 10:50追記】
tnihei先生から、有限会社に転換、経堂に引っ越した後に、平成29年まで存続していたことを教えていただきました。上記の登記情報でいうと2番めの会社ですね。


記事をご覧になって、良い記事だとご評価下さるようでしたら、ぜひサポートをお願いします。