“音楽に政治を持ちこむな!”という主張はバカげている



【大荒れ】フジロックに津田大介、奥田愛基が参加へ!ネット上では賛否両論!「音楽の政治利用」と批判する声も!


 こんな記事を見てしまいました。“音楽に政治を持ちこむな!”という批判はよく聞きますが、これまたよく言われるように、こうした主張も政治的な姿勢を示しているという意味で“政治的”なんです。たとえば、政治的な音楽から距離を置こうとする逃避的な音楽も、政治的な音楽を認識したうえでの“逃避”という選択だから、そこにも政治性が表れます。なので、政治色がある音楽やフェスに対して、批判的な意味で“音楽に政治を持ちこむな!”と言うのは、それ自体が矛盾を孕むことになります。

 そもそも、フジロックの根底にあるロックという音楽は、政治的なものです。反体制的な表現を意味する“カウンターカルチャー”のひとつとして広く認知され、ゆえに思想や哲学の伝達手段として用いられることもある。古くは、ホワイトパンサー党の党首だったジョン・シンクレアがマネージャーとして関わっていたMC5などがそうです。それから、そのジョンが過度な実刑判決を受けて投獄されたことに抗議する目的で開かれた、『ジョン・シンクレア・フリーダム・ラリー』に出演したジョン・レノンもそうですね。

 ロックのルーツとされるフォークやブルースも、政治的な音楽と言えます。フォークには政治的メッセージを特徴とする“プロテスト・ソング”という枠がありますし、ブルースは、19世紀アメリカ南部の黒人奴隷の間で歌われていた労働歌がルーツとされている。これらの音楽を受け継いだロックが政治的な表現になるのは、いわば必然だったと言えるでしょう。

 というわけで、フジロックに対して“政治を持ちこむな!”と批判するのは、ナンセンスです。コーヒーを注文しておいて、注文通りコーヒーがきたら激怒するのと同じくらい、バカげた行為なのです。

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