2019年ベスト・アルバム50


 人はそう簡単に変わらないとよく言いますが、それは潮流も同じかもしれません。たとえば、昨年のベスト・アルバム50でも言及したグローバリゼーションの流れはさらに発展を遂げたと思います。音楽ではナイジェリアのオルテ・ムーヴメントが本格的にブレイクを果たし、デイズドガーディアンもシーンの紹介記事を掲載するなど、ワールドワイドな人気を得ました。
 この動きと共振するように、Hyperdubがエンジェル・ホーのデビュー・アルバム『Death Becomes Her』をリリースしたのもおもしろかった。ケープタウンが拠点のホーは、キシやチーノ・アモービと共にアフロ・ディアスポラがテーマのアフリカン・アート・コレクティヴを創設したりと、非西洋の視点が強いアーティストです。アフロビートなどアフリカが起源の音楽を多分に含むサウンドで、私たちを楽しませてくれました。

 非西洋の点でいえば、K-POPにも興味深い作品が多かったです。特に言及したいのは、リム・キムの「Generasian」とSuperM(슈퍼엠)の「SuperM」。共に欧米のポップ・ミュージックを軸にしながらも、パンソリといった韓国の伝統音楽を大胆に取りいれています。とりわけ「Generasian」は、東アジア人のステレオタイプに対する怒りを明確に表現し、大きな注目を集めました。
 ここまで書いたグローバリゼーションの流れを考えるうえで重要なのは、欧米出身ではないアーティストによる作品が多いことです。その国のアーティストがその国の音楽や文化を鳴らしている。それゆえ、欧米出身者が非西洋の表層だけを切りとることで生じがちな偏見や歪曲もほとんど見られません。

 こうした流れができたのは、ポップ・カルチャーでも東アジア系のステレオタイプに抗議する声が高まるなど、西洋中心の考え方にひびを入れてきた人たちの積みかさねも影響しているでしょう。2018年にBTSが発表した『LOVE YOURSELF 轉 “Tear”』も、大きなきっかけになったかもしれません。歌詞のほとんどが英語ではないアルバムとしては、イル・ディーヴォ『Ancora』(2006)以来12年ぶりの全米アルバムチャート1位に輝きました。東アフリカのアーティストを積極的に紹介しているウガンダのNyege Nyege Tapesや、西洋中心主義への疑念を隠さないサフィー・ヴォン主宰のChinabotも忘れてはいけません。
 本稿を読んでいる人のなかには、デイズドやガーディアンがオルテ・ムーヴメントを取りあげたことがきっかけで、グローバリゼーションの流れを知った人もいるでしょう。でもそれは、ある日突然起こったことではありません。地域や国など多くの壁にとらわれない連帯をよく見る昨今ですが、こうした光景もさまざまな人たちが紡いだ努力によって作りあげられた。その努力をリスペクトしたうえで、音楽も含めたあらゆる表現を楽しめば、未来に通じる表現と出逢う機会も増えると思います。

 ファッション界もこれまで以上に非西洋の価値観が目立ちました。なかでも筆者が好きなデザイナーは、南アフリカ生まれのテベ・マググです。一見すると、彼の作品はアフリカ色が薄いように見える。ンデベレ族の派手な民族衣装などがアフリカのイメージとして刻まれている人は、むしろ西洋的に感じるかもしれません。しかし、アフリカのランドスケープ柄を積極的に使い、部族が着用するネックレスをベルトに引用するなど、細かいディテールではアフリカ色が鮮明です。頑迷な西洋中心主義的価値観ではなく、かといって排他的な非西洋でもない。そうした融和的姿勢を打ちだすところに惹かれました。
 コレクションのテーマも挑戦的です。Gender Studies(ジェンダー研究)、Home Economics(家政学)、Geology(地質学)など、ファッションで学びを得てほしいとする姿勢が際立つ。Prosopography(主に西洋古典歴史学で使われる歴史学研究法)を掲げた最新コレクションでは、アパルトヘイトと戦った団体をインスピレーション源に挙げたりと、社会問題に臆さず言及するところも好感を持てます。ファッションという華やかな世界を舞台にしながら、社会の現実にも目がいく視野の広さはどういった成長を見せてくれるのか。そうした楽しみとの出逢いに感謝しながら、今後もテベ・マググを追いつづけたいと思います。
 そんなファッション界の動きをいち早く察知した1人に、ビヨンセを挙げないわけにはいきません。今年発表した“Spirit”のMVで彼女は、セネガル発のトンゴロというブランドの服を着ています。同時代性に敏感であるのは知ってましたが、ここまでフットワークが軽いと驚嘆するしかない。

