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BSテレビ東京のあの番組のガッカリ話

こんにちは、日伊通訳マッシ(@massi3112

テレビを持っていない僕ですら聞いたことがある、ある番組から問い合わせが来た話。

今までの経験から見ると「厳しい予算」「予算がない」「無料で当たり前」などの理由もあり、クリエイターに対するリスペクトが薄くて価値がないと感じたことが多かったからこのような依頼は最初から断っていた。
今回は興味がある番組で、しかもエピソードごとに違う外国人のストーリーや気持ちを丁寧に語るという記憶があった。連絡が来た制作会社の担当者さんのメールもしっかりしていて、返事をしたらすぐリモートで1時間半くらい僕のことしっかりを聞いてくれた。

最初からギャランティ(少ないけど、いつもよりと比べたら高め)と交通費がちゃんと出るのと、僕の過去や日本語を勉強した話から現在までの仕事を細かく話せる機会をもらったと感じて感謝していた。全国ネットの番組だから、多くの人にマッシの言葉を届けたくて、前向きに考えてやると決めた。

制作会社の担当者と話してから、撮影などをやる会社の担当者に変わってやりとりが始まった、というより地獄が現れてきた。

制作会社と話していた内容と撮影会社の担当者と言っていることが違う。よりも、メールでの対応が明らかに違う。まず内容は、横浜のスタジオで撮影すると聞いていたのに「東京のスタジオで」と言われた。え?と思い確認したら、「失礼しました、そうでした」と。僕は金沢から行くから東京と横浜の違いは大きいけど、撮影会社の担当者にとっては些細な違いだったのかもしれない。

今回はどんな対応をされてもやりたい、やろうと思った理由は番組のタイトルの通り、「ワタシが日本に住む理由」を皆さんに知ってもらえる良いチャンスだと思ったから。
日本に対するリスペクト、愛情、大好きな日本語を自分らしく熱く語りたいと思って少しずつ楽しみが大きくなっていったけど、テレビ局の裏の嫌な部分が出てきた。

僕が日本に住む理由から遠くなってしまう仕事ばかりを取材したがったり、マッシという人物を知ろうという気持ちが感じられなかった。外国人が日本に住む理由のために、僕を使って感動的なストーリーを作りたいという行動がだんだん大きくなっていて、途中から道具のようになった。こちらから仕事の説明とその大切さ、面白さを伝えても、恐らく向こうのストーリーがすでに出来上がっていたため、殆ど無視されていた。
テレビに流す感動的な物語という仕組みを分かっていたけど、「ワタシが日本に住む理由」より、外国人を使った物語。

向こうから撮影の依頼が来ていたのに、こっちが全てのスケジュールを合わせないといけない。驚いたのは、ゴールデンウィーク真っ只中に「仕事風景を撮りたい」という言葉。多くのお客様は休みだし、撮影したとしても何もならない風景しか撮れない。
こちらから出張の動きを伝えたり、お客様にも確認して撮影許可をもらったり努力していた結果、興味なし。どうしても、ゴールデンウィーク中に撮りたかったらしい。なぜか、今もその理由を知りたい。

さらに驚いたのは、やりとりの中で番組内の各コーナーの名前や流れが出てきた。ちなみに一切説明されずいきなり当たり前かのように言われたから、何のことか分からず何回も確認した。番組のことを説明せず、ただ相手の都合だけを言われていて、ますます道具のように扱われていると感じた。

一番悲しいことは、担当者の不親切な日本語だ。相手は外国人だから丁寧語ではなくても良いだろう、というようなニュアンスをどうしても感じてしまった。初めての仕事なのに文章の節々で上から目線のような言葉があったり、「〜して頂きたい。」というメールが来たこともある。タイプミスだったとしても、丁寧語以前の気持ちの問題。
面白いのは、このことをメールで指摘した途端に、ビジネスメールでよく見るしっかりとした文面になったこと。要するに、できるのにしていなかったということだ。

こんな長いやり取りの中で精神的に疲れてきて、この気持ちのままカメラの前でニコニコして自分のことを楽しく深く話すことは不可能だと感じた。
担当者にお断りのメールをしたところ、「わかりました。またご縁があれば〜」のような返事が来た。
その後、元々の依頼があった制作会社の担当者にあったことを伝えたら、謝罪とともに番組のコンセプト、流れの話を初めてされた。本来ならこれを一番最初に説明すべきでは?と思った。

忙しい中、前向きに考えてできるだけ相手に合わせて努力しようと決めていたのに、こうなった。やはり僕にはこの業界は合わないのかもしれない。悲しい結果になってしまったけど、社会人として勉強になったから完全に時間が無駄になったわけではない。

テレビで見る楽しい番組と、裏の制作を見ると、完全に白と黒、天国と地獄。ここまで読んでいただいてありがとう。この話を完全に無視するかどうか迷っていたけど、皆さんが見られない影の部分をお伝えすることで、少しでも何かの役に立てれば嬉しい。

Massi

みなさんからいただいたサポートを、次の出版に向けてより役に立つエッセイを書くために活かしたいと思います。読んでいただくだけで大きな力になるので、いつも感謝しています。