楽天の送料無料問題について出店社の中の人が実務レベルで思うことを述べてみる

ロクに自己紹介もしてないので、特に公表してませんでしたが、
筆者はWEB通販店舗を運営しているいわゆる「WEBショップの中の人」をやってます。
注文受けたり、発送対応したり、問い合わせ対応したりとかそういうやつですね。
で、その担当しているWEBショップは楽天市場に出店していたりもしますので、昨今の楽天さんの問題に振り回されている状態となってます。
一消費者としての感想はさておき、今、現場最前線にいる人間として、楽天の送料無料問題についてまとめておこうと思います。
申し添えておきますと、私個人が考えている意見なので、私が属している会社の意向とも違いますし、また、調べが足りない部分もあるので、ソース等に間違えがあったらすみません。
その際にはご指摘いただければと思います。

楽天の送料無料問題ってそもそも何?

1店舗につき税込3980円以上のお買い物は送料無料にします!という楽天が打ち出した新施策。
楽天の三木谷さんはワンタリフ(統一送料)を目指している為、鳴り物入りでこの施策をぶち上げてます。
Amazonさんの場合は自分の倉庫(FBA)から出荷してるものであれば2000円以上のお買い物で送料無料にしているので、これに対抗したいということみたいですね。

しかし運送会社さんにはきちんと送料をお支払いしないといけませんので、この送料が実際に0円になるわけではありません。
つまり、利用者は確かに無料になりますが、実際はその分を誰かが肩代わりしているわけです。
通常であれば、店舗ですね。(ジャパネットさんがよく言う、送料はジャパネット負担!というやつです)
で、この肩代わりできる送料というのは、各店舗の利益率や方針によって出来る出来ないが判断されてます。
この部分を、楽天が一方的にライン決めして押し付けてきたのが問題になってます。
楽天がこの送料分を支払ってくれるなら何の文句もないんですが、店舗負担を強制しているのです。
これは独占禁止法の「優先的地位の濫用」にあたるのではないかと、施策発表当初から各店舗から非難が上がっていました。
「優先的地位の濫用」については各自ぐぐったり、他のニュース記事などでお調べください。

送料込みにするんだったら問題ないんじゃない?

さて、送料が店舗押し付けなのはわかったよ。
でもさ、元々送料無料って書いてあるやつって本当は送料込みなんでしょ?
だったら何の問題もないんじゃない?と思われるかもしれません。
いやいや、ところがどっこい、問題ありありのありです。
筆者が思い当たった部分をいくつかあげつらってみます。

今の送料無料は店舗が利益などを計算に入れつつ店舗負担(お客さんにとっては送料無料)としてるところも多いので、その条件を勝手に変更されるとそもそも商売として成り立たなくなるというお店も多いのです。
もちろん、上乗せして送料込みにしているところもあります。
この辺りは店舗の方針ですので、各店舗の表記を確認してもらう他ありません…。
そこも含め、楽天市場側のシステムやUIで込み表記にしてわかりやすくして欲しいところでもあります。

メーカー既製品は指定売価(定価)を守って欲しいと言われることも多いので価格を上乗せしにくい。
というか、店舗がチマチマ込みにしないでも、システムで合算表記とかできるはず。なぜやらないのか。

一律で送料負担の場合、地域ごとにも送料が違うから、送る場所によっては損になってしまう。
60サイズ 東京500円/北海道800円/沖縄1500円 の送料だとしましょう。
あなたであれば商品にいくら上乗せしますか?
1.1500円(沖縄以外の人大損)
2.送料の平均金額(平均より安い送料のところは損)
3.上乗せしない(店舗が丸々損するので利益が残らず赤字)

複数買いは送料の多重払いで損になる。
送料込みで2個買うと、同梱で1箱にまとめることができても送料が2回分になってしまい損になってしまいます。
楽天さんの言い分では、送料の変更はたとえ減額だとしても出来ない仕様らしいので、店舗側でも修正のしようがありません。
らしいっていうのは、まだどういうシステムになるのかさっぱり知らせていないからです(3/9現在)

例外条件や商品も多くて、実際よくわからない状態。
沖縄・離島は税込9800円以上に条件が上がっています。(北海道は3980円のまま)
大型荷物・クール便・お酒や本・CDなど特定の商品は対象外。
同梱できない商品は別途送料が発生する(メーカー直送品や受注生産品など)
などなど、楽天さんはお客様の利便性を優先してと言ってはいますが、逆に不便になっとるがな!

そんなに嫌なら辞めてAmazonとかに行けば良いじゃん

うん、嫌なら辞めろとはよく言われる言葉でもありますし、ごもっともとも思います。
しかし、大体の店舗さんは多店舗経営で既に出店済みだったりします。
問題は売り上げの比率です。
楽天の割合が少なければ良いけど、そうではない所が多いのです。
だいたい楽天の割合が多いか、バランスよく3割くらいというところが多いのではないかと。
(私個人の肌感覚なので、この辺は各店舗さんによって依存度が大きく変わってくると思います)
いきなり楽天分の売り上げが少なくなるのは辛いです。
他にお店出してるならそっちにお客さんもついていくでしょ?と思われるかもですが、オリジナル商品扱ってるお店ならそうかもです。
そうじゃないお店はなかなか難しいところです。
あとはポイント経済圏の問題もあります。
PayPay使うからYhooがいいとか、楽天ポイント貯めてるから他は嫌という方もいるので、簡単に辞めるというのも難しい問題です。

楽天も倉庫があるという話では?

楽天ロジスティックスというものが一応存在しています。
2000億円かけて準備してるとは言ってますが、まだまだ数が足りていません。
なんせ全国に6カ所しかありません。
AmazonのFBA並みに日本各地に作ってもらわないと、楽天各地に点在しているショップをカバーできないと思います。
そして残念ながら利用料がちょっとお高いですね。
というか楽天ロジスティックスも送料とってるじゃんってツッコミ。
せめてきっちりロジスティックスを配備しきってから、ロジ利用のものだけ送料無料とかしてくれたら良かったのに…。

楽天ユニオン?楽天友の会?

楽天ユニオンは有志が募って出来た団体。
送料無料問題を含め、楽天の不条理な規約変更について是正を求めている団体です。
若干過激なところも見受けられますが、小さな店舗の不安などを吸い上げようとはしてくれています。
もう一方の楽天友の会は出来たばっかりの組織です。
どうやらSOY(楽天ショップオブザイヤー)受賞店舗やネーションズ(※1)経験店舗=大手がメインの団体。
発起人がどこも大手なので楽天さんとは懇意な感じがしますが、詳細はよくわかりません。
※1 ネーションズ…楽天企画のベテラン店舗がチャレンジ店舗にノウハウを指導する勉強会。
教える側の店舗はチャレンジ店舗の月商の5%が指導料として支払われる。

今後の気になる部分

実務レベルのペーペーな「中の人」が気になるのはこんなところ。
あとはこの流れを許すと他のモールでもやってしまってOKになるのでそれはまずくない?というところでしょうか。
とりあえず、システム的に改修すれば解決する問題が多いので、変にややこしくする前にシステム改善を強くお願いしたいです。
3/9の14時現在も延期するけど申請制な!って言われて、申請窓口できてないし、申請した後もどうなるの?って感じで、本当にめんどくさいのでなんとかして欲しい。
ショップ内の商品の設定を全部直すの大変なんですよ!

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