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#8.消費されるべくして消費されるコンテンツ [2020/06/30]

 コンテンツは今やありとあらゆる空間に存在し、私たちの限られた時間を奪おうとする。私はいつも「負けてたまるか」と思っている。歯を食いしばって、これ以上私の時間を浪費してたまるもんかと思いながらもコンテンツを消費することを享受するのだ。
 モノづくりのプロによって作られたコンテンツはいとも容易く私たちの日常に入り込み浸食していく。モノづくりのプロは心を動かすプロだ。私達消費者がなにを望み、なにに時間を費やしてもよいかを知り尽くしている。放置ゲーと聞いて始めた「氷河の上で可愛い動物たちを育てるゲーム」は新たに育てられる動物や建築できる建物がどんどん追加され、私にとっては一ミリも目を離せない密着ゲーとなってしまった。「自分の手で愛着をもって育て上げた動物たち」が可愛いのであって「知らん間にデカくなった動物たち」はさほど可愛くない。私はそう思うのだ。動物を増やして自分だけの氷河をどんどんデカくしていくことに喜びを感じるプレイヤーはいずれ課金をするかもしれない。製作者にとってはその方が嬉しいはずだ。自分がつくったゲームに夢中でかじりついてお金まで落としてくれるプレイヤーがいたらそれは冥利に尽きるだろう。それが心を動かすということだ。
 もしかすると人の心を「金を払うように煽っている人」を批判しているように聞こえるだろうか?それはとんでもない。誰か一人でも動かすことが出来たならそれは素晴らしい成果だ。それを成し遂げる人のことをどうして批判なぞ出来ようか。
 世の中に存在するモノの多くはユーザーのことを考えて作られている。全てではないことはみなさんお分かりだろうからここでは割愛する。話を戻すが、何かを創作するということはそれを利用する人のことを考える行為を伴う。椅子を例に出してみようか。このデザインは喜ばれるだろうか。部屋のイメージに同調するものだろうか。座り心地はどうだろうか。座っていたいと思わせるようなものだろうか。価格はどうか?この椅子に支払ってもよい対価として適切に設定されているだろうか。そんなことを考えられながら椅子は作られる。私は椅子を作ったことがないので椅子職人に「違うよ」と言われれば謝罪するしかないが大半の人はこのイメージを共有できると思われる。椅子は座る人のことを考えて作られている。そして、座った人がなるたけ良い印象を抱き、座ってくれればくれるほど作った甲斐が生じる。ほら、職人をイメージするとめちゃくちゃ今の言ってそうじゃんか。
 椅子を例にしたが何を例にとっても概ね同じことが言える。テレビは視聴率をあげるため、動画も再生回数をふやすため、本は読んでもらうため、飲食物は摂取してもらうため、服は着てもらうため、家は住んでもらうため。
やはりなにかを作るということはユーザーにそれをユーズしてもらうことを目的する。「ものを作るのはそれだけのためではないよ」そんな声が聞こえた。それも確かにそうだろう。椅子の例を挙げた際にも触れたことだがモノには対価が支払われるべきだ。だとすると金を得ることが目的であって、ユーザーに消費されることは手段なのではないか?こういう疑問が浮かぶ。それは間違いだとハッキリ断言させてほしい。
 あなたは何かを無理矢理購入させられたことがあるだろうか?もしあるのならばそれは刑法に反する、三年以内の出来事であれば起訴できるらしいから調べてみるといいだろう。私が言いたいのは、「ユーザーとの合意」があって初めて「対価が支払われる」ことが成立するということである。金を支払ってもよいだけの魅力を感じて初めてモノに対して対価が支払われるのである。ユーザーの目線に立たなければモノに対価は支払われない。それだけにモノづくりのプロはより多くのユーザーを惹きつけ、より多くユーザーの時間を奪うものを考え続けているのだ。すごいよね。
 金を支払うとき、なぜ自分がそれに金を支払おうとしたのか、どこに惹かれたのか、本当に支払うだけの価値があるのかを考えるとまた見えてくるものがあるだろう。
 常にそんなことを考えていると疲れちゃうから私は無心でリゼロのガチャガチャを回した。レムのキーホルダーがほしくて。知ってます?ガチャガチャって200円でハンドル回すの楽しんだらおまけでオモチャとかもらえるんですよ。すごいですよね。すごく危険です。

職人が「プロフェッショナル 仕事の流儀」で言いそうなこと

椅子を作るって、座る人の事を想うってことなんですね。
ええ、そうですね自分の言葉が今すごく腑に落ちました。
椅子の事を考える時間と同じだけ座る人の事を考えてます。
もしかしたら椅子のことより考えてるかもしれない。(笑)
でもそういうことなんです。
それ以上でも、それ以下でもありません。 
-- 井須 創氏著『椅子を作る、人を作る』より

twitterの宣伝

twitterの宣伝です。そうです。

可愛いペンギンです。かわいいでしょ。
それでは!


かゆ うま
日記はここで途切れている。

私のようなものにはまだ早い