![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/69019695/rectangle_large_type_2_9a501eb1a2ff0401d65e8996beee97e5.png?width=800)
「ガープの世界」:When I'm Sixty-Four 64歳まで生き延びれたら.....
生涯に一度しかセックスをしなかったジュニー・フィールズの子供ガープの物語である。意識なく死ぬ直前の敵兵士(一等軍曹:TS)の勃起したペニスに跨り受胎した。脳を損傷していた彼は「ガープ」としか言えなかった。とんでもない物語の発端である。
![](https://assets.st-note.com/img/1641096524209-7a0cCLkTP1.png?width=800)
浪人時代に、ちょっと上品なオッパイに惹かれ、古本屋で買った月刊プレイボーイで「始まりの一章」を読んだ。映画の公開はその後であった。
![](https://assets.st-note.com/img/1641096602069-GebTKLIP3h.png?width=800)
人生というのは恐ろしい。血まみれで生まれてきて、欲望に満ちた身体の命じるままに、殺し、犯し、傷つけ生きる。この映画では、欲望を満足させう単位としての「家族」を描いている。
スキあれば誰彼なくセックスをするのは「生命の律」である。性別関係なく、動物だろうが植物だろうが愛をささやくのだ。マイクロバイオームが求めて身体というコロニーを動かしているのだ。
犬が、人の足に交尾を迫るのもヒトが猫に頬ずりするのも『間違えている』わけではない。それが身体を統べる「蟲」の求めるものなのだ(笑)。
![](https://assets.st-note.com/img/1641113574814-MhApva8EXu.png?width=800)
![](https://assets.st-note.com/img/1641097067246-ikle1giDZm.png?width=800)
「性」を閉じ込める檻としての家庭が失われた時代の象徴である。今につながる多くの関係性の変化が描かれる。女性解放運動のうねり、レイプされ舌を切られたエレン、自ら舌を切り取る女性、登場人物は皆何かを失っている。
![](https://assets.st-note.com/img/1641096771698-zcEwoTCSzN.png?width=800)
![](https://assets.st-note.com/img/1641105215102-f6wKkBe5x9.png?width=800)
そしてベストセラー作家になった「ジェニー・フィールズ」は傷つき苦しんでいる「人生の患者」を受け入れる。
そして寛解、新たなる喪失。物語は終盤へと一気になだれ込んでいく。
![](https://assets.st-note.com/img/1641097141044-VXELMhOX2D.png?width=800)
欲望はピンポイントで相手を選ぶ。ヒトは自分の欲望に操られる時、マイノリティとなるのだ。
物語ではマイノリティに対しての暴力が繰り返し描かれる。しかし、どこにも「その他大勢」は描かれていない。そうなのだ、観客の視線が「マジョリティ」なのである。自分が、ガープではないことを気が付かせてくれる。
見ていることがつらい。やがて、訪れる物語りの終わりに観客はひとり取り残される。マジョリティとは、傷つかない所から他人を見捨てる視線なのだ。そして、いつか自分がマイノリティである事に気がつくのだ。
![](https://assets.st-note.com/img/1641121685697-1S0jYaUWXH.jpg?width=800)
![](https://assets.st-note.com/img/1641112838722-fdDp3eoj9X.png?width=800)
![](https://assets.st-note.com/img/1641096942016-5NIjHbLtyH.png?width=800)
ジェニー・フィールズは患者を「外傷組」「内蔵組」「自失組」「冥府組」と分けた。しかし、ガープによればこの世界では我々は全て死に至る患者なのだ。
![](https://assets.st-note.com/img/1641097197438-LVkUQML799.png?width=800)
小説の最終章では全ての人々の落ち着き先が描かれる。僕はここが大好き。
血なまぐさい物語が透明感のある語り口で綴られる。
すべての血は死によって浄化されるのだ。
![](https://assets.st-note.com/img/1641113865559-silSK1tCCV.jpg?width=800)
この映画を見て「When I'm Sixty-Four 64」って恐ろしい曲だなと思ったのは僕だけだろうか。今年3月で62歳になるから残り2年である。
所でなんで64歳なんだろうか。あちらでも年金は65歳からであろうか。作曲された当時は「年金=平穏なリタイヤ」を意味していたのだろうなあ。
あまりに凄まじくて、サンリオの日本語版を読んだ。
ジョンアービングさんの映画化された作品も随分見たが、この映画にはかなわない。小説の下巻の最後のエピローグだけでも読んだほうがいいと思う。素晴らしく好きだ。
人生もエピローグが大切である。自分では見ることが出来はしない。大切なものは、見ることが出来ないものだ。
![](https://assets.st-note.com/img/1641097420415-NmKrkjOXQh.jpg)
1982年の映画、東京の名画座で見たはずである。
ロビン・ウイリアムズさん大好きである。だいたいどのも映画も好きだ。
ジュマンジも大好きだ。魂の成長の物語である。良質のタイム・パラドックス物でありながら何ら破綻していない。ラストにはいつも泣く。どうしようもう泣きそうである。ああ、見てみようかな。名作である(続編は止めておいたほうがいい、僕のようにロック様好きならいいが)。
グッドモーニングベトナムも大好きである。人間であろうとして、人々と接しながらも、彼らの生活を破壊する側の一員である事の矛盾。しかし、一番はガープの世界である。
暴力に満ち満ちた世界、喪失、生きる歓びと裏切り、死に至る患者たち。2014年8月11日に自殺してしまった。彼もうどこにもいないと思うと、悲しい。娘さん(ゼルダさん)の悲しみを考えるといたたまれない。
カンントリー風だとまた違った味わいがある。64歳まで生きれるといいね。
![](https://assets.st-note.com/img/1641097639468-NksroqVElz.jpg?width=800)
厨房研究に使います。世界の人々の食事の価値を変えたいのです。