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ギラン・バレー闘病備忘録#2 『この症状、絶対ウチじゃないよ!』
最初の違和感を感じてから数週間が経ち、みるみるうちに症状は悪化し、ついには平坦な道ですら転ぶようになった。携帯を操作するのもままならない、ギターを弾くなどもっての外だ。
箸を持つことすらもできなくなっていたので、食事はフォークとスプーンだった。
食卓に並べられたのは心做しか和食が多かった。
味噌汁がいつの間にmiso soupになっていた。
そんな極限状態であるにも関わらず、あらゆる病院にたらい回しにされた。
『所見ではギラン・バレーってことはないと思いますけどねぇ』
発症の仕方は本来、両下肢、両上肢、呼吸器と決まった順で症状が現れるそうだが、
私は左手、右手、左足、右足という型破りで
トリッキーすぎる順だった。
そのため、診断結果を決定づける様々な検査をものの見事に掻い潜ってしまったのだ。
検査中は色んなことが頭の中を駆け巡る。
昨日の夕食、好きな人の顔、2週間後に迫ったドラフト会議。
頭いっぱいに思い浮かべて気を紛らわせた。自分を守るため、最悪な結果を暗示し続ける癖がある。
しかし、もうこの身体と付き合うのは懲り懲りなので、最悪な結果でもいいから早く診断して欲しかった。
『自律神経失調症なんじゃないかな?心療内科の紹介状、書いておくから』
そんな訳ない。びっこ引いて握力落ちてる患者のメンタルにまでトドメを刺さないで欲しい。
仕方なく心療内科へ向かう。初診だったので重い足を引きずり受付と待合室を行ったり来たりしていると、奥から
『この症状は絶対ウチじゃない!すぐ大学病院へ行った方がいいよ!』
と頼もしすぎる一言をこちらへ向かいながら心療内科の先生がかけてくれ、その足で大学病院の紹介状を書いてくれた。
初診料5,000円支払った。なんでだよ。
こうして大学病院で診察を受けられることになったのだが、ここから壮絶すぎる体験と10代にとってはあまりにも長く感じた入院生活を送ることなど、この時はまだ知る由もなかった。
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