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堀田カーペットの現状とこれからと。その2「流通」

カーペットは、人工芝やカーマットなど、様々使われ方がすることを前回の記事で書きましたが、ここでは堀田カーペットが主戦場にしている、いわゆる「カーペット」の流通についてご紹介したいと思います。

2つの流通の大分類

カーペットは、大きく2つの流通にわかれます。「ラグ」と「敷込みカーペット」です。

「ラグ」は、家具などと同じで、建物が完成し、あとから自分で設置する「インテリア商材」です。(写真は弊社ウールラグブランド「COURT」)

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ですが、ホテルなどのような「敷込みカーペット」の場合は、あとから設置するものではないので、フローリングなどと同じ「建材」として扱われます。(写真は弊社敷きこみ用ウールカーペットブランド「woolflooring」)

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これは単に「分類」の問題ではなく、「流通が異なる」という根本的な話で、僕たちメーカーは、同じ「カーペット」と言いつつ、商品企画も、商品開発もまったく違うものとして積み上げていきます。「ラグ」、「敷込みカーペット」の流通を少し細かく見てみたいと思います。

ラグの流通

「ラグ」は、インテリアショップで、物も見れるし、実際にすぐに買うこともできます。比較的シンプルに「小売」に属しています。

なのですが、実は「ラグ」にも様々な流通があって、これが結構面白いんです。

百貨店、大手インテリアショップ、地方インテリアショップ、インテリアコーディネーター、ハウジングメーカー、ホームセンター、大手スーパー、ネットショップ、カーテン専門店など

まだまだたくさんある気がします。

とてもおもしろいのは、それぞれの流通で、商慣習がぜんぜん違います。

例えば百貨店であれば、お客様→百貨店→百貨店問屋→堀田カーペット、みたいな流れになります。なぜならば、百貨店のカーペットコーナーというのは、1ブランド、1会社だけで成り立っているわけではなく、様々なブランド、会社のものが一同に並んでいます。そして、そこで実際に販売されている人は、この流通でいう「百貨店問屋さんの社員または外注社員」が担っています。

よくできた仕組みで、カーペットは専門知識が必要で、お客様にとってはそんなに頻繁に買うものではありません。つまり、メーカーはなかなか人は出せない、百貨店側の人が商品知識をつけるのもなかなか難しい、だから百貨店問屋、という仕組みが成立するのです。つまり、この流通で販売しようとすると、2次卸を前提とした定価設定ができていないと、そもそも取引が成立しないわけです。

その他の流通でも、それぞれ、独自の商習慣があり、それにあわせた商品企画が必要になります。

敷込みカーペットの流通

「敷込みカーペット」商品は、いわゆる総合インテリアメーカーのショールームに、商品を見に行って、でも見積もりは工務店さんなどに依頼してください、となります。つまり「ゼネコン業界」に属しています。

敷込みカーペットの流通は、とても複雑で、建物の種類や施主の種類などによってもそれぞれ独自の流通があって、ある意味流通を正しく知ることが、営業の仕事だったりします。例えば、都道府県の県庁や市庁舎などの場合、当然地場産業の活性化のために、できるだけ地場企業を推薦します。ホテルの場合ですと、運営会社、建物の保有会社、ブランドなどによって流通が変わるケースもあります。ですが、「ゼネコン業界」の大きな特徴は、以下の2点です。

①流通が長い(そういう場合が多い)

一般的に、流通がとても複雑なケースが多いです。例えば、とあるビルにカーペットを納品する場合、大手ゼネコン-内装工事業者-施工業者-問屋-ブランドメーカー-メーカーという商流は結構一般的な商流です。大手ゼネコンは、内装工事は基本的に外注になります。内装工事業者はカーペット以外にも、壁紙などの内装材を一手に引き受けることが多く、カーペットの施工は「カーペット施工業者」に外注されるケースがよくあります。ブランドメーカーいわゆるインテリア総合メーカーで、施工業者に直接販売するケースはそれほどなく、自社の代理店(問屋)から施工業者に販売されます。そして堀田カーペットのような、ウィルトンカーペット専門メーカーは、ブランドメーカーに販売し、営業よりもものづくりに集中するケースがほとんどです。

②決める人とお金を払う人が違う(そういう場合が多い)

もう一つの特徴は、「設計」は施主の立場で「ものを決める人」、「ゼネコン(工務店など)」は設計仕様に基づき工事をする人、堀田カーペットの立場でいうと、設計は「決める人」、ゼネコンは「お金を払う人」ということになます。

つまり、メーカーは当然「決める人」が営業上のターゲットになるわけですが、お客様にとっては、施工をしてはじめて「商品」になるわけですし、お金を払ってくれるのは「ゼネコン」なわけなので、こちらも間接的にはターゲットになるわけです。

まとめ

僕はインテリア業界は、「もの」よりも「流通」で売上が変わる業界だと思っています。それほど「流通」は重要です。

ここで僕が言いたかったことは、上に書いたような特徴が、「だめ」で、流通を飛ばして商売をしたほうが良いなどという、単純な話がしたいわけではありません。むしろ、現状の流通は、今の堀田カーペットにとっては、とても理にかなった流通の仕組みだと思っています。

流通戦略を考える上で大切にしていることは、同じカーペットといっても、様々な流通があり、それぞれ特徴があることを理解し、それを横断的に眺めることです。

その結果、現在のwoolflooringは「自社ブランドのOEM化」という選択をし、「COURT」はtoCコミュニケーションと位置づけ「小売店との取引」を選択肢、次のステップとして初めて「2次卸」を検討しています。「WOOLTILE」は、基本的には自社ECでの販売、及びDIY関連の会社との取引を目指しています。

まだまだ「流通」について、深く深く考え抜いていかないといけないと思っています。堀田カーペットのミッションである「カーペットを身近に『選び買える環境』をつくること」には程遠い状況ですので・・・。

今のインテリア業界は、「流通を横断的に見る」ということが、できていないように感じます。そもそもそういった組織がありません。仮にあったとしても、権限が小さいと思います。横断的に見ることで、これまでには気づかない流通に気づき、商品企画、開発に活かすことができます。

今目の前の流通を、眺めているだけだと、結局「競合他社」に対してどうするのか?ということが主な検討の内容になってしまいます。僕は、「横断的に見る」ことで、あらたな流通を発見し、「もの」で勝負する、そんな未来を思い描いています。


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