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6月27日(火) 「有害鳥獣・ニホンジカ(解体編)」

今日の豊田は曇りのち晴れ。
最低気温は23℃、最高気温は32℃まで上昇。
琉球諸島は梅雨明けしましたが、コチラはまだまだ梅雨が続くようですね(今日は雨降ってないけど)。
今日辺りからは二十四節気夏至の次項で七十二候の「菖蒲華(あやめはなさく)」(花菖蒲が咲く時季)と言うコトでありまして、確かに最近アジサイの勢いが衰えつつあり、アヤメ・カキツバタハナショウブ等が勢い付いて来つつあるように思えます。さて、

昨日は韓国代表の臭い食べ物である「醗酵食品・ホンオフェ(洪魚膾)」について書いて行きましたが、今日は「有害鳥獣ニホンジカ(解体編)」について書いて行きたいと思います。

前回は「有害鳥獣・ニホンジカ(捕獲編)」でどのようにシカを獲っているのか、と言うコトについてお伝え致しましたので、今回はその後の処理である解体についてお伝えします。
ただ、コレについては所属する(してた?)猟隊で行われている解体方法であり、別のトコロでは異なる方法が採られている可能性もあるし、また保健所認可の解体処理施設での解体手順ではないことは、予めお伝えしておきます。

巻き狩りなり、なりで捕獲したシカについては、大抵軽トラの荷台に載せて解体を行う場所迄運んで来ます。捕獲して来たら、捕獲実績報告や有害鳥獣駆除の補助金申請の為に必要な報告の為の処置(写真撮影や尻尾切断等)を施します。
その後、野生のシカにはマダニ等が付いている可能性もあるので、ホース等で水をぶっ掛けて泥やら汚物、血等を洗い流しておきます(洗わない時もあるけど)。
その後は、以下の手順かな。

① 腹部切開…内臓摘出の為、胸部から股間部迄の腹側をナイフ等で切開。内臓を傷付けない程度で、皮のみを切り開いて行く感じでしょうか。極力ド真ん中を切って行きます。オスの場合、おチンチンもこの時に切除しておきます。
② 骨盤切断…大腸~直腸~肛門は骨盤内部を通っているので、内臓を摘出し易くするために骨盤を左右に出来るだけ開く必要があります。その為に小型の鉈や斧、場合に拠っては鋸等を使って骨盤中央部を切断します。その際には膀胱を破らぬよう注意が必要(お肉にオシッコ臭が移ってしまうので)。
③ 内臓摘出…頸部根元で食道と気管を切断、股間方向に向けて引っ張り出す。横隔膜部分で引っ掛かるので、横隔膜は予め切除しておくとスムーズかな。内臓を確りと食べようと考えるヒトは、この時に内臓を外側の泥や砂・内臓内の内容物等で汚さないよう細心の注意が必要。また、引き出した内臓は、その辺に放置するのではなく、大型の容器や盥等に入れておき、後の処理を待つ。
④ 皮剥ぎ…①~③の過程は地面に置いたままでOKですが、ココからは吊るし乍らやった方が効率的ですかね(③も吊るし乍らヤルひともいますが)。通常は頸部から開始。複数人でヤル場合には、頸部から始めるヒト・前足からヤルひと・後ろ足からのヒト等で分担しながら、剝いで行くことも可能。「切る」と言うよりも「削いで行く」イメージ。極力皮側には皮のみを残し、肉との間にある脂については肉側に残るように剥ぐのがベスト。皮を使いたいヒトは、特に慎重に、皮に傷を付けないようにヤル必要あり。
⑤ 大バラシ…吊るし乍らヤル方法、吊るさずにヤル方法ありますが、猟隊では吊るし乍らバラしてました。マズは四肢の切断。極力お肉を切り刻むのではなく、関節にナイフを入れて軟骨を切り離し、筋肉の筋に沿って肉と肉を引っ剥がす格好で外して行くのが良いと思います。四肢を切断したら、肋骨も外します。ココはスペアリブ等にして食うと美味いので(シカにもあるんです)、その後のコトも考えに入れつつバラすのが宜しいかと。その後は、背骨(脊椎)に沿って、外側に背ロースが、内側に内ロースがあるので、コレらも大事に切り離しておく。
⑥ 頭部解体…お好きなヒトは頭部を切開して、脳ミソを取り出すのも良いし、シカタン食べたいヒトは喉元からシカタンを引っ張り出すのも宜し。
⑦ 枝肉の切り分け…⑤で大き目に解体したお肉の各部位は解体テーブル等の上で、枝肉に切り分け。マタギ勘定で分配する人数に応じて、不公平が出ないよう切り分けるコトが重要(予めお持ち帰り希望者数を把握するのは必須)。主には腿肉・ロースを分配を公平に分配しますが、猟隊ではアバラ肉・スネ肉・後述の内臓等を希望者に分配してました。
⑧ 内臓処理…大きな容器や盥に取り出した内臓については、一つ一つの部位、即ち消化器系だと食道・胃(シカは草食動物なので牛と同様に、ミノ・ハチノス・センマイ・ギアラの4つあります)・小腸・大腸・直腸、その他では心臓(ハツ)・肝臓(レバー)・肺(フワ)・脾臓(チレ)・腎臓(マメ)・子宮(コブクロ)・ちんちん(ツル)・睾丸(ホウデン?)等もあります。内臓ではありませんが、春先だと胎児等もあります。

と言うことで、解体編はおしまい。
猟をやってた頃には毎週日曜日は大抵出猟、ほぼ毎週シカかイノシシが獲れていて(猟隊メンバーが罠で獲ったヤツも入れれば、打率は9割5分程度)、毎週2~3㎏のお肉をお持ち帰り出来てたので、家の冷凍庫は常にパンパン、家族からはもう肉は持って帰って来るな!と言われてたホドでした(笑)。
解体好き(!)としては、毎週コレがやれるのは楽しかったですねぇ(笑)。

明日は、「未利用魚・ユメカサゴ」について書いて行きたいと思います。


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