安西水丸とヘタウマ考

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*イラストレーションは安西水丸先生にちなんで野島崎灯台を描きました

ヘタウマとは、昭和の頃流行って未だに命脈が継がれる「下手だけど味がある」というようなタッチのことを言います。主には湯村輝彦(テリージョンスン)さんを元祖とする昭和の漫画雑誌「ガロ」に掲載された漫画やイラストレーションの事を指し、蛭子能収さんや安西水丸先生もその枠に入る(世間的には。私は安西水丸は入らないと思いますが)とされていますが、誰かが明確に宣言したり、グループ化されたわけではない風潮としての定義・言葉です。

私はこの言葉のルーツを語源の一人とされる和田誠さんご本人から聞いたことがあります。あれは2014年3月安西水丸先生が亡くなった直後の7月でした。「七夕の夜」という表参道の山陽堂書店で毎年和田誠さん・安西水丸先生で行われた個展を、和田誠さん単独で行った追悼展会場、オープニングパーティーでのことです。和田誠さんから聞いたあらましは

"ぼく(和田誠さん)が「湯村くんの絵は下手なんだけどうまい」と言ったのを糸井重里氏が「ヘタウマ」と広めたんだよ"

ということでした。和田誠さんご本人からそのようにはっきりと「ヘタウマ」について回答を得たのはともすれば私くらいなものかもしれません。それほどこの「ヘタウマ」という言葉はなんとなく漂うような言葉なのですが、今和田誠さんが亡くなってしまわれたことを思うと、皆が恐縮して聞けないような話を振らせて頂き無謀ではありましたが本当に良かったです。

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