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JUST FIT TAKARAZUKA

社会人になったら好きなバンドのライブに行こう。

それが学生時代のささやかな夢でした。

地方の田舎に住み、遠出は特にしない家庭で育った私にとって県外の会場でいつも行われているライブというものは未知の領域でした。限られたお小遣いでCDやDVDを細々と買いながら、働くようになったら新幹線でも飛行機でも乗ってライブに行くんだと心に決めていました。

そして無事に就活を終え晴れて新入社員に。しかし、就職先は土日祝は必ず出勤、長期休暇は存在しないというところでした。そもそもの休日も基本週に一度。2ヶ月に1回2連休があるかなという程度。

ものすごくライブに行きづらい会社をうっかり選んでしまいました。

まずチケットの発売に参加することが出来ず、毎回仕事中ぼんやりと時計を眺めてはもう完売だろうなと思ったり、ここ数年近くで開催されるようになった夏フェスにも行けずで昼休みにスマホでネットニュースを見ながら良いなと呟いたりするばかりでした。

そんな中、漫画・アニメ・ゲームなどを原作とした2.5次元舞台ブームが到来。自分の好きな作品がどんどん舞台化されていく様子を見て興味が湧き、内容を調べてみるとどうも公演は土日だけではなく平日もあるようで。それまで演劇は学校行事などで観て面白いなと思っていたぐらいでしたが、なるほどこれなら私でも行けるなとなり、隣県であったとある漫画原作の地方公演のチケットを取って観劇しに行きました。それが初めての自発的な観劇でした。

いや~面白かったな!観劇前に観た前作のDVDと本当に同じだった!定番のダンスもアンコールで一緒に踊れて嬉しかった!と終演後は充足感に満ち溢れ、そこから2.5次元舞台に嵌まるようになりました。基本DVDで観る、でしたがまだ運良く残っていたチケットを買って観に行ったりも。そんな中、原作がとても好きな作品でお気に入りの人物を演じられていてた俳優さんに衝撃を受け、今度この人が主演する舞台がある!絶対に行こう!となりました。

2.5次元という枠から飛び越えて、その人が出演するならと次第に純粋なストレートプレイの舞台作品も観るようになっていきました。しかしここでまた壁が。公演はおもに東京のみで、というものが多かったのです。

日帰り出来るが大阪遠いは遠い……東京はもっと遠い……大抵泊まりになる……。

俳優さんが新たにこの作品に出演しますと情報を出されても、行けないな……と度々なってはもどかしい気持ちでいっぱいでした。そんな中でふと目に留まったのが、宝塚歌劇団のその他劇場公演でした。

宝塚市以外でも舞台ってやるんだ。公演期間も結構あるみたいだし、有名だから一度ぐらいは観に行ってみたいな。

しかし予定との兼ね合いが上手くいかず、興味を持った公演を観ることは出来ませんでした。それから色々あって新卒で入社した会社を辞め1ヶ月ほどあった有給消化期間で心の余裕が出来たある日、今度また新しい公演をやるみたいだなとたまたま知りました。

少しして、ずっと通い続けている近所の本屋で初めて宝塚GRAPHの存在を認識し、そういえば次は宙組がやるって書いてあったな、宙組の人のインタビューが載っているようだから読んでみようかなと手に取ってページをめくった瞬間から、今に至ります。

現在は土日祝が公休な仕事に就いていますが、この流れでなければ宝塚には出会わなかったかもしれないと常々思います。

まとまった公演期間があって、各地で観ることが出来て、新しい作品が次々と生まれる宝塚。私にとっての「ちょうど良い」が詰まった、愛しくて有難い夢の世界です。


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