Susan(수잔)「EROS」


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 少しハスキーかつ甘美な歌声で、さまざまな情感を流麗に紡いでいく。喜び、愛欲、快感といった陽なエモーションだけでなく、憎しみや悲しみなど陰なエモーションもストレートに表現する。その表現は艶やかな生々しさとも言える空気を醸し、リスナーの耳と心を拡張してくれる。

 そうした言葉を書かせたSusan(수잔)の最新EP「EROS」に出逢ったのは、今年1月のこと。彼女の存在はファースト・シングル「열매」(2017)が発表されたばかりの頃から知っていたが、現在に至るまでの間で飛躍的成長を遂げた事実には驚くしかない。アコーティックな音色を軸にしたR&Bサウンドは右肩上がりの洗練を見せつけ、自ら手がける作詞の言葉はどんどん語彙が増えている。その姿には表現者としてはもちろんのこと、人としても成長と変化を重ねた道のりがうかがえる。

 本作のなかでとりわけ気に入ったのは表題曲だ。ドリーミーなシンセ・サウンドに心地よいアコースティック・ギターの音が交わり、トラップの要素が鮮明なビートはゆったりとしたグルーヴを創出している。イギリスのポップ・カルチャーが大好きな筆者からすると、ほのかにプーマ・ブルー的な音に聞こえなくもない。
 “Amateur Lover”も良い。ナイト・ジュエルの作品群を連想させるシンセ・ポップで、Susanのヴォーカルとサウンドのダイナミズムに惹かれた。本作ではもっともアッパーな曲と言える。

 “망망대해(Shattered)”も見逃せない。繊細なストリングスとピアノが印象的なサウンドスケープは壮大さを見せつけ、そのなかで響きわたるSusanの歌声はしなやかさと力強さを自由に行き来している。彼女の優れたヴォーカル力が顕著という意味でも必聴だ。



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