あの懐かしい学食で、またあのうどんが食べられたらいいな
私は自宅から大学に通っていた。でも大学ともなると日本全国から学生が集まってくるもの。方言が飛び交ったりして面白く楽しかった記憶しかない。
うちの大学はこじんまりしていてアットホームな感じ。同学年の人はもとより他学部の人もたいてい知っていた。それほど学生が少ない大学だった。
あまりみんなで集まるような場所がない狭い敷地内で唯一活気があったのが学生食堂。朝から晩までまあ1人しかいないこともあったけれど、いつも人がいた。
そこのメニューはそれほどご馳走だったわけではない。でも思い出すと懐かしい。定食に小鉢をプラスしててんこ盛り食べる男子学生。少食なのか小さな1品で済ませる友達の女の子。おばちゃんの手作りの味がまるで家で親にご飯を作ってもらったような感覚になる。
私は昼ごはんを菓子パンで済ませることが多かった。しかも2個も食べていた。友達からは「なんでそんなに食べて太らないの?」とよく聞かれた。(しかし実を言うとそのころ摂食障害にかかっていて体重をコントロールしていました)
なぜ菓子パンばかり食べていたかというと、ただ「安上がりだったから」という理由。親からは一銭も小遣いをもらわずバイトから食費も出していたので、菓子パンならせいぜい300円でおさまるだろうと。
定食を食べている人が羨ましかった。すぐ500円を超えてしまうから私には手が出なかった。栄養より満腹感をひたすら求めていた。そして夜になると一人暮らしの学生が晩ご飯を食堂で食べている姿をよく見かける。それも羨ましかった。
当時母が仕事をしていたので私は毎日毎日自宅の夕飯のことを考えないといけない。学校帰りに1つ前のバス停で降りて生協で食材を買って帰る。牛乳も切らせないし父のお決まりの朝ごはんのバナナも切らせない。重くてヘトヘトだった。
食事は母が作り置きしてくれたり私が作ったりまちまちだったけど、私が買い物をして帰らないと父と弟が飢える。いつも学食で晩ご飯を食べる友達が羨ましくて悲しかった。私もたまには学食で晩ご飯を食べて帰りたかった。
1番食べたかったのはうどん。シンプルでどこにでもある味だったけれど寒い日にたまに食べると涙がこぼれた。私ってなぜこんなに悲しい毎日なのだろう、と。
今でも多分学食は誰でも入れると思う。もし母校にもう一度行くことがあれば、迷わず「素うどん」を注文したいなあ。味、変わってるかなあ?全国各地バラバラになってしまった友達と学食で同窓会…なんてのもいいんじゃないかなあ。
今日は書く部のお題「もう一度食べたい、懐かしい『青春の味』」でお届けしました。