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太宰治『右大臣實朝』面白い

 毎週日曜日の夜は、NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』を観ている。
史実は、鎌倉幕府の公式文書ともいうべき「吾妻鏡」、史実そのままより鎌倉幕府の正当性、適法性などを背景に書かれている。
 どういうことがあったかは、参考になるとして、記載された内容が真実や事実に即応するかいなかは、不明である。
 歴史学者は、様々な資料から、おそらく正しいのは、こうであろうと主張するだけ。もう終わったことだし、学術的にどうであろうと、一般人やフィクションとして活用する場合には、あまり関係はない。
 ただ誤解される場合もある。
 今回の大河ドラマで、近くは、第3代将軍源実朝が甥公暁(くぎょう)に殺される、いままでは、「くぎょう」と読んでいた、今回、正式?「こうぎょう」と呼ばれている。歴史家の統一見解だろうか。
 どっちでもいいんだ。
 『鎌倉殿の13人』も歴史学の専門書ではなく、売れっ子脚本家の三谷幸喜氏のフイクションである。いろいろなところで、いままでの思い込みや知識と異なるところがある。私は、ずぶのド素人、別に、おかしいとか思わない。小説なんだ、作り話である。
 まったくのウソ、でたらめではない。それなりの真実味や多くの証拠や資料には基づいていることだろう。
 だけど作り物、創作、つい思い込んでしまう。
 主人公の周辺的存在というか、中心の人物の一人、源実朝を描いた本はないかと調べると、あの有名な小説家である太宰治に『右大臣源実朝』を見つけた。太宰治は、中学校時代に教科書で学んだ「走れメロス」しか知らない。面白いためになる本ではあった。友情のためには死をもいとわない。現実の太宰は、印象的には、最期を情死する作家で、なんか意味深な世紀末的な感じを持っていると思っていた。変な先入観である。
 大筋は、実朝に対する印象は、三谷氏と大きくは違わない。でも、全然、あるいはまったく違う側面も多々ある。
 やはり物事は多面的に観ないと、実朝像がつかめなくなる。どうやっても、ほんとうのリアルな実朝は、つかめないけれど、自分なりの実朝像をつくってみたい。
 昔、若い頃、鎌倉の江の島へ行ったことがある。
 いい思い出、若い頃の青春だった。
 あの海辺で、実朝は、いろいろ考えたことであろう。
 春になったら、鎌倉や江の島へ行ってみたい。
 本は、まだ三分の一ぐらい、まだまだ、でも読みやすい。興味をもたせる書きぶりだ。随筆か小説か分類は知らない。
 いい書き物である。
 太宰治は、素晴らしい。

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