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JUNK FILM by TOEIを楽しく観る方法vol:04「処女監禁」

これまた簡潔明瞭かつヒドいタイトル・・・。関本郁夫監督1977。

あの東映も小予算丸出しの映画をゲリラ的に出してきたな、という第一印象。モテるのかモテないのか、どっちとも判断できる若いカメラマンのアンちゃんが、住み込みのフォトスタジオからある女の子を盗撮し始めて・・・。

現代からいえばありきたりな設定とは言えますが、あの!「時代劇の・・・」「任侠映画の・・・」「実録ヤクザ映画の・・・」「その裏でゴニョゴニョしてた映画の・・・」東映が!こんな個人的?な映画を制作するとは。

義理も人情も介入する余地のない、個人的な欲望を主題に堂々一本を撮り上げてます。というか、他人が出てこずに延々と主人公の一人相撲とも言えるわけで。。。東映特有の泥臭く、時としてクサい、義理の(実の)父子、兄弟や、恋人なんかとの関係、対話なんかが全くない本作品。実に東映っぽくないですが、「エグさ」という意味ではこれも東映!なのであります。

「処女監禁」と銘打った割にそもそもヒロイン?が処女じゃないのがスゲーよなぁ。。。登場時に「出身地:青森県下北郡佐井村」とわざわざ細かいテロップを出すあたりも何か悪意を感じる。この映画の3年後には80年代に突入。

今、当時の物を読み返すとやたら「田舎差別」「ファッション差別」が蔓延してるのに驚きます。村上龍臭というか、なんか鼻につく(出自を隠しての)上昇志向というかなんというか・・・。そして行き着く先は「別に地元にいるのが楽しいからいーや」の肩の力の抜けたマイルドヤンキー(なんか恥ずかしい語感・・・)ですか。時代は変わるもんです。

60年代・・・理想論が有効だった時代。戦争も身近で意味のある反権力。

70年代・・・理想が破れヤケクソ気味に享楽を追求しようとするもまだ「個人の良心」から自由になれない純情さが残存する時代。

80年代・・・田舎モンのままではいられない。田中康夫。バブル絶頂。ファミコン。

90年代・・・浜崎あゆみ?チーマー?渋谷系?日本語ラップは熱かった!

00年代・・・これ以降なにか表象するものが思いつかない。。。

実は、今生きてる時代がこうだ!って断言できるのは難しいのかもしれませんね。昔の映画を見まくってて朧げに「今との対比で」生まれる前の時代の何かを掴んでいるだけであって。それすらも大きな誤解だという可能性も大いにあるのですが・・・。

と、話を戻すとこの映画自体は主人公(変態すぎるので)には感情移入できないし、女の子にもあんまりグッとこないし・・・なのですが、主人公の変態性をそのままダイレクトに表現したのはさすが東映!愚作「Kenji」でもこんなにオナニーシーンを展開してないよ。捨て身の気持ちで撮りましたが。。。

まあストーカーなんて言葉が誕生するだいぶ前だから撮れたっていうのはあるのかな。監禁は犯罪です!


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