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サンダンス映画祭 ワールドドラマ部門

先日発表された2018年1月開催のサンダンス映画祭、長編プログラムの続きです。今回は「ワールドドラマ部門」。こちらは「世界中の新しい才能によるフレッシュな視点と、独創的なスタイル」の12作品が選ばれています。日本からの長編映画が選ばれるとしたらここなのですが、ヨーロッパ各国や中国などの作品が幅広く選ばれている中で、日本人による作品が入っていないのが残念です。そもそもサンダンスに応募している日本のフィルムメーカーがいるのか、少し気になります。

ともあれ、以下が作品のリストです。

ワールドドラマ部門

And Breathe Normally / アイスランド・スウェーデン・ベルギー(監督・脚本:Ísold Uggadóttir)— アイスランド、レイキャビク半島の端で、たまたま出会った二人—アイスランド人の母とギニアビサウから来た女性ーが徐々に繊細な絆を築き、人生の問題を解決していく物語。ワールドプレミア。

Butterflies / トルコ(監督・脚本:Tolga Karaçelik)—お互いのことを知らない3人の兄弟(姉妹)が、父親が亡くなったことによって集まったことで、今まで知ることの無かった父親のこと、そして自分たち自身のことを、発見していく。ワールドプレミア。

Dead Pigs / 中国(監督・脚本:Cathy Yan)—実話に基づいた映画。急激に近代化が進む上海を舞台に、川から流れてくる無数の豚の死体をめぐる争いをする養豚場のオーナーと、その周りの人々を描く。ワールドプレミア。

The Guilty / デンマーク(監督:Gustav Möller)—警報通信指令官が、誘拐された女性とその犯人を探すため、電話だけを頼りに捜索を開始するが、事件の裏には、当初考えていたよりもはるかに大きい闇が見えてくる。ワールドプレミア。

Holiday / デンマーク・オランダ・スウェーデン(監督:Isabella Eklöf)—トルコの美しい港町ボドルムを舞台に、しがないドラッグディーラーのガールフレンドが巻き込まれる三角関係を、ギャングの豪華さと暴力ぬ溢れる生活を交えて追う。ワールドプレミア。

Loveling / ブラジル・ウルグアイ(監督:Gustavo Pizzi)—リオデジャネイロの郊外で、長男が実家を離れて社会に出て行くまで数日を残すのみとなった母親の心配と、その克服を描く。ワールドプレミア。

Pity / ギリシャ・ポーランド(監督:Babis Makridis) —周りからの同情を欲するあまり、悲しみを感じることにしか喜びを感じなくなった不思議な男の話。男は、悲しさを得るためなら、何だってする。ワールドプレミア。

The Queen of Fear /アルゼンチン、デンマーク(監督:Valeria Bertuccelli, Fabiana Tiscornia)—有名な女優Robertinaが、待ち望んで来た自分の番組『The Golden Time』の初日を迎えるにあたり、心配と恐れがふくらみ、それまでの恵まれた生活が脅かされる。ワールドプレミア。

Rust / ブラジル(監督:Aly Muritiba)—TatiとRenetは、スクールトリップで写真やビデオを携帯で交換し、アイコンタクトを交わしていた。 しかし、恋の始まりになることは、終わりにもなる。ワールドプレミア。

Time Share (Tiempo Compartido) / メキシコ・オランダ(監督:Sebastián Hofmann)—アメリカの大企業が恐ろしい陰謀の元に自分の家族を連れ去ろうとしていると確信した二人の男が、家族をトロピカルな楽園から救出するため、軍に入隊する。ワールドプレミア。
※「トロピカルな楽園(パラダイス)」とか書いてる辺り、コメディなのかなと思ってimdbで調べたら「ドラマ」となってました。シリアス系なんでしょうか。ちなみに下はimdbに載っていた映画の写真。このムチムチな感じ、コメディじゃないのか…

Un Traductor / カナダ・キューバ(監督:Rodrigo Barriuso, Sebastián Barriuso)—チェルノブイリ原発事故の治療のため、キューバに送られて来た被爆児の通訳を務めることになったロシア文学の大学教授の話。実話に基づいているそう。ワールドプレミア。

Yardie / イギリス(監督:Idris Elba)—ジャマイカ、1973年。兄弟の暗殺を目撃してしまったことにより、ギャングのボスから家を与えられた若い男が、10年後、ロンドンでのミッションに送られて、彼女やその娘を再会したことにより、過去との対峙を余儀なくされる。Victor Headleyの小説が原作。ワールドプレミア。

以上ですが、デンマーク、ブラジルあたりが目立ちますかね。『Butterflies』はインディ映画にありがちな設定だとは思いますが、ちょっと見てみたいです。あとは『Holiday』も面白そう。

USドラマ部門では、アメリカの社会情勢を反映したトピックを扱う映画が多く選ばれているのに対し、こちらはもっと自由ですよね。ただし、たった1〜2文のログラインでは、本当に大まかな作品のコンセプトしかわからないので、もしかしたらやはりマイノリティーや人権の平等、あるいはそれぞれの製作国で、もっと差し迫った問題が重要なトピックとして扱われているのかもしれません。

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