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「ある日の継ぎ足しおでん」:生命のメルティング・ポット

もう一ヶ月以上になる。毎日、1~3回、クツクツと煮る。ホーローの鍋なので一時間位は温かい。食べていけば減るから、毎日の食事で余ったものを加えていく。最初は怖かったが、恐ろしくうまくなるのだ。クツクツやった時に少し余っているオカズを入れると良い。もちろん何を入れても良い。

年をとって料理ができなくなっていったら、この鍋は実に強い味方になる。
毎日食事の時に、クツクツと煮て食べれば良いのだ。魔法使いのお祖母さんが森の奥で作っている伝説があるが、あれは事実に近いものではないかと思う。カエルや蛇を入れても美味しいかと思うのだが(笑)。先日は鱈鍋の残りを入れた。

昨今は「ボーンブロス」などという調理方法が有るそうである。継ぎ足しおでんと同じ様な考え方である。「継ぎ足しおでん」の大事な所は、「急がない」ということである。圧力鍋を使ったり、「売られているスープの素」を使ったりはしない。顆粒だし程度は使うが、一番のダシは毎日いてていく肉鳥魚である。長時間あらゆる物をクツクツとやるのだ。僕の家の鍋もようやく一ヶ月である。やっと一人前というところだろうか。底の方には何だったのかよくわからない物が沈殿している。レバーや牛すじ、芝海老の破片、このまま何年も続けられたら面白い。
家をあけるときは冷蔵庫に入れれば良い。やっぱ、腐敗は困る。一旦加熱すれば、ブドウ球菌やレンサ球菌さえも、鍋のに受け入れられる。生命が溶けて一つになる。
高い温度にさらさないことで、美味しさが担保される。昔は、圧力鍋を使ったりしたが、使わないほうが美味い。しかし、時間がかかる。「あれ、味が変わった」と思うまでに一月はかかった(笑)。魔法である。

サバ缶なども良さそうだがまだやっていない。今度余ったら入れてみよう。魚の煮付けは入れたことがある。先日はスパゲティのミートソースを入れた。イワシが焼いて余っているので、明日入れてみようかと思う。
手羽先は焼いてから、モツは茹でこぼして煮てから加えると良い。野菜も味に深みが出る。スープが減ってきたら、味噌汁なども加えると良い。

今日は昨日作ったハンバーグを入れた。デミソースである(笑)。ナへの味に馴染み美味い。
昨日は、薄揚げと木綿豆腐を入れた。
数日前の熊のモモ肉がとろりとしている。クジラの大和煮を思い出した。さすが還暦。
手羽先のネギ焼きである。野菜も溶けていくのが凄い。焦がした醤油が味わいを深めていく。
すこし前に炒めたあとでマルっと入れた手羽先である。手羽先がこんなに美味いというのは実に嬉しい。しかし、時間と手間のかかる料理である。
モツは、2回ほど茹でこぼして、薄味で数時間煮ると臭みが飛ぶので美味しい。食べていると柔らかく、少し縮んでいる。あまり強烈な油は避けてみた。
さつま揚げは安売りになっているものは買う。木綿豆腐とゆで卵が実に嬉しい。今日は、ピータンを入れた。
ニンニクを数カット入れた。あっと言う間に溶けてしまう。味わいに何かを付け加えてくれるのであろう。
ゆで卵はいつの間にか食べてしまう。
お正月の冷凍タコに、キャベツと豚肉の炒めである。
手羽先は何度も入れている。骨ごとジックリ煮えるから素晴らしい味わいが出てくる。骨も関節周りはみな溶けてしまっている。体に悪いわけがない。
イカと里芋の煮付けを入れた。里芋は食べた記憶がないくらいであった。
牛すじである。平べったい皮のようになる。
手羽先がホグホグになっているのが分かる。圧力鍋などではこの旨さは出ない。
2月10日、恐る恐る芝海老を入れた。赤いウインナーも見える。
随分早い時期、まだ「おでん」と言う名前にとらわれていた(笑)。


厨房研究に使います。世界の人々の食事の価値を変えたいのです。