 現実に目がいく視野の広さは、映画やドラマを観ていても感じることが多かった。特筆したいのはジョーダン・ピール監督の『アス』です。文字どおり栄華の“下”に隠された人々を描いたこのスリラー映画は、経済格差など現在の世界に蔓延る諸問題を解決しないと訪れる光景があるという意味で、とても恐ろしい映画でした。一方で、ドラマ『トップボーイ』シーズン3は、その光景はもう訪れていると示す傑作です。ネグレクト、貧困、差別といった問題に晒されたジェイソン(リッキー・スマート)の末路に、涙を隠せませんでした。

 お気づきの人もいるかもしれませんが、筆者は音楽や映画のレヴューに社会問題を盛りこむ際、“下の視点”が色濃く出がちです。
 この傾向は年々高まっている気がします。ひとつ例を挙げると、2019年は労働者階級や農民の女性たちに注目した底辺女性史で有名な山崎朋子の著書を読みあさりました。その流れで、権力や知へのアクセスを持たない(あるいは持てない)人たちが対象の民衆史も、目に入れるようになった。やはり自分は“下の視点”から抜けだせないし、むしろそれを大事にしてるんだなと、あらためて気づかされる歴史探訪でした。そういう意味で、2019年は自らの軸をより強固にできた年と言えます。

 こうして2019年をふりかえると、社会問題のなかでも貧困や生活など、お金の話に繋がる作品に救われることが多かったと実感します。経験則に基づく雑感ですが、高学歴かつ経済的に恵まれた環境で育った人が多いエンタメ業界において、お金に関する話はフィーチャーされにくい。そんななかでも、底辺を忘れていない『アス』や『トップボーイ』シーズン3みたいな作品が生まれ、評価されるのは一筋の希望と言っていいでしょう。そう考える筆者からすると、カーディー・Bがバーニー・サンダースへのインタヴューで、最低賃金や失業問題について質問をしたのも嬉しかった。
 現実に目をやるという意味では、日本の媒体でも頑張ってるなと思える記事がいくつかありました。『VERY』は9月号で“男らしさ”や“女らしさ”といった性役割に迫る特集を組み、12月号では性教育を特集していた。昨年も『STORY』が子どもの貧困に関する記事を掲載し、穴だらけの社会構造や制度の不備を伝えていましたが、この流れには一定の評価をあたえられるでしょう。

 しかし、『VERY』と『STORY』が共に女性向けとされるファッション誌なのは、引っかかるところでもあります。子供の世話や教育を担うのは女性という前時代的な性役割が日本にあるせいで、女性向け雑誌にこうした企画が目立つ可能性も捨てきれないからです。
 男性向け雑誌の編集部で同様の企画について話しあった場合、果たしてすんなり通るのか? いまだに旧態依然な性役割が残る日本の現状や、そこに生きる男性読者のニーズもふまえれば、女性向け雑誌以上に企画が通りにくいかもしれない。完全なインディペンデントでもないかぎり、商業の観点はどうしても入りますからね。ライター/編集の仕事で日銭を得てきた1人として、そう思ってしまう。
 根本から社会を変えてポジティヴな方向へ進めるためには、女性向け雑誌はもちろんのこと、男性向け雑誌でも内省的に性役割を見つめなおし、そのうえで社会問題を取りあげる姿勢が必要だと感じます。もっと言えば、変わるべきは男性側だということ。安易に男性がフェミニスト宣言したり、“有害な男らしさをなくそう!” と勇ましく男性も叫ぶだけでは、歪な社会構造は変わらない。廃娼運動で有名な巌本善治だって、既存の男らしさから逸脱する側面もありつつ、結局は抑圧的な男らしさを形成してしまった。そのような歴史的教訓をふまえながら、男性側は自省しなければならない。そんな男性側への問いかけがいままで以上に顕在化したのも、筆者から見た2019年のポップ・カルチャーです。

 去年と同じく長い枕になってしまいました。今回のベスト・アルバム50も、フル・アルバム、ミニ・アルバム、EPを対象にしています。作品名を〈『』〉で括っているのがフル・アルバム、〈「」〉はEPとミニ・アルバムです。作品の質はもちろんのこと、何かしらの同時代性を見いだせることも評価基準としました。筆者がブログやWebメディアで記事を執筆した作品は、作品名のところにリンクを貼っております。ベスト・アルバム50から選曲したSpotifyのプレイリストもあるので、ぜひ聴いてください。



