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既に、ある

倒れて入院してからというもの、すっかり体が衰えてしまったおふくろは、階段を登ることすら出来ずにいた。

しかし、退院してから体は順調に回復し、今は息切れしながらも階段を登り切れる様になった。

普段も呼吸が楽になってきており、肩で息をする事が無くなった。

私と一言も言葉を交わさない様な関係だったが、今となっては、私が毎朝起きて「体調どうですかぁ〜?」と聞く。それに呼応しておふくろが「大丈夫でぇ〜す」と返す。

親父の認知症の症状を見るたび、未だにイラっとする場面があるみたいだが、私の「諭し」も素直に聞いてくれる様になり、彼女のストレスは大幅に減った。正に、「災い転じて福となす」。

午前10時はリハビリの時間。新たに購入した室内ウォーキングマシンで歩く。

最初は最低の速度でも2分しか歩けなかった。だが、今は徐々にその距離を伸ばし、少し上げた速度で4分以上歩ける様になった。さらにそこから、下半身を中心とした筋力トレーニングをする。

下半身の次は肩。そして腹筋。私がしっかりと付き添い、サポートをしている。ついでに、親父もトレーニングに参加させる。

もうね、二人して足元がフラッフラ。寝たきり一歩手前だね。

よくまぁ〜、ここまでだらしない生活をしてきたもんだ。

おふくろから聞いたが、兄もその嫁もだらしなく、家はすっかりゴミ屋敷状態らしい。片付けられないそうだ。まったく…この家族は、どうなっとんじゃ。本当に私は、あんたらの息子なのかね?(笑)

この4人家族でしっかり家事をする人間は、私だけ。しかも圧倒的に、ね。やれやれ。

以前まではこんな家族を許せなかったが、「まぁ、俺がやりゃいいか」と思える様になった。ゴミ出しも掃除も積極的に私がやる。

と言うか、おふくろの体が動かないし親父もボケてるので、私がやるしかない。

そんな私を見て、おふくろも「ごめんね、ありがとう」と言う様になった。正に「心のコップ理論」。私もまた、未熟だったと言うこと。

腹筋のトレーニング中、おふくろが屁をこいた。

「あら、力じゃなくて、『へ』が出たわ!」

「いや…『へ』はいらないので、『力』を出して下さい…」

私とおふくろは、爆笑した。それを見て、親父の顔も緩んだ。

まさか、私がおふくろの前で思い切り笑う日が来るとは。恐らく、小学校時代あたりから、無かった事だと思う。我が家に、30年ぶりに笑顔が戻った。

夕食もバラバラだったが、今は3人で同じ時間にテーブルを囲い、テレビをほとんど見ず、他愛もない話で盛り上がりながら楽しく過ごす。

日本全国、世界各地を彷徨い歩き、そして結局…ここに戻って来た。

幸せは、探し求めるものではない。

気付くものである。

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