見出し画像

5月9日(火)基本コンセプト(番外編①)「熟成と冷凍」

今日の豊田は朝から快晴。
最低気温は11℃、最高気温は22℃で、曇りのち晴れ。
昨日の風は収まり、爽やかな一日でありました。ツツジはほぼ終わりですね。さて、

昨日は基本コンセプト④「二十四節気(旬)」についてのお話を致しましたが、今日からは番外編。基本コンセプトにはする迄もないかなぁとは思いつつ、気になっている点の一つでもあります。
ソレは「熟成と冷凍」。
熟成の方は基本コンセプト③に掲げた「醗酵」とも多少関係はするのですが、醗酵が酵母乳酸菌等の微生物の働きにより物質を分解することで人間にとって有効な食材に変化させることを言うのに対して、熟成は肉や魚等の自らの酵素の働きにより保水性を高めたり、タンパク質旨味成分であるアミノ酸ペプチドに変化させたりすることで、より一層柔らかくしたり、美味くなったりすることを言うようです。ちょっと前にはAging beef等と言って熟成肉なんかがブームになっていたことは記憶に新しいですね。

数年前にはサカナ業界に於いて画期的な動きがあったんです。
宮崎の長谷川水産と言う会社の社員である津本光弘さんと言う方が、ソレ迄魚の血抜きは活きている魚じゃないと出来ないと考えられていたのですが、エラ元を切り血管からホースで水を送り出す(更にはノズルを使って残った血と神経迄も押し出す)ことで、死んだ魚(市場やスーパーで売られている魚)でも血抜きが出来る「津本式究極の血抜き」を編み出したんです。
コレは衝撃的且つ革新的(革命的?)でしたねぇ。その血抜きした魚に一定の処理を施すと(細かく説明しているとキリが無いので、詳細は津本さんのyoutubeご参照)、魚であっても熟成肉と同様に長期保存が効き、更には旨味成分も増加するんです。

Food loss撲滅の観点からも、より美味しい魚を食べる方々にお届けするという観点からも、大変スバらしい技術なのであります。自分も数年前から道具をある程度買い揃えて時々やってますが、サカナは長持ちするし、熟成させると確かに旨味は増す(一定期間を超えると、シロウトがやってるやり方だけではソレ以上伸びない気もする)。
サカナは天気天候や海況によって市場に出ないようなコトもあるし、休市日等で魚が手に入らない日もある。その時には熟成させておいた魚を柔軟に活用するコトも出来るので、ある意味食材マネジメント上も便利なのであります。

また、今回修業をしていて思うのが、食材マネジメントの難しさ。全てをお任せで提供しているのならば、食材マネジメントも比較的ラクになるのですが、アラカルトだと出るか出ないか分からない食材でも一応用意はしておかなきゃならない。出なかった場合、翌日に繰り越したりするワケですが、その翌日、そのまた翌日となると、食材も劣化するので、食中毒リスクも高まる(コレは魚のみならず、肉でも、野菜でも…飲食店業界には食中毒保険と言うモノがあると、今回初めて知りました。が、一旦食中毒を出してしまうと、保険で金銭的な補償はされるものの、地に落ちた評判・風評は戻らないので、コレだけは絶対に避けねばならない問題なんです)。

折角鮮度の良いモノを仕入れて仕込んで来たのに、ソレを冷凍してしまうなんてイヤなので、個人的には冷凍はしない主義ではあるものの、有効な食材マネジメント・コストセーブ等の観点からは、ある程度冷凍も許容しないと、経営的には難しいと思うのです(コレには異論もあるとは思いますが)。
昨今では、熟成技術と同様に冷凍技術・解凍技術も様々な革新を遂げつつあるようで(矢張りフードロス削減の目的で色々と開発されてるみたい)、コレらの技術も取り入れながら、現実的で安価、且つ効率の良い食材マネジメントが出来たら良いな、と考えてます。
良い冷凍/解凍技術・方法等あれば、ご教示戴ければと思います。

明日は基本コンセプト(番外編②)「漁師料理」についてお届けする予定です。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?