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なぜ日本は原発を止められないのか?

青木美希さんの『なぜ日本は原発を止められないのか?』を読む。

福島原発事故から、原発廃止に踏み切った国もある。だが、原発事故の当事国であるにもかかわらず、この国は原発を止めることさえできずにいる。

それはなぜか。本書は、原子力ムラに巣食っている政・官・業・学、そしてマスコミの実態を、明確に解き明かしている。

その実態とは、それぞれが自らが所属する組織にしがみつき、その防衛・維持にのみ固執している。「今だけ、カネだけ、自分の組織だけ(※)」という退廃した姿と意識でしかない。

(※島崎邦彦『3.11 大津波の対策を邪魔した男たち』)

その在りようと意識こそが、原発事故を引き起こしたのだが、そのことへの深い反省もなく、またもや同じ道を辿ろうとしている。

この原子力ムラの村長は、総理大臣である。原発を止めるかどうかは、この「村長」の決断にかかっている。

だが、岸田「現村長」は、首相についたものの、中身が「空っぽ」であることはもはや隠しようがなくなってしまった。その岸田村長が、なぜか「原発推進」に前のめりになっている。

それを洗脳した人物が、岸田の首席秘書官の嶋田隆だ。

岸田とは開成高校の同窓で、元経済産業事務次官。退官後は東京電力ホールディングスの筆頭株主である原子力損害賠償・廃炉等支援機構の特別顧問に就任、東電の取締役も務めている。(写真は「ダイヤモンド・オンライン」から転載)

https://diamond.jp/articles/-/213081

『なぜ日本は原発を止められないのか?』でも、この人物に触れている。古賀茂明氏によると、嶋田こそが原発再稼働の「影の主役」であり、その狙いは「東電救済」なのだという。「今だけ、カネだけ、自分の組織だけ」の典型である。

https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/311812/3

原子力ムラにとっては「有能」な人物なのだろう。だが、この国にとっては害悪でしかない。空っぽな村長とそれを影で操る秘書官。

青木さんは、この著書の最後をこう結んでいる。
「首相がやればできる。やらないからできない。
この国の将来の姿を真剣に考える人物が首相になる日は来るだろうか。
それとも、次の事故を起こすのが先だろうか。」

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