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【詩】都会

1,
高いビルに登って景色を見ると
目の前に現れるのは、
空と雲と遠くの山の影ばかり。
牧歌的な雰囲気には浸れるものの
昔憧れた都会の窓が見えない。
街を映し、並木を映し、
行き交う人の顔を映す、
そんな都会の窓が見えない。


2,
都会の鳥はカラスなんだと
いったいだれが決めたのだ。
メジロとかウグイスなどの
野鳥もやってくるんだから
カラスなんて言わないでほしい。
都会の象徴はゴミだと言って、
それをエサにするカラスを
都会の鳥だと決めつけたのか。


3,
都会の裏側は古い木の香りが漂う。
都会の裏側は醤油の染みたにおいがする。
都会の裏側はほのかに樟脳の臭いもする。

都会の裏側はいつも猫が主役で、
都会の裏側はいつも猫が寝ていて、
都会の裏側はいつも猫が笑っている。

都会の裏側は自転車がキーキー息をする。
都会の裏側は自転車がパンパンはじけている。
都会の裏側は自転車がリンリン鳴り響く。


4,
都会の子供は駆けっこをしない。
都会の婆さんは駆けっこをする。

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