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またな
今、何も無くなった、だだっ広い部屋で記事を書いている。
パソコンデスク、機材、モニター等…全てを片付けるとここまで広く感じるか。
…空港行きのバスが来るまであと2時間ほど。昔の事に思いを馳せつつ、キーボードを打つ。
昔はここに、数少ない「落ちこぼれ」達を呼んで、ゲームをやったっけ。
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「ザ・傷の舐め合い大会」。
それでも…悪くなかったな、あれは。
あいつら元気だろうか。うまくやってるんだろうか。
私がどんなにこの家を出て行こうが、おふくろは私の部屋のものに指一本、触れなかった。出ていく時と同じ状態を保ったのだ。
きっとそのたび…帰ってきて欲しいと思っていたんだろうなぁ。
昨日、釧路の末広町を歩いていた。
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実は久しぶりのこと。私は普段、夜の街に滅多に出てこないから…。最後におふくろが愛した釧路の町に顔を出し、思い出を拾った。
おふくろが働いていた「赤ちょうちん横丁」に、私の中学校の頃の同級生の子がいる。とても可愛らしい子で、学生時代はマドンナ的存在だった。今はこの界隈で店を出し、働いている。
約30年ぶりという事で流石に年齢は隠せないが、確かにあの頃の面影があった。おふくろもちょくちょく話題に出していた子で、私が顔を見せると喜んでくれた。
その後、ギターをやっていた頃によく通った、ミュージックバーに顔を出す。
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マスターは相変わらずだった。自分の事しか話せない。ワクチン3回接種済み(3回接種後、やはりコロナに感染)。少しでも諭そうとすると耳を塞ぐ。
…私はさまざまなお世辞を繰り出し、無難にその店を後にした。
あとは知り合いが働いている飲み屋を転々とし、そのまま帰宅。
改めて思った。
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私が死んでいたのではない。この町が死んでいた。そして、その死んだ町に住む人々が、生きながらにして死んでいるのだ。
それでも間違いなく、私は彼らと同じ領域にいて、抜け出せずにいた。だからその気持ちもわかる。…もはや、彼らの存在や生き方そのものを否定するつもりもない。
私は「気付いた」。ただ、それだけなんだよ。
それでも…そんな場所でも、私にとってはたった一つの生まれ故郷であり、肉親が育った場所でもあるのだ。
この日は間違いなく、人生で一番多くの「ありがとう」を言った。
出会った人たちに。
何も無いこの町に。
そして、不器用ながらも私を育ててくれた…心から好きでいてくれた、おふくろに。
…ありがとう。
またな。
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