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【吟遊詩】レジャーモービルの女

新谷雅先
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レジャーモービルの女

夜も越え 薄ら灯り 揺れるまなざし
知ったかの 懐かしい レジャーモービルの女

切れ長な 光る瞳 濡れた道を
振り返り 時を忘れ レジャーモービルの女

 飛び出すな熱い汗よ 風に奪われ消えてしまう
 疲れを知らない 気ままな女

夜は明けた ため息つく 窓は曇って
力込めた か細い腕 レジャーモービルの女

 飛び出すな熱い汗よ 風に奪われ消えてしまう
 疲れを知らない 気ままな女

夜は明けた ため息つく 窓は曇って
力込めた か細い腕 レジャーモービルの女


 77年2月のある日、ぼくは一夜限りのアルバイトで、長距離トラックの助手席に乗っていた。行き先は熊本で、こちらで積み込んだ荷物を下ろす仕事だった。
 元来人見知りのぼくだが、トラックの運転手さんとは妙にウマが合い、車中ずっと話していた。その運転手さんと話しているときに、気になる言葉が出てきた。それは『レジャーモービル』という初めて聞く言葉だった。すぐさまぼくは、
「レジャーモービルって何ですか?」と聞いた。すると運転手さんは、
「自家用車のことだ」と教えてくれた。
 それがヒントになった。そのレジャーモービルという言葉と、当時流行っていた言葉を組み合わせて歌詞を作り、それに曲を付けた。ブルース。

 こういう曲を作ったのは初めてだったので、すごく興奮したものだ。
 そしてその数年後、ぼくはこの曲をひっさげてヤマハのポプコンに応募することになる。身内の評判がけっこう良かったので期待したのだが、一次審査で落とされてしまう。
 それが悔しくて、さらに二十年後、同じくヤマハのプレイヤーズ王国に投稿する。しかし、そこまで順位は上がらなかった。
 気が治まらないぼくは、その一年後、再度プレイヤーズ王国に投稿した。だけど、その時はほとんど聴いてもらえなかった。

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