名称未設定アートワーク

イラストをデザインする

イラストは、見る人の印象を大きく左右する要素のひとつです。

この記事のアイキャッチのイラストを見るだけでも、左右でかなり印象が違うんじゃないかと思います。でも、1つのパーツは左右とも完全に同じ色を使っています。

・右側のナチュラル風は塗りムラをつくっているので、色が淡くふんわりとした質感で優しい感じを受けると思います。白もところどころ残しているので、紙の色ともなじみます。境界にぼかしが入るので、多少形が崩れていても見えづらいです。

・左側のポップ風はパキッと発色するので、強い印象になります。今回の配色だと「元気・明るい」みたいな感じを受けると思うのですが、色の境界をクッキリと分けて塗っているので形の取り方がよりシビアになります。

簡単に再現したこの1枚のイラストだけでも、様々な違いが見えると思います。「絵心がある人がささっと描いている」と思われがちなイラストですが、描く人はたくさんのことを考えているんです。

普段、イラストを描くときに考えていること

わたしは、現在、特にお仕事では、ふわふわしたタッチのイラストしか描いていません。カッコいい感じのイラストや、ポップな感じのイラストも描けないことはないのですが、自分の一番得意なタッチがこのあたりです。

イラストを描く上ではたくさんの選択肢があります。それをひとつひとつ選択して組み合わせた結果が完成品になるのですが、組み合わせ方によって無限のタッチがつくれます。

わたしの場合、学生時代に美大受験の一貫としてデッサンを勉強していたのですが、当時から形をクッキリと描写するのが苦手でした。線をたくさん引いてその中から選ぶのに時間がかかってしまい、思い切って線を引くことがドキドキしてしまい、なかなか挑戦していくことができませんでした。細かく質感を描きこんでいくことも苦手で、全体感を優先してしまうところがあったのです。

当時は「ぐっと描きこんでいけない」「シビアに形をとれない」ということにすごくコンプレックスを感じていたのですが、受験を終えて自分の作品作りをするようになってからは、そのコンプレックスを少しずつ強みに変えていくことができました。

描きたいタッチ=得意なタッチとは限らない

冒頭でナチュラルなタッチについて書いた通り、ふんわりとした線や塗りは、形が取りづらくてもカバーしやすい面があります。写実的な描写が少なくても柔らかな雰囲気で全体のまとまりが出しやすいのもメリットです。

イラストを描きはじめた頃に憧れていたイラストレーターさんは、ポップなイラストを描く方でした。クッキリと太い線に、鮮やかで強い色を使っているのがとても素敵で、真似しようと挑戦しましたが、なかなかうまくいかなかったんです。

その方の描いていた線は、黒くて太い、マジックみたいなクッキリとした線でした。試行錯誤の末、あれこれとペイントソフトの設定をいじっていく中で、線の色を少し薄いグレーに・細くすると描きやすいことに気づきました。

形の取り方も色の選び方も、わたしにはシビアに感じるポップなタッチは結局ほとんど身につかなかったのですが、自分の憧れるタッチ・好きなタッチが自分に合っているとは限らないと気づきました。

イラストをデザインしよう

描きたいタッチが描けないと心が折れそうになってしまいますが、少し線や色の設定を変えるだけで、ぐっと描きやすくなることがあります。それだけイラストは幅広いタッチがありますし、どんなモチーフ(世界)を描くかによってもまた気持ちが変わってきます。

イラストを描きたい方、ぜひ、自分のできそうな線や色、モチーフを選んで、組み合わせてデザインするような気持ちでやってみて欲しいと思います。洋服のコーディネートや、インテリアとも似ているところがたくさんあると思います。

ぜひ、イラストを特別なものと捉えすぎず、楽しんでもらえたら嬉しいです。

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