画像1

50
808 State『Transmission Suite

UKテクノ・シーンのパイオニアによるアルバム。デトロイト・テクノやエレクトロといったルーツに忠実なサウンドがクセになる。



画像2

49
Kirinji『Cherish』

洗練の極みにある言葉選びとサウンドは職人芸。〈blight lights 口先の好景気 今夜も満席のネットカフェ 息できない クールじゃない 美しい国はディストピアさ〉と歌われる “「あの娘は誰?」とか言わせたい” など、社会を感じさせる生活の歌が多く収められている。



画像3

48
((( O )))『((( 1 )))』

フィリピンが拠点のシンガーによるアルバムは、夢見心地なR&Bを届けてくれた。作品全体に漂う甘美さは、官能的というよりドラッギーと表現したくなる。



画像4

47
Gabber Modus Operandi『HOXXXYA』

インドネシアのデュオによるアルバムは、文字どおり衝撃だった。ハッピー・ハードコアとガムランを溶解させたサウンドは快楽100%の保証つき。



画像5

46
Lexie Liu「2030」

中国出身のシンガーは多彩な引きだしを持っている。R&Bはもちろんディープ・ハウス的なダンス・トラックも乗りこなすなど、表現者としてのポテンシャルは非常に高い。



画像6

45
Nazamba『Nazamba』

ザ・バグが主宰するPressureからのリリース経験もある男のアルバム。ダブやレゲエが軸のサウンドに乗る言葉は痛烈だ。



画像7

44
So!YoON!(황소윤)『So!YoON!

SE SO NEON(セソニョン)のソユンが作りあげたソロ・アルバム。ヒップホップ、ファンク、ソウル、R&B、ロックを境目なく混ぜ合わせるセンスにガッツポーズ。



画像8

43
Modeselektor『Who Else

極右の台頭といった世界情勢に影響を受けたダンス・ミュージック・アルバム。フロヒオが参加した“Wealth”ではグライムを鳴らすなど、モダンな感性を積極的に取りいれている。



画像9

42
Pelada『Movimiento Para Cambio』

資本主義や家父長制社会を批判するラップが印象的だ。アシッド・ハウス、ガバ、デジタル・クンビアなど多面的なトラック群も出来がいい。



画像10

41
AOA(에이오에이)「New Moon」

『Queendom』でのパフォーマンスも素晴らしかったAOAのミニ・アルバム。イタロ・ハウスのいなたさを漂わせる“Come See Me(날 보러 와요)”がお気に入り。



画像11

40
Charli XCX『Charli

スカイ・フェレイラやイェジなど多くのゲストを迎えて制作されたアルバム。これまで以上にチャーリーXCXのパーソナルな部分があらわになった優れたポップ・ソング集。



画像12

39
The Chemical Brothers『No Geography

ベテランの域に入ったイギリスのダンス・ミュージック・デュオは、何かと生きづらい世界への抵抗を鳴らした。現実を変えようという力強い姿勢が感じられる力作。



画像13

38
Ode(오드)「To Youth

韓国の3人組バンドが発表したファースト・ミニ・アルバム。R&Bやヒップホップが隆盛を誇る時代のロックとしては高品質だ。



画像14

37
Vagabon『Vagabon』

カメルーンで育ったシンガーソングライターのセカンド・アルバム。親しみやすい歌メロと洗練された音作りに表現者としての進化を見いだせる。



画像15

36
Cassie Rytz『Starts Here

グライムの新星によるデビュー・ミックステープ。アグレッシヴなラップを繰りだす一方で、ハッタリをかますマッチョさとは距離をおいたパーソナルな歌詞が際立つ。



画像16

35
BoA(보아)「Starry Night」

クリスマスに向けてリリースされたミニ・アルバム。しかし、とりあえずベルを鳴らしただけのインスタント・クリスマス・ポップ集ではない。スモーキーなブレイクビーツに艶やかなコーラスを重ねた表題曲、ほのかにトロピカルでダブステップ的なウォブリー・ベースが飛びだす“Black”など、おもしろい音のオンパレード。



画像17

34
Tyler, The Creator『IGOR』

前作『Flower Boy』におけるコードやメロディー重視の姿勢を残しつつ、『Goblin』的なざらついたベースも頻出するタイラー・ザ・クリエイターの最高傑作。リリースからしばらく経つが、いまも摩訶不思議な音世界に夢中だ。



画像18

33
Ben&Ben『Limasawa Street

フィリピンのバンドが作りあげたデビュー・アルバム。端麗なコーラス・ワークと親しみやすいメロディーが前面に出たサウンドは、フリートウッド・マックを彷彿させる瞬間も。



画像19

32
Ziminino『Ziminino』

アフロ・ブラジリアンが紡ぐレベル・ミュージック。バトゥカータやボサ・ノヴァといったブラジル音楽だけでなく、トラップ、ファンク、ベース・ミュージックの要素も。



画像20

31
Slowthai『Nothing Great About Britain

イギリスへの愛憎があふれる作品。ヒップホップを基本にしつつ、ムラ・マサと組んだ“Doorman”ではポスト・パンクを匂わせるなど、サウンドは多面的だ。



画像21

30
Various Artists『Esa Presents Amandla Music To The People』

エサ監修のダンス・ミュージック・コンピ。クワイトやズークなどさまざまな音楽が交雑する内容は、国境を越えて繋がるという意味でのグローバリゼーションそのものだ。



画像22

29
Sha Sha「Blossom」

ジンバブエはムタレ出身のシンガーによるEP。特に秀逸なのがモロコのハウス・クラシック“Sing It Back”のカヴァーだ。妖艶なアフロ・ポップに仕上げている。



画像23

28
Aura Safari『Aura Safari

イタリアの5人組バンドがChurchから発表したデビュー・アルバム。ジャズやハウスの要素が濃いバレアリック・サウンドに蕩けた。



画像24

27
WJSN(우주소녀)「For The Summer

夏! 夏!! 夏!!! なミニ・アルバム。シンコペーションするベースがアッパーなグルーヴを生みだす“Boogie Up”など、優れたポップ・ソングだらけ。



画像25

26
Yerin Baek(백예린)『Every Letter I Sent You.』

15&のメンバーが発表したファースト・フル・アルバム。優れたソングライティング能力から生まれる良質なメロディーにハマった。J・ディラ的なビートもあれば、“Amy”はプーマ・ブルーに通じるアンニュイな雰囲気を醸したりと、アレンジが多彩なのも素晴らしい。そんな作品をシティー・ポップやR&Bなどの単一タグで括るのは愚鈍が過ぎる。



画像26

25
Kate Tempest『The Book Of Traps And Lessons

さまざまな問題を抱えるイギリスの現況が反映されたヒップホップ・アルバム。“People's Faces”の切実さは、日本に生きる人々も共鳴できるものだ。



CHAI“ファッショニスタ”のコピー

24
CHAI『PUNK

進化であり深化だ。ESG的なポスト・パンク・サウンドが顔を覗かせる一方で、肉感的なベース・ラインでファンク的な側面を創出する。



Octo Octa“Move Your Body”のコピー

23
Octo Octa『Resonant Body』

ブレイクビーツやハウスなど最後まで多彩なグルーヴで踊らせてくれる。どこかスピリチュアルな匂いがあるのも印象的だ。



ITZY(있지)“ICY”のコピー

22
ITZY (있지)「IT'z ICY

今年のK-POP界のなかでも飛び抜けた勢いがあったグループによるファーストEP。アーマンド・ヴァン・ヘルデンのハウス・クラシック“Witch Doktor”が脳裏に浮かぶ“ICY”など、ヴォーグ・ハウスとの親和性が高いサウンドを随所で鳴らしている。



画像30

21
Damon Locks - Black Monument Ensemble『Where Future Unfolds

ジャズ、ゴスペル、アフロ・ビート、ヒップホップなどの要素が目立つ意欲作。平等や公正といった価値観が毀損された現状を嘆きつつ、その現状に抵抗しようとするポジティヴィティーもある。



画像31

20
Ezra Collective『You Can't Steal My Joy

UKジャズの好きなところがすべて詰まったアルバム。他者と交わる喜びを尊ぶサウンドは、紛れもなくレベル・ミュージックだ。



(G)I-DLE((여자)아이들)“Senorita”のコピー

19
(G)I-DLE((여자)아이들)「I Made

ミンニが作詞/作曲/編曲で参加した“Blow Your Mind”など、グループとしての可能性を示した良作。アストル・ピアソラに通じる3・3・2のリズムをキャッチーなポップ・ソングに落とし込んだ“Senorita”が出色の出来。



画像33

18
Sault『7』

リトル・シムズやベル・アンド・セバスチャンなど、これまでさまざまなアーティストのプロデュースを務めたインフローが中心となって結成されたバンドのセカンド・アルバム。ESGやリキッド・リキッドの姿がちらつくアフロ・ポップ“Over”がグッド。



画像34

17
土岐麻子『Passion Blue』

メッセージ性の強い優れたポップ・ソング集。端正な言葉選びが光る歌詞とカラフルなサウンドの組み合わせは、中毒性の高い滋味を漂わせる。



CLC(씨엘씨)“No”のコピー

16
CLC「No.1

強烈さだけでいえばK-POPのなかでも一番だった。韓国の女性の変化を反映したような“No”など、力強い言葉が多い。



画像36

15
Billie Eilish『When We All Fall Asleep, Where Do We Go ?

まさに時代の寵児。現行のヒップホップ/R&Bを意識した音が目立つポップ・アルバムだ。



画像37

14
Fatima Al Qadiri『Atlantics

映画『アトランティックス』のスコアをファティマ・アル・カディリが手がけた。ニーノ・ロータやウェンディ・カルロスといったクラシックの素養を感じさせる映画音楽の系譜がちらつく。



画像38

13
SUMIN(수민)「Oo Da Da

手数の少ないビートから生まれるグルーヴは匠の一言。何かしらの潮流に収まらないサウンドは、本当に意味でのフューチャー・ポップだ。



画像39

12
Mamamoo(마마무)『Reality In Black』

確かな実力に基づくパフォーマンスは自信に満ちあふれている。今年のMMA(Melon Music Awards)をディスった件も忘れられない。



画像40

11
Kano『Hoodies All Summer

グライム・レジェンドによる傑作。ジョン・バーンズを上手く引用した“SYM”など、秀逸な言葉選びが神々しい。



田島ハルコ『kawaiiresist』

10
田島ハルコ『kawaiiresist』

現行のヒップホップを消化したニュー・ウェイヴ。このセンスと巧みなリズム作りはもっと高く評価されていいはずだ。



画像42

9
Black Midi『Schlagenheim』

衝撃的なアルバム。奔放なサウンドに聞こえるが、自由にグルーヴを操る演奏は高い音楽的教養に基づいている。



画像43

8
BewhY(비와이)『The Movie Star

韓国のラッパーが放った最新作は多彩なアレンジが光る。ヒップホップのみならずダンス・ミュージックにもインスピレーションを受けたようなサウンドは、ヴィンス・ステイプルズの『Big Fish Theory』を彷彿させる。



画像44

7
Lana Del Rey『Norman Fucking Rockwell !』

孤高という言葉がふさわしいアルバム。レトロな雰囲気を醸しているが、ひとつひとつの音を綺麗に整理したプロダクションは間違いなくモダンだ。



画像45

6
TNGHT「II」

EDMを見下している者には鳴らせない先鋭的なエレクトロニック・ミュージック。聴く人の音楽的背景によって姿を変えるビートは唯一無二。



画像46

5
33emybw『Arthropods』

中国出身のアーティストが放った輝かしいエレクトロニック・ミュージック。予測不可能なドラムとメロディーを次々と鳴らす内容は、どこかオウテカの作品群を彷彿させる。



画像47

4
Lim Kim(김예림)「Generasian

キム・イェリムが突き抜けた。インダストリアル・サウンドと韓国の伝統音楽が溶解した曲群に乗せた怒りは迫力たっぷり。



画像48

3
Solange『When I Get Home

伝統と革新の理想的な共立。研ぎすまされたビートや間を活かすことで生じるグルーヴは、ファンク的な肉感性を生みだしている。



画像49

2
FKA twigs『Magdalene』

前作よりも折衷度が増した内容。荘厳さを隠さないサウンドスケープは永遠に浸っていたいと思わせるほどの完成度。妥協や隙がまったく見られない。



Dave“Lesley”のコピー

1
Dave『Psychodrama

2019年はデイヴの年だった。グラストンベリーでの伝説的パフォーマンスやドラマ『トップボーイ』シーズン3出演など、スーパースターへの階段を着実に登っている。その輝きがあまりにも眩しいせいか、全米1位を獲得していないのに獲ったと主張する愚陋者も現れた。






サポートよろしくお願いいたします。