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研修機関やカルチャーセンターに「大学」という名称を付けることはできるか?

学校教育法第135条には,次のような規定があります。

第135条 専修学校、各種学校その他第一条に掲げるもの以外の教育施設は、同条に掲げる学校の名称又は大学院の名称を用いてはならない。
② 省略

第146条 第百三十五条の規定に違反した者は、十万円以下の罰金に処する。

学校教育法

この条文にある「第一条」は,学校の種類を法定した規定です。

第1条 この法律で、学校とは、幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校とする。

学校教育法

つまり,大学を勝手に作ることはできず,作ることができるのは,基本的には国(国立大学法人や国立高等専門学校機構を含む)か,地方自治体(公立大学法人を含む)か,学校法人に限られているのです。

一方で,「カレー大學」というものが存在します。

こちらは,株式会社 カレー総合研究所が運営するカルチャースクールのようです。

学則もあり,学部と大学院もあり…となかなか本格的な組織になっています。

大阪の梅田には「ラーメン大学」という名前のラーメン屋さんも存在しています。

ラーメン大学の方は,飲食店であり,教育施設ではないことが明白ですから,学校教育法第135条違反にならないことは明確ですが,「カレー大學」の方はどうなのでしょうか。

「カレー大學」のサイトから判断するに,この「カレー大學」は一種のカルチャーセンターのようなものと考えられます。カルチャーセンターはこの法律でいう「教育施設」なのでしょうか。

学習塾や予備校,スポーツクラブなどは社会教育施設であるという考え方も多いようですが,どの施設が社会教育施設にあたるかを確定的に示した法律や定義はないとされており,明確な境界線を引くことは難しいとされています(岡田,2016)。一方,社会教育施設という場合には、カルチャーセンターや個人教授所(茶道や華道等の個人教授が行われる個人宅等)等の、民間で営利的に提供される学習機会は意識されていないことが通例であるともされており(鈴木,2006),この場合は「カレー大學」も社会教育施設には当たらない=教育施設には当たらないことになり,学校教育法第135条の適用はないことになります。

しかしそうだとすると,例えば社会人向けの研修を提供する会社が大学に酷似した研修コースを開設し,修了者に学士号類似の資格を発行しても,「学校教育法でいう『教育施設』ではないので学校教育法第135条の適用はない」,という論法が成立してしまいます。そうなるとこの条文が設けられている意義がそもそもなくなってしまうようにも思