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▲第十七章 : 人類の母
【はじめに】
我々は、神の名前を知らない。
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聖書に書いてある神の名前をそのまま受け取っているうちは、真相には到達できまい。そこまで安易なものではないし、もしそれが正解なら民衆はとっくに神の名前を連呼しまくっている。
だからこそ、きっと「それ」はアドナイでもイェホバでもない。もちろん、エロヒムでもヤハウェでもない。
この世のプロデューサー…「かの者」の名前とは?
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この世では「グレイ」やら「リトル・グリーン」やらと言われ、ご覧の通りイメージ化されている。
だが私が「かの者」と会った時、このような見た目ではなかった。ともかく「もや」のような存在で、全体が緑色に光っていた。「緑」という点においては共通している。
…皆、この世に創造主の子として産まれ落ちたにも関わらず、その親の名前を言えないのだ。こんなバカな話があるだろうか。
もちろん「名前」という概念自体が、この二元的領域独自のものであり、本来は不要なものなのかもしれない。
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だが…それでも我々には「言葉」があり、「文字」がある。それによってコミュニケートする存在なのだ。事実として、この二つを操らなければ私はここまで到達出来なかった。
「この世ならでは」でもいい。この際、発声・発音が出来なくてもいい。
何とかして、かの者の「名前のヒント」のようなものがどこかに具現化していないのだろうか…。
私は考察しながらずーっと、「神の名前」ってやつをぼんやりと追いかけ続けていた。
そして今…ようやくその足がかりになりそうな「ヒント」を見つけた。
「それ」はやはり…この世においては「邪悪な存在」とされていたのである。
この「逆転の世」において、これ以上のヒントはあるまい。「注目しなさい」と言っているようなもの。
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…妖魔リリス。サキュバスやナーガなど…伝承によって様々な名前を持つ。
死ぬまで男の精気を吸い取り続けるこの存在が、とあるヒントを示してくれたのだ。
もちろん、実際にリリスなど、いない。見たこともない。
だが…ある意味で、彼女は存在していたのである。
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森羅万象の両極を見、同時に裏側を見よ。
そこにこそ、真理は隠されている。
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