最近のサウナ、息苦しくないですか。~ととのいの強制~

サウナブームだ。

数年前に始まったサウナブーム、その勢いは衰える事が無い。
新しいサウナがオープンしたとあればニュースになり、どこどこの銭湯サウナがリニューアルした、オートロウリュを導入した・・・そのような話題がSNSを駆け巡り、「サウナー」と呼ばれるサウナ愛好家はこぞって「聖地」と呼ばれるサウナで「整う」。

サウナに興味がない方からすると信じられないかもしれないが、「サウナシュラン」と呼ばれるサウナの格付けが行われるだけでは飽き足らず、「熱波師」と呼ばれるサウナでタオルを振り回し、風を発生させる職業の人々がアイドルのように持て囃されたり、「サウナビルダー」という肩書が生まれたり、挙句の果てには「プロサウナー」という評論家の方々が公演イベントをおこなったりしている。
ただサウナに入って汗を出すのにプロも素人も無いと思うが成立してしまっている以上はしょうがない。

その様相は10年以上前のラーメンブームを彷彿とさせる。
ラーメンブーム当時、私は小~高校生だったが「ラーメン評論家」「ラーメン神」なる存在が幅を利かせていた。ただラーメン食うおっさんが金を稼いでるのを見て憧れたものだ。

このように書くと私がサウナに関して否定的なスタンスのように思われるが断じてそんなことは無い。

こんなnote書きむしいることからわかるように、私もいわゆる「サウナー」である。

しかしそんなサウナーだからこそ感じる事がある。

最近のサウナ、息苦しくないですか?

ととのう事が強制されている

ととのう、という言葉をご存じだろうか。

高温のサウナと低温の水風呂を交互に行き来することで交感神経と副交感神経を強制的に切り替え、自律神経を「整える」ことを指すこの言葉。

ここ数年のサウナブームと共に一気に広がった。

サウナが付いている銭湯や、スーパー銭湯で若者が「整うわ~~~~」と言っているのを聞いたことがある人もいるのではないか。

サウナをテーマにしたドラマ、サ道でも主演の原田泰造氏が「ととのった~~~!」と言いながら恍惚の表情を浮かべるシーンが印象的だ。

さて、この整うという概念だかここ数年に発生したものである。

私の知る限りは上記のドラマ「サ道」の原作であり、タナカカツキ氏が制作をした漫画「サ道」で使用されたのが起源である。

サウナと水風呂を繰り返すとなんとなく気持ちいい、という概念は昔から存在していたと思われるが、それに名前がついたことで多くの人が「整う」ことを目的としてサウナに入るようになった。

その結果、「サウナで整えない」「整うという感覚が分からない」という悩みが生まれてしまった。

ハッキリ言うが私は明確に「整った」と感じたことは無い。

サウナ入って水風呂入って、冬の冷たい空気に身をさらすと「気持ちいいな~~~~」と思う程度である。

しかし、そんな私も整うという概念を知ってしまってからしばらくの間は「整わなければ・・・」と思いサウナに入っても心のどこかに焦燥感があった。

今にして思えば滑稽な悩みだが、当時は本気で「整っていない自分はダサいのでは?」と考えていた。

リフレッシュするためのサウナで強迫観念にかられていたのだ。

マニアの押し付けがウザい

突然だがあなたはコンビニのコーヒーを飲むだろうか?

100円程度で豆から挽いた本格的なコーヒーを楽しめるので私はよく購入する、コンビニ各社の企業努力には頭が下がるばかりだ。

さて、そんなコンビニコーヒーを飲んでいるときにいきなり「コンビニコーヒー飲んでるの!?東京の○○って店はバリスタが××産の豆を挽いてるんだよ!飲まないともったいないよ!」と言われたらどう思うだろうか。

私なら、「うるせぇなぁ、こちとら家の近所で飲める一番うまいコーヒーがこれなんだよ」となる。

これと似たようなことが昨今のサウナ界で起こっている。

もちろん、直接的にこのような言葉を投げかけられることは無い。

しかし、サウナに関する事柄を取り上げるメディアを見れば「天然水の水風呂・・・」「個室サウナ・・・」「サウナシュラン○○冠・・・」「熱波師の○○さんが××のサウナに来る」との見出しが躍り、Youtubeでインフルエンサーの動画を見れば有名サウナで「整っている」動画が再生されている。

さらにSNSではサウナーを自称する人々が東奔西走して有名サウナや、会員制の高級サウナに入っている様子が伺える。

さらにさらにnoteで#サウナを検索すれば小難しい言葉でサウナの素晴らしさを語った文章が踊っている。

そんな状況でただのサウナ好きである我々は思うのだ

「もしかして、俺ってブームに乗れてない?」

サウナは意識高い系の趣味になった

追い打ちをかける用で申し訳ないが、サウナはビジネスマンの必須ツールであるかのように語られる。

前述の「サ道」の登場人物の一人が有能コンサルタントであることもこの風潮を後押ししている。

「サウナで瞑想」「サウナでクリエイティブなアイディアが浮かぶ」「デキるビジネスパーソンはサウナでリフレッシュ」

こんな言説を聞いたことがないだろうか。

ビジネス系マガジンにも度々サウナが登場している。

思うに、サウナという存在が一昔前の筋トレのようにデキる男の必須ツールのように語られている。
ちなみに筋トレは「本人の努力が必須」なのでそこまで流行らなかった。
サウナは金払って入ればなにかを成し遂げたかのような感覚に陥るので現代の若者にハマった。

大丈夫、風呂なんて好きに入れ

サウナなんてただの風呂です、好きなように入りましょう。

「聖地」と呼ばれるサウナ施設にいくつか行った僕が一番気持ち良かったのは近所の銭湯のサウナの後にコンビニでビール買って家で飲んでる瞬間です。

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