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1歳4ヶ月の生きた文法

1歳4ヶ月の娘。ちょっとずつ一語を話すようになってきた。中でも、一番よく言うのが「どうぞ」。しかも、彼女の中では「もらう」も「あげる」も両方とも「どうぞ」になる。

ふと、彼女の世界は、すべてgive(与える)でつくられているのかもしれない、なんて思ってしまった。

もちろん正しい文法ではない。でも、僕が人形を持っていて、彼女が「どうぞ」と言う時、明らかに「ちょうだい」の意味なのだけど、

それは、彼女は彼女自身の目線からではなく、僕の側の目線から言葉を発しているのではないか、とも考えることができる。

まだまだ自己が薄く、主客未分の世界に住んでいる彼女の生きた文法としては、全く正しいのかもしれない。

というのもの、今、正しい、とされている日本語の文法も、単に「今、正しい、とされている」だけであって、そうじゃない日本語の文法も存在していいはずだ。

正しい日本語を知る前の、日本語以前の彼女の言語世界は、なんて豊かで、なんて素晴らしいのだろうか。

決して叶わないが、一度でもいいから、彼女の側から、彼女の生きる文法から、世界を眺めてみたいものだ。

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