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認知症とアロマテラピー

今日の記事は本の紹介。

『アロマの香りが認知症を予防・改善する』
浦上克哉著 宝島社

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かつてTVでアロマテラピーによる認知症の予防・改善の研究を紹介。当時一時期、その紹介した精油が各地アロマショップで品切れ状態になるほどの反響を呼んだ「メディカルアロマテラピー」の実践者が著者。

世に存在するいわゆる「アロマグッズ」は多種多様。
アロマテラピーで用いられる『精油』とは「天然成分」だけでできたものであるべき。しかしながら「よく似た」「合成香料」からなるアロマグッズが世に溢れている。

テレビの反響を受けて、こういった「紛い物」を手にしてしまうことのないように、また、ちゃんとした情報が伝える必要があるとの思いから出版に繋がったという。

「嗅覚」が脳全体におよぼす影響、そして自律神経やホルモンバランスを司る大脳辺縁系に刺激を与え、調整を図るアロマテラピーであれば、こういった病には必ず効果があるのではないか、と考えていたところに出会った本でした。

認知症にはいろいろな種類があり、その基本的な知識や、現に認知症の患者を抱える家族が知っておきたいケアや予防の方法などが詳細に述べられ、また、認知症予防のため、今すぐできるアロマテラピーの実践方法について説明されています。

また、アルツハイマー型認知症は20年から30年もかけて脳の中で病理的変化が起き、ゆっくり悪くなっていく病。自分自身が40代、50代にさしかかったら「予防」のために実践していきたいものですよね。

一部引用します。

「忘れても、思い出せるようになった」
アロマセラピーの研究を続けて、精油を絞り込んだ結果、昼に効果がある精油と夜に効果がある精油の組み合わせをみつけることができました。
私が勤める外来でももちろん、認知症治療や予防として昼と夜のアロマセラピーをおすすめしています。

昼と夜2時間ずつの認知症ケア
昼アロマ…ローズマリー・カンファー2:レモン1
夜アロマ…真正ラベンダー2:スィートオレンジ1

アロマの世界では長らく、ローズマリー・カンファーには神経毒性があるとされて、リラクゼーションなどの現場では使ってはいけないものと認識されていたようです。
ですから、アロマを扱うお店でも(中略)「ローズマリー」がほしいというと一般的なローズマリー・シネオールをすすめられるということがあるようです。
しかし、医療の分野では、神経毒性があるからこそ神経に効果があると考えられます。ですから用量を間違えなければ薬になり、そして神経細胞を刺激して効果を得られるわけです。ローズマリーであればどれでも認知症の予防・改善に効果があるわけではありません。
ラベンダーも様々な種類がありますが、鎮静効果が期待できるのは真正ラベンダーなので、注意が必要です。

ローズマリー・カンファーとレモンの精油は嗅細胞を刺激して脳を活性化させ、記憶をためる海馬を直接刺激して神経細胞の死滅を防ぎ、再生を促してくれます。

高齢者の場合、その日の体調によってできることとできないことが大きく違います。昨日できたから今日もできるとは限りませんし、感情のレベルも違います。役割分担として家事などを曜日などのパターンで押し付けずに、その日の様子に合わせてやれることをやるようにしたほうがよいでしょう。

どうしてこの患者さんは、家族の前では怒りっぽいのでしょうか。
患者さんは何もないところで怒っているのではありません。
プライドを傷つけられるようなことをいわれたことや自分の思いがうまく伝わらないことに対して反応しているだけなのです。介護にかかわる方はぜひこのことを知っておいてほしいと思います。

理知的な記憶は海馬にためられますが、感情的な嫌な記憶は少し離れた偏桃体にためられます。
ですから、認知症にかかっても、本当は忘れてしまいたい感情的な記憶というのはいつまでも残っているものなのです。
たいていの人は相手に理解してもらいたいときに、理屈をもって相手を説得しようとしますが、認知症にかかっている人は海馬が委縮しているのでその理屈の部分を忘れてしまいます。しかし、怒られたという感情の記憶は偏桃体に残ったままです。だから、家族を「この人はいつも怒る嫌な人だ」と思うようになるのです。

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<目次>

第1章 アロマセラピーで認知症が予防・改善できる

     認知症研究からアロマへたどり着くまで
     アロマセラピーで記憶が改善した
     認知症に対する科学的効果
     認知症改善に役立つアロマセラピーの正しい使い方
     鳥取大学医学部が開発した精油「リ・ブレイン」
     においが脳に届くメカニズム
     認知症に対するアロマセラピーの効果
     使用上の注意点

第2章 認知症を正しく知る

     日本における認知症の現状
     認知症早期発見のポイント
     老化による物忘れと認知症による物忘れの違い
     認知症になりやすい人とはどんな人か?
     主な認知症の種類と発症の原因
     「治る認知症」がある
     認知症の主な症状 中核症状と周辺症状
     症状の程度に合わせて できることをみつける
     
第3章 認知症患者への家族のケアと予防法

     家族の対応次第で症状に変化が現れる
     認知症への正しい対応方法
     認知症患者への安心ケア10カ条
     認知症になりにくい毎日を送る
 
第4章 医療分野で役立つアロマセラピー

     医療現場におけるアロマセラピー
     その他の疾患に対する効果
     毎日の生活にアロマセラピーを取り入れる
     精油の種類と効果は芳香分子で決まる
     主な精油成分の芳香分子と効能

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