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トランスニストリア(「沿ドニエストル共和国」)

モルドバとトランスニストリア(「沿ドニエストル共和国」)

1991年の旧ソ連崩壊に伴って独立したモルドバから、さらに独立を宣言した地域が、トランスニストリア、または「沿ドニエストル共和国」です。

ルーマニア系住民の多いモルドバからの独立を目指して、ソ連時代に移住してきたロシア系住民たちによって「建国」された、世界的には承認されていない国家です。

1992年のトランスニストリア戦争を経て「独立」状態になりました。人口50万人弱のこの地域の後ろ盾になっているのが、この地域に軍を駐留させているロシアです。

もっとも、この地域のロシア人は地域全体の人口の3割強くらいだとされています。ルーマニア系のモルドバ人、隣国ウクライナ人も、それぞれロシア人と同じくらい住んでいると言われています。

ロシアとモルドバ・ウクライナ

いま、南部ウクライナへの侵攻を強めているロシアですが、ここにきて、ロシア本土とこの地域を連結させることに狙いを変えたのではないか、と言われるようになりました。4月25日、「沿ドニエストル共和国内務省」が、政府の庁舎が何者かによって攻撃された、という発表のあと、その懸念が強まっています。

ウクライナ侵攻後、ウクライナの都市名がロシア語読みからウクライナ語読みに変わった(例:キエフ→キーウ)ことは記憶に新しいところですが、モルドバについても、モルドバの要請によって、日本でもルーマニア語読みで表記することになりました(首都キシニョフはキシナウに)。

ロシアの狙いは、果たしてモルドバにあるのでしょうか。もっとも、トランスニストリアの人口は50万人弱、面積は日本でいうと石川県と徳島県の間くらいです。モルドバ自体も、世界的な穀倉地帯であるウクライナに比べると、経済はふるっていません。

ただ、今までの歴史のなかでも、経済的なこと、損失・リスクなどを度外視して「民族のため」「誇りのため」に行われてきた領土拡張戦争は少なくありません。ウクライナ侵攻に行き詰まりをみせたロシアがどういう手に出るのか、注視したいところです。

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