Risso(리소)『High Five』


coverのコピー


 韓国のシンガーソングライターであるリッソを知ったのは、“OMG”という曲がきっかけだった。2015年に発表されたもので、彼女の軽快なヴォーカルが光るエレ・ポップだ。音数は少ないながらも、心地よい横ノリを生みだすシンプルなベース・ラインが素晴らしい。随所で漂ういなたさのせいか、カノあたりのイタロ・ディスコを連想させるのもおもしろい。

 そんな彼女の最新アルバムが『High Five』だ。これがなんとも秀逸なダンス・ポップ作品で、見事にハマってしまった。これまでのキャッチーなメロディーやテンポの良い譜割りといった魅力は進化し、音楽性はより多彩になっている。
 なかでもお気に入りなのが“Allergy”だ。3拍目のスネアを強調するビートがUKガラージ的で、イギリスのダンス・ミュージックが好きな筆者は抗えない音ばかり。ベッドルームはもちろん、大勢の人で賑わうダンスフロアにも似合う曲だ。

 ダンスフロアに似合うという点では“I'm Fine”も負けていない。タイトな4つ打ちを刻むキック、リズミカルで官能的なベース、艶やかな彼女のヴォーカルなどが交わるそれは、体を揺らさずにはいられない良質なハウス・ミュージック。ミラーボールの煌めきが眩しいクラブで、心を通わせたい誰かと踊るときに相応しいサウンドだ。

 『High Five』はさまざまな側面を見いだせる。ここまで挙げてきたUKガラージ、ハウス、イタロ・ディスコだけでなく、ニュー・ジャック・スウィングやファンクといった要素も色濃い。使われている音色は統一的でありながら、リズム・パターンは虹の如く多彩で、アレンジのアイディアも豊富だ。
 そこまで音楽に詳しくないライト・リスナーだけでなく、小うるさい玄人も唸らさせる完成度の高さにガッツポーズ。



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