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展覧会岡本太郎へ行って来た。

岡本太郎といえば芸術は爆発だ!のおじさんだ。

その昔、片思いの人と青山にある岡本太郎記念館に行ったことがある。既にその人にはフラれていたが何故か一緒に行こうと誘われたのだ。

もちろんウキウキで彼に着いて行き岡本太郎の作品を見て回った。ハ ズ だ が!作品の記憶がほとんど残っていない。そりゃそうである。片思いの人が横にいるのに芸術作品に集中なんかできる訳がない。私は器用な人間ではないので岡本太郎と彼を両方楽しめる余裕が無かった。

その後近くのスタバへ行って、特に何事がある訳でもなく解散した。フラれているから仕方がない。向こうから誘ってきたのはたぶん岡本太郎に興味がありそうな知り合いが私しか浮かばなかったからだと思う。それはそれでいい。気を持たせるそぶりなんぞするな!と怒りはしない。だって既にフラれているんですから。

話が大きく逸れたが、私の中の岡本太郎の思い出はそのぐらいしか無かった。

その後奈良に移り住んだが、お隣の大阪の太陽の塔のある万博公園に行くような事も無かった。ただ、岡本太郎のインパクトある作品、狂気に満ちているけれどどこか可愛らしさ漂う作風は好きだった。

そんなある日、大阪の中之島美術館で岡本太郎展をやることをsnsか何かで聞き付け、これは行くしかない!と思い立ちあの黒く四角い建物へ勇み向かった。

中之島美術館

青山の二の舞には絶対にならないぞ。何故なら私はもう結婚しており、子どもも二人いて恋だとか片思いだとか無縁だからだ。お一人様で全エネルギーを作品に集中させ、岡本太郎を存分に堪能してやる。

最近は事前予約で日時指定のチケットを購入出来るので会場は特に混雑もしておらずスルッと中に入れた。

まず、パリ時代の作品が目に飛び込んできた。岡本太郎がパリに住んでいた事も知らなかった気がする。気がする、のはたぶん青山の岡本太郎記念館で知ったハズだがすっかり忘れていたのが正しい。

なんとも寂しげで孤独で、でも圧倒的なパワーを感じる作品。明暗の対比が眩しいほど。独特な存在感に背筋が凍るような怖さも孕んだ絵画。それでも希望に満ちた感情も感じる。一枚の作品の中にどんだけの感情を込めて描いているのだろう。自身の収まらないエネルギーを絵に注いで、描くこと、作品に全身全霊を捧げている様が伝わる。

その後、戦地から引き上げてきてから描いた絵画の混沌とした作品を目の当たりにして胸が苦しくなった。悲痛苦悩の魂の叫びが刻まれている。私は岡本太郎が出征していた事も知らなかった。いや、たぶん知っていたがすっかり忘れていた。

彼の作品は恐怖、孤独、狂気だけではない。そこに彼の魂のユーモアさが溢れている。上手く言えないがそれが彼の作品の素晴らしさなんだと思う。

頭で考えていたものを自分の手という手段で具現化し、頭で考えていない感情の部分を筆に宿す。圧倒的なパワーとエネルギーでありったけの魂を作品にぶち込む。正に芸術は爆発だ!それを体現していてとにかくすごい。常人ではない。普通の人間にこんな事は出来ない。彼はきっと人を超えた超人なのだと思う。

展覧会で作品と対峙し融合し過ぎて疲れると思ったがそこまで疲れることは無かった。たくさんのパワーとエネルギーをもらえて心が満たされた。

今度、太陽の塔を見に行きたいと思う。きっとものすごいパワーで満ち溢れ聳え立っているのだと思う。

展覧会岡本太郎、素晴らしかった!

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