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格差の方程式:「ロンゲストヤード」の時代

どうしても上司に納得がいかない時、自分の生活を人質にされて忖度して生きなければならない。「うつ・統合失調症」だと診断され、「世の中がおかしい」と感じるのは「病気」だと薬を処方される。

精神病の診断と投薬は『奴隷を縛る首輪』なのだ。格差はいつの時代でも存在したが、今の時代ほど大きくなった時代はない。そして、上が格差を見せびらかしているから事は厄介だ。

長いものに巻かれれば楽だ。忖度して誰かの奴隷になるのを仕事と割り切るのもいいだろう。パワハラ・セクハラの現代だからこそ見るといい。

自分の一生より大事な1ヤードが有る。それを気が付かせてくれる映画だ。

僕は、今の世の中が間違えているとおもう。こんなに格差が固定化され、世襲される世界は、多くの遺跡文明のようにテロで滅びる他ない。

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バート・レイノルズさんは大根役者である。何を演じても皆同じである。どの映画も設定を聞くだけで結末まで決まっている。ところが、この映画は違う。初めてみたのは恐らく高校の頃、その後彼の主演作をみたが、この映画以上のものは見つけられなかった。

ロバート・アルドリッチ監督という方は僕の大好きな方だ。この映画は、アルドリッチ映画なのだ(注)。刑務所映画としても秀逸である(注)。

そして、バート・レイノルズさんにしか演じることが出来ない映画であることは間違いない。様々な「ピンナップ映画(「いい顔俳優」を眺めて嬉しい映画)」が皆この映画につながっていたのである。

最近、「ラストムービースター」と言う映画を見た。彼の人生の集大成である。自分自身として生きることがこんなに難しい時代に、生きる勇気をもらえる映画である。ロンゲストヤードをどうしても見直したく成ったので借りてきた(笑)。

実質的にこの記事の続きです。

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ポールクルーは嫌な奴

主人公はポールクルーというアメラグのスタープレイヤーである。しかし、潰しが効かない。自分の持って生まれたものでトッププレイヤーに成った男である。楽に人生を贅沢に生きることができればいいだけなのだ。俺様野郎である。

引退して8年目、フットボールプレイヤーとしての自分(の特権)に未練が有る。しかし、もはや過去の栄光に愛玩されるだけの「金持ち女のペット」として生きている。冒頭でその女の自動車を盗んだ罪で刑務所に送られる。いかにもゲスな野郎であることがわかる。

物語の中でも八百長をして引退したのではないかという描写が有る。

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入った刑務所の所長は、看守も囚人も皆を支配する。クルーにも自分に従うことを要求するのだ。

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アメラグには興味がないと拒否する。刑務所は特別な世界だ。上に忖度しない人間は徹底的にいびられる。この辺は、今の社会を見ているようだ。人事評価という首輪をつけられて、生きる奴隷は辛い。

教室における教師、会社の上司、家庭の親、閉じたコミュニティで誰かの上に成ったら、好き放題するのは人の常である。

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重労働でいびられる。反抗するが、勝てるわけがない。権力者に忖度する道を選ぶ他ない。一人の老人と知り合うのだが、彼は30年前に所長を殴ってここから出ることができなくなってしまったのである。

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囚人チームを作ってセミプロとして登録して「仕込み時合(八百長)」をすることになる。そうしたら釈放される約束をもらう。

ここからが楽しい。チームが出来ていくのである。チーム作りの面白さは、この手の映画の大事なところである。

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此処から先は見て頂戴、まだ半分くらいのところである。この後ポールクルーさんが本当に守らなければならない物を見つけるのである。権力に忖度するのではなく、自分自身を見つけるのである。

見るといい。絶対にすばらしいから。

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かつて僕は労働組合の委員長だった。

20年前に鉄工所で働いていた。組合の委員長だったのだが労組の委員長は委員長の任期を終わると、事務所に入って課長代理になるというのが暗黙の了解事項だった。

僕の2つ前の「Kさん」は例外だった。現場から事務所にはいけなかったのだ。徹底的に工場長や部長と戦ったのである。

長い社歴の中で彼だけが現場にずーっといた。そんな前例見せられたら誰でも、工場長の言いなりになる。

上に忖度することは、決して映画だけのことではない。逆らってハッピーエンドになるのは映画だけかも知れないが。

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アルドリッチ監督は最高だ

この映画のチラシの煽り文句の「ダーティイレブン」というのはアルドリッチ監督の「特攻大作戦 The Dirty Dozen (1967年)」に引っ掛けていたのだろうなあ。映画の中にもどこに見出てこない(と思う)。宣伝マンの愛が感じられる。

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しかし、アルドリッチ監督って好きだなあ。

【必見アルドリッチ ベスト3】
北国の帝王 Emperor of the North (1973年)
ロンゲスト・ヤード The Longest Yard (1974年)
カリフォルニア・ドールズ ...All the Marbles (1981年)  遺作
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飛べ!フェニックス The Flight of the Phoenix (1965年)
特攻大作戦 The Dirty Dozen (1967年)
合衆国最後の日 Twilight's Last Gleaming (1977年) -
何と65歳で亡くなっているのだ。
ハッスル Hustle (1975年)<——二人は組むのだけど、これは未見

遺作のこの映画最高に好きだ。長くレンタルに出ていなくてDVD買った。プロレスの興行という権力関係に向き合って行くマネージャーと、二人のレスラー。愛の映画である。バート・ヤングがゲス野郎で出ている。実に上手い。ロッキーで当てたのはスタローンだけじゃない。

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刑務所映画

こういうジャンルが有るかなあ。刑務所に送られてそこでドラマが生まれる系の話である。もっとありそうだが、思いつかない。社会の縮図として描かれている。

僕が好きなのはこの3本

『暴力脱獄』1967年
『サード』1978年(日本映画)
『ショーシャンクの空に』1994年

暴力脱獄は素晴らしい。これも見るといいとおもう。

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注)始めてみたときはどえらいショックを受けた。

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僕がこの映画を見たのは多分、1976年2月28日だとおもう。できの悪い僕は地元の進学高校には入れなくて新潟の明訓高校という学校に通っていた。繁華街には名画座が有り。時折通っていた。まだ16歳である。

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厨房研究に使います。世界の人々の食事の価値を変えたいのです。