見出し画像

幸運な病のレシピ:「野菜炒め」

野菜の「栄養価」を調べるとなんとも少ないことに驚く。そんなに価値のないものなのかと寂しくなる。モヤシなどはまるでゴミ扱いだ。ちょっとおかしいと思う。食材の中には食品成分表に記載されている「栄養素」しか無いのだろうか?


食品成分表に記載されている栄養素はそもそも「欠乏症」をもたらすことが実験的に確認されたものばかりである。脚気や鳥目や壊血病にならないことはたしかに嬉しい。けどね、僕っらが今恐ろしいと思っているものは別なものだ。

野菜は畑から「水」を持ってきてくれる。細胞の中や外に水はたっぷりはいっている。細胞は脂質の膜で出来た水筒だ。中には数億から数十億の蛋白質や脂質が溶け込んでいる。「水=医学が分析できない代謝物の溶け込んだ水溶液」こそが生命なのだ。そして数限りないマイクロバイオームが同時に溶け込んでいる。生命が食事によって受け継がれる。

根菜はスゴイ、光が当たらないので葉からのデンプンを利用して自分を構築する。そして水を吸い込み、マイクロバイオームを受け入れる。窒素を固定してやがて動物のタンパク質の源になる。

糖質は毒ではない。あらゆる生命にとって重要すぎるのである。そしてコスト安く満腹になるから食卓から大事な生命を押し出してしまう。

画像1

問題は美味しく作ることが難しいということだ。特に野菜煮ないこと。

炒めていく時に、野菜から水が出てきて鍋底に溜まると「煮込んでしまう」ことになる。温度が100度を超えなくなるのだ。

野菜(葉物)は煮込むと美味しくなくなる。野菜の組織は壊したいが、細胞はできるだけそのままに食卓に持って来たい。野菜の種類によって加熱の仕方は変えなければ上手くない。入れる順と加熱の時間が鍵になる。温度はいつも最高温度で行く。

油が素材をコーディングして、鍋にあたってる部分は300度とかになっていると思う。頻繁に上下を返すことで一瞬素材の外側を沸騰させて上に戻して冷ます。水分は飛ばして、外側を壊して中の細胞を活かす。

スクリーンショット 2020-06-21 15.12.01

タマネギはずっしりと水を持ってきているから一番先に入れたほうがいい。

折角運んできてくれている「水=生命」をとせっかくの水に溶け込んでいる「生命」がばらばらになる。

最低限の加熱で植物を守る「アク(動物が嫌う化合物)」を抜いてしまうのだ。モヤシや玉ねぎは匂いをかいて嫌な匂いがなくなるまで加熱したほうがいい。


画像3

味付けは別鍋でジックリと焼いた肉につけてみた

ぼくが小さい頃、母は、肉を先に焼いてから同じ鍋で野菜を炒めていた。油の少ない肉でそうすると、固くなってしまうし、野菜もあまり美味しくない。

無論、挽き肉の油を出して、チリチリにしてから玉ねぎをじっくり揚げるように炒めるときは肉が先で同じ鍋でも美味しい。一概には言えない。

今回のキャベツのおいしさを持って来たい野菜炒めのときは別な小さいフライパンでジックリと肉を炒めて油を出して生姜、人参、椎茸でソースを作った。砂糖と醤油で最後に日本酒を入れた。

スクリーンショット 2020-06-21 15.11.49


画像7

過去の記録を見るといつもなにか野菜を炒めている。とにかく、素材を見て炒め方を考えると楽しい。

画像6

2019/11/24 白菜と牛肉でトロミを入れた。

八宝菜風である。海鮮も入れることが多いスープを加えてとろみを付けるが炒めてしまうところまでは一緒。



2019/07/03


2019/04/16 酢豚風にするときはまた違う


2019/03/16

麺と絡めて食べることも多い。とにかく野菜は美味しいスープになる。


画像2








厨房研究に使います。世界の人々の食事の価値を変えたいのです。