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マッサンのブロール構築記 Season 3 ⑥忘れられた大天使、リーサ

1.はじめに

怪物が跋扈する次元、イニストラード。「イニストラード:真夜中の狩り」が公開され早2ヶ月が経とうとしているが、皆様はこのホラー次元を楽しんでいるだろうか。

このイニストラード、吸血鬼や狼男、ゾンビなどが人を襲う恐怖の次元だが、この次元を見ているといつも思うことがある。そう、「誰か人間を護る者がいないのか?」ということである。

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先に正解を言うと、「いることにはいる」である。シガルダをはじめとする天使たち。彼女らがイニストラードにおける人間の庇護者であるのだ。

何か煮え切らない言い方をしてるって?いや、そうなのである。実はこの天使たちだが、実はほぼ壊滅状態にいるのである。

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少し前まではまだましだった。強力な天使であるアヴァシンがイニストラードを治めており、怪物たちはいるものの、人間たちはまだマトモに暮らせていたようである。

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なのだが、ある日を境にアヴァシンの態度が一変。「人間を皆殺しにして次元を浄化しなくてはいけない」という危険思想に取りつかれるようになる。

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それだけならまだいいのだが、実際に人間に手を出すようになってしまっては元も子もない。結局、アヴァシンは創造主であるソリンにより消滅させられてしまう。

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また、アヴァシン以外の他の守護天使たちも悲惨なもので、色々な経緯を経ておぞましい怪物になってしまった。アヴァシンや他の天使がいない中、さらに濃くなってしまった夜の闇を、シガルダだけが照らし続けている…おそらく人間にとってはこれほど絶望的な状況はないのではないだろうか。

…いや、まだ天使はいる。シガルダ以外にももう一人、人々を怪異から守り続ける天使がいる。彼女である。

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《忘れられた大天使、リーサ》

時は千年前、アヴァシンが生まれる前にさかのぼる。シガルダ、リーサ、ブルーナ、ギセラ。後に大天使と呼ばれる四姉妹がこの次元に産み落とされる。シガルダは人を護り、ブルーナは死者を護り、ギセラは怪異と戦い、リーサは怪異と交わる…それぞれ手段は違えど、「人を護る」という目的は共通していた。

ただ、リーサの「怪異と交わる」。これが当時のイニストラードのコンプラ的にマズかったので。

要はリーサの行動は「相手のことを理解してやれば無駄な争いを起こさなくていい」という精神に基づいてのことなのだが、何も事情を知らずに彼女の行動を見ていると、「天使でありながら対峙するべき怪物と親しくしている」と見えるわけで、そりゃもう異端認定待ったなしである。

しばらくはうまく行っていたものの、アヴァシンが現れてから状況は一転。「悪魔と契約する者に大天使はふさわしくない」と異端認定され、討ち取られてしまったのだ。

で、ひょんなことから復活したリーサだが、アヴァシンが斃れ、姉妹のうち2人がエルドラージ化、均衡を欠いたイニストラードはエライ事になっていた…というのが、「イニストラード:真夜中の狩り」で彼女が収録されている理由である。

今回は、この彼女を使い、悲惨なことになっているイニストラードに光をもたらす旅に出るとしよう。

2.こいつで何ができるのか

さてリーサだが、ゲーム的にはどのような能力を持っているのだろうか。確認していこう。

《忘れられた大天使、リーサ》
2WWB
伝説のクリーチャー ― - 天使
4 / 5
飛行、絆魂
あなたがコントロールしていてトークンでもこれでもないクリーチャー1体が死亡するたび、次の終了ステップの開始時に、そのカードをオーナーの手札に戻す。
対戦相手がコントロールしているクリーチャーが死亡するなら、代わりにそれを追放する。

5マナ4/5飛行絆魂。さすが天使の指導者、強力な性能であることに間違いはない。だが、注目するべきはその能力である。

まず、自軍のクリーチャーが死亡したとき、そのクリーチャーを終了ステップに手札に戻すことが出来る。まさに大天使の庇護、死んでももう一度生を受けることが出来るのである。「死は労働をやめる理由にはならない」とも言い変えられるがそこは触れないでおこう。

そしてもう一つ、相手のクリーチャーが死亡したときに、問答無用で追放することが可能となる。墓地から再利用可能なクリーチャーの種類は少なくなったものの、死亡時の能力誘発をチャラにできるという特徴があるので、完全に無駄にはならないだろう。

自分には利益を、相手には不自由を。リーサの色である白黒という色の特徴ではあるのだが、仮にも天使がこんなやり方でいいのだろうか。怪物から一体何を学んだのだろうか。

3.こいつでどうやって勝つのか

さて、リーサの能力だが、まとめると死亡時にクリーチャーを手札に戻すことが出来ると書いてある。基本的には相打ち同然でクリーチャーを突っ込ませ、コチラの戦線を維持するという戦法も取れるだろうが、一番考えるべきはこれだろう。

死亡時にクリーチャーを手札に戻す際、一番利益が大きい行動は何なのか。

色々考えられるだろうが、最も大きい場合はこれだろう。

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場に出た際、あるいは死亡した際に何かしらの能力を誘発させる場合である。

クリーチャーが死亡時に誘発する能力は、基本的に1度きりの誘発である。しかし、死んだクリーチャーが手札に戻ってくるなら話は別である。つまり、クリーチャーを潰しては再利用し、能力の再利用をすることが可能となるのである。

場に出た際に誘発する能力も同様である。コチラも基本的に1度きりの誘発なのだが、殺して再利用すればもう一度能力を使いまわすことが可能なのである。

つまり今回のリーサデッキ、方針をこのように設定することが可能である。

「リーサを軸に能力を持つクリーチャーを潰しては使いまわす」

天使の名のもとに人々は死すら許されない。こんなん異端認定されて当たり前だろ!いい加減にしろ!

4.どうやってデッキを組むか

それではどういうカードが使えるかを確認していこう。

①場に出た際/死亡した際に能力を誘発させるクリーチャー

まずは核となるこれらのクリーチャーである。例えばこういうのはどうだろうか。

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《野心的な農場労働者》
1W
クリーチャー ― - 人間・農民
1 / 1
野心的な農場労働者が戦場に出たとき、あなたは「あなたのライブラリーから基本平地・カード1枚を探し、公開し、あなたの手札に加える。その後、ライブラリーを切り直す。」を選んでもよい。
集会 — 1WW:野心的な農場労働者を変身させる。あなたがパワーが異なる3体以上のクリーチャーをコントロールしていなければ起動できない。

場に出た際に平地をライブラリーから持ってこられる2マナクリーチャーである。ある程度土地がないとリーサを運用できないという側面があるため、こういうクリーチャーは積極的に使ってやったほうがいいだろう。

また、このクリーチャーだが、集会達成時、マナを払いひっくり返して変身させることが出来る。それがコチラ。

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《歴戦の聖戦士》
クリーチャー ― - 人間・騎士
3 / 3
絆魂

性能的には単なる3/3絆魂だが、リーサがいれば相打ち上等で殴って行っても大丈夫だろう。討ち死にしてもエンドステップに手札に戻し、再度能力を利用することも可能だからだ。

次に、こういうクリーチャーはどうだろうか。

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《悪魔の信奉者》
2B
クリーチャー ― - 人間・クレリック
3 / 1
悪魔の信奉者が戦場に出たとき、各プレイヤーはそれぞれクリーチャー1体かプレインズウォーカー1体を生け贄に捧げる。

至って単純、お互いにクリーチャーかプレインズウォーカーを生贄に捧げることを要求するクリーチャーである。

互いにパーマネントを差し出すため、一見平等に見えるのだが、リーサがいると話は別。自分が生贄に捧げたクリーチャーは手札に帰ってくるので、一方的に相手の盤面だけズタズタにできるのだ。何ならこいつ自身を生贄に捧げ、延々と使いまわすという非人道的行為も可能である。

更に、こういうクリーチャーも使用できるだろう

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《剛胆な敵対者》
1W
クリーチャー ― - 人間・スカウト
3 / 1
絆魂
剛胆な敵対者が戦場に出たとき、あなたは望む回数の1Wを支払ってもよい。あなたがこのコストを1回以上支払ったとき、剛胆な敵対者の上にその回数に等しい数の武勇カウンターを置く。
あなたがコントロールしているすべてのクリーチャーは、剛胆な敵対者の上にある武勇カウンター1個につき+1/+1の修整を受ける。

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《穢れた敵対者》
1B
クリーチャー ― - ゾンビ
2 / 3
接死
穢れた敵対者が戦場に出たとき、あなたは2Bを望む回数支払ってもよい。あなたがこのコストを1回以上支払ったとき、その回数に等しい数の+1/+1カウンターを穢れた敵対者の上に置く。その後、その回数の2倍の数の、腐乱を持つ黒の2/2のゾンビ・クリーチャー・トークンを生成する。(腐乱を持つクリーチャーではブロックできない。それが攻撃したとき、戦闘終了時に、それを生け贄に捧げる。)

いわゆる「敵対者」サイクルに属する彼ら。以前の記事でも取り上げたことがあるのだが、今回も十分活躍を見込むことが出来る。何故かというと、これらのクリーチャーは「場に出た際に」マナを払うかどうかを判断するからである。

序盤に出して3/1絆魂や2/3接死として扱いながら、マナが貯まった頃合いを見計らい手札に戻し、マナを払って再展開という動きが可能となる。一気に強化したり、ゾンビの群れを出したりして押し切ってやろう。

死亡時に誘発する能力に注目すると、こういうクリーチャーも採用できる。

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《霜の暴君、アイシングデス》
2WW
伝説のクリーチャー ― - ドラゴン
4 / 3
飛行、警戒
霜の暴君、アイシングデスが死亡したとき、「霜の舌、アイシングデス」という名前で「装備しているクリーチャーは+2/+0の修整を受ける。」と「装備しているクリーチャーが攻撃するたび、防御プレイヤーがコントロールしているクリーチャー1体を対象とする。それをタップする。」と装備2を持つ白の伝説の装備品・アーティファクト・トークン1つを生成する。

死亡時に高性能な装備品を用意してくれるクリーチャーだが、リーサがいるとあえて自分を死亡させながら、装備品を生成しつつ再展開し、なんなら自身に装備品をくっつけて殴りに行くことが可能となる。装備込み込みだと6/3飛行警戒、攻撃時に相手クリーチャーをタップ可能というバケモンが出来上がる。当然採用だ。

②生贄に捧げる手段

…とまあ、色々なクリーチャーがいるのだが、リーサが横にいると相手はこう考えるに違いない。「相手のクリーチャーを殺してはいけない」と。何が言いたいかというと、相手に自分のクリーチャーの管理を任せてはいけないということである。

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もう少し平たく言うと、クリーチャーを自壊させる手段を持っておこうということだ。というわけで、生贄に捧げる手段を探しに行こう。

例えば、こういうのはどうだろうか。

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《ターグリッドの影》
3BB
インスタント
各プレイヤーはそれぞれクリーチャー2体を生け贄に捧げる。
予顕2BB(あなたのターンの間、あなたは2を支払って、あなたの手札からこのカードを裏向きに追放してもよい。後のターンに、これの予顕コストでこれを唱えてもよい。)

お互いにクリーチャーを2体生贄に捧げる呪文である。シンプルな分使い勝手がよく、相手の盤面に打撃を与えながら、こちらは能力を使いまわすことが可能なクリーチャーを生贄に捧げることが出来る。インスタントであるため奇襲性が高く、相手のターンに撃つことで、相手のエンドステップにリーサの能力を使えるということは知っていて損はないだろう。

他には、こういうカードはどうだろうか。

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《秘宝の薬瓶》
3
アーティファクト
2, T, クリーチャー1体を生け贄に捧げる:カードを1枚引く。
あなたがクレリックをコントロールしているかぎり、秘宝の薬瓶は「あなたがコントロールしているクリーチャーが1体死亡するたび、各対戦相手はそれぞれ1点のライフを失い、あなたは1点のライフを得る。」を持つ。

2マナタップでクリーチャーを生贄に捧げ、カードを引くことが出来るアーティファクトである。シンプルながら有用であり、アーティファクトであるため相手に対応されづらいという利点もある。継続的に生贄に捧げることが可能というのも大きいだろう。

なお、クレリックがいれば色々お得要素がついてくるのだが、肝心のリーサがクレリックではないので、ここは無視してもいい。

また、生贄手段を多数入れておくと、こういうクリーチャーも使用できそうだ。

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《肉削ぎ屋》
WB
クリーチャー ― - 人間・暗殺者
2 / 2
あなたがこれでないクリーチャー1体を生け贄に捧げるたび、あなたは1点のライフを得て占術1を行う。(あなたのライブラリーの一番上にあるカード1枚を見る。あなたはそのカードをあなたのライブラリーの一番下に置いてもよい。)
1, これでないクリーチャー1体を生け贄に捧げる:ターン終了時まで、肉削ぎ屋は+2/+2の修整を受ける。

クリーチャーを生贄に捧げるたび、回復と占術が行えるクリーチャーである。また、本人も生贄に捧げる手段を要しており、人様を生贄に捧げる代わりにムキムキ巨大化していく。仮に自身が死んでも、リーサで戻せばOKだ。こんなあからさまな犯罪者の世話もしてくれるリーサの心は海よりも深いのである。

5.サンプルデッキ

というわけでコチラ。リーサ主導の元終結した人間怪物連合軍である。鷹の団か何かかな?以下のリンクからMTGアリーナで遊べるデッキリストがダウンロードが可能なので、ぜひお手に取って遊んでいただきたい。

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根っこは先に挙げた方針通りのデッキに仕上げたが、そこにアレンジ要素として「天使を使う」ということに焦点を当てたカードをいくらか足してみた。確かにイニストラードでは天使はもはや絶滅危惧種なのだが、実は他の次元ではそうでもない。カルドハイムやゼンディカーという天使の名産地があるのでそこの天使を招聘してやろう。

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クリーチャーがかなりの頻度で死亡するので、それと関連したギミックを持つカードをいくつか採用している。例えばこの《ドラコリッチ・エボンデス》なんかは、クリーチャーが死亡した際に墓地から唱えることが可能となる。リーサで手札に戻るから墓地に行かないのでは?というツッコミは無しだ。

6.終わりに

今回はリーサを軸にしてクリーチャーの誘発型能力を使いまわすデッキを構築してみた。昨今の白黒はアグロに寄っているカードが多いので、なかなかこういうデッキはブロールでも見かけないと思うが、EtB能力が大好きな筆者は個人的に気に入っている類のデッキである。

このデッキだが、別に今回のように能力を使いまわす方向性に寄せなくても、「白黒の強力な天使」ということに注目し、カルドハイムの天使カードと組み合わせることをメインに運用する方法もあるだろう。

100人いれば100通りの構築が考えられる環境、それこそがブロールである。ぜひ皆様も、このデッキをベースに、自身が一番しっくりくるデッキを考えてもらいたい。

折しも来週、MTGアリーナでは新セット「イニストラード:真紅の契り」が解禁される。そこで新たなカードを投入しても面白いかもしれない。色々トライしてみてはいかがだろうか?

よかったらサポートして頂けると幸いです。MTGアリーナの活動などに充てたいと思います。