日本サッカー界は“カッコ良さ”を伝えられる若き才能を待っている Nishina Takaさんインタビュー
みなさん、こんにちは。ヨコハマ・フットボール映画祭note公式マガジン第28回を担当します、スタッフの澤野です。よろしくお願いします。
ヨコハマ・フットボール映画祭 2021(チケット好評発売中!)の会場内ギャラリーにて、フットボールカルチャーを愛する皆さんとの交流の場、フットボール・エキスポ 2021が開催されます(ギャラリーは入場無料)!
そこでヨコハマ・フットボール映画祭note公式マガジンでは、フットボール・エキスポ 2021へ出展される方へのインタビューを実施し、読者の皆さまへお届けします。
今回はフォトグラファーのNishina Takaさんに、Jリーグクラブのシャツをはじめとした日本のフットボールカルチャーの魅力を発信する Young,Gifted & J(ヤングギフティッドアンドジェイ)の活動についてお話をうかがってきました。
(2021年9月15日 オンラインにて取材)
日本のフットボールカルチャーに足りないもの
ーー Young,Gifted & J って、声に出して読むと独特な響きですね。
Nishina 今年の3月に僕が一冊のZINEを作りまして。そのタイトルが『Young,Gifted & J』なんです。内容としては、日本のフットボールカルチャーを盛り上げようと活動をしている、僕に近い年代の人たちを取材してまとめたものです。
僕は平日別の仕事をしているのですが、週末はカメラマンとして活動しています。そこで撮りためた写真やインタビューさせていただいた方の写真をZINEに載せています。
アレサ・フランクリンってご存知ですか?1970年代に活躍した女性の黒人歌手で、彼女の曲『Young,Gifted and Black』がZINEのタイトルの由来になります。
曲自体は黒人賛歌と呼ばれるもので「若くて才能ある黒人たちよ、もっと自分たちを誇りに思おう」という、黒人差別への抗議の意識が高まっていった時代の名曲ですね。
ーーBlackのところを“J”にされたんですね。この“J”の意味合いはなんでしょうか?
Nishina Jリーグの“J”であり、ひいては“日本人たち”を指しています。
これまで自分の周りでは「世界のサッカーの方がカッコ良くて、Jリーグはそうでもない」と言われている印象があったんです。
僕自身は高校までサッカーのプレーヤーでしたし、子どもの頃からサンフレッチェ広島のファンでもあったので、観戦するのもずっと大好きだったんですね。
でも中学・高校の友人たちは「海外のサッカーは観るけど、日本のサッカーはつまんない」「そもそもカッコ良くないから観ない」という反応が多くて。その時はまだ何となくそう感じていただけなのかもしれませんけど。
社会人になると、ユニフォームやSNSなどのいわゆるビジュアルの部分、アウトプットされて目に入るものが「Jリーグと海外のトップクラブではカッコ良さのレベルが違う」という話になって。
ーー周りの皆さんが仰ることも、一理あるなと?
Nishina 僕は「いや、そんなことないでしょう」と考えたんです。もちろん全体として見ればまだまだかもしれませんが、日本のフットボーラーや若いクリエイターたち、イケてるものもめちゃくちゃあるじゃないかって。
カッコ良いでしょ、という見せ方をしていないだけ。うまく表現しきれてないというか、伝えきれてないところがある。そこに海外の方がカッコ良いって言っている人とのギャップが生まれてるんじゃないかと。
その表現の仕方を変えていきたいという想いが、Young,Gifted & J の活動の原点かもしれないですね。
サッカーには色んな楽しみ方がある
ーーいつ頃から、どんな形で活動を始められたんですか?
Nishina 最初は海外のユニフォームのスナップ写真を日本で撮るというのをやっていて、趣味の延長線上でInstagramに載せ始めたのが2018年頃です。Jリーグのユニフォームで撮りたい想いはもちろんあったんですけど、当時はいきなりすぎて受けないかなと。
海外ではイケてるスナップ写真が結構出始めていた時期で。僕もまずそれを真似てみた感じです。しばらくしてJリーグのユニフォームのスナップ写真も撮るようになりました。
ーー反響はいかがでしたか?
Nishina 日本で当時あまり見ないものだったので、そういうサッカーの楽しみ方って面白いよね、という人が結構いらっしゃいました。
同じような考えの方からInstagramやTwitterでDMをいただいて、仲間や友人になる人が増えたんです。僕いま27歳なんですけど、若い人も40代とかもっと上の世代の人も、早い段階から興味を持ってくださって。
何か面白いことをやっている若い世代がいる、というのが目にとまったのだと思います。
ーーその後はどんな活動を?
Nishina SNSを通じて知り合った仲間たちと2019年頃からJsnaps(ジェイスナップス)というコミュニティを一緒にやるようになって、そのアカウントでもJリーグのユニフォームを使って写真を撮り始めたんです。
そのメンバーのうちの一人が、やたら行動力があってコミュニケーション能力もめちゃ高くて、色んな方面の人たちと繋いでくれまして。
2020年の6月にNew Balanceのプロモーションビデオに起用して頂くことになったんです。僕ら以外にも、当時高校生だったサッカー選手や別のコミュニティの方も出演されています。
ーーアルビレックス新潟の小見洋太選手と、鎌倉インターナショナルFCの河内一馬監督じゃないですか。この方たちにJsnapsも加わったPVなんですね。これはすごい!
Nishina ありがとうございます(笑)
Jsnapsのメンバーは、ZINEの『Young,Gifted & J 』の制作にも参加してくれていて。150部作ってWebサイトの通販だけで100部売れたんですけど、その販売を経てJsnapsの活動がさらに盛り上がってきまして。
スペインのバレンシアにEquipo.さんというフットボールコミュニティがあるんですけど、ユニフォームを使用したリメイクバッグを制作されてるんですね。今年の夏に僕らもコラボさせていただいて、Jリーグの古着ユニフォームでバッグを制作したんです。
想いとしては、サッカーってプレーや観戦だけじゃなくてファッション的な要素を取り入れたりとか、色んな楽しみ方があって良いよね、というのがあります。
ユニフォームはプレーヤーやファン、サポーターにとってとても大切なものですが、こういう活かし方や楽しみ方もあるんだということが皆さんに伝えられたら嬉しいです。
Jリーグのカッコ良さを、ヨコハマから
ーーリメイクバッグはフットボール・エキスポで展示されるのでしょうか?また、今回の出展にあたっての抱負もお聞かせください。
Nishina はい、Jsnapsのリメイクバッグは何点か置かせていただく予定です。その他では、Jリーグのクラシックユニフォーム、主に1990年代から2000年初期のものを使ったスナップ写真の展示を考えています。
今年の4月にJリーグが海外のファンの方に向けて発信したプロモーション動画があるんですが、それがめちゃくちゃカッコ良くて。
でもこれって、日本人が発信してカッコ良く見せてるんじゃないんですよ。海外の人が「Jリーグイケてるでしょ」という感じで発信してて、実際カッコ良いんです。
それを見た時に、何でだろうっていうか、違和感というか悔しさというか、何かいろんな感情が湧いてきたんですね。
Nishina なので僕らの展示をご覧いただいて「Jリーグってカッコ良いところあるじゃん」「日本人が作品を作ってもイケてるじゃん」と思っていただけたらすごく嬉しいです。
トップレベルのカッコ良さを感じてもらえなくても、僕らのような想いを持った人がいるのを知ってもらって、一緒に何かやろう!ってなったら楽しいですし。
「アイツ大したことないな、俺の方がもっとカッコ良くできるよ」という人がいればぜひその人の作品も見てみたいし。フットボール・エキスポがそういうきっかけの場になることを、すごく期待しています!
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穏やかで優しい語り口のNishinaさんは、日本サッカーを長く深く愛するがゆえの熱い想いを胸に秘めていらっしゃいました。志を同じくする仲間たちと出会ったことで、次々と広い世界への扉が開けていくさまに眩さを感じます。
ここ1~2年の間にJリーグクラブが制作するアパレルやグッズもずいぶんオシャレでカッコ良いものが増えてきました。昔のJリーグのイメージがまだ記憶にある方には、隔世の感があるのではないでしょうか。
Nishinaさんの、カッコ良い見せ方にこだわった写真の数々をご覧になった皆さんがどんな感想を抱かれるのか、そしてそこからどんなコミュニケーションが生まれるのか、今から楽しみです。
最後までお読みいただきありがとうございました!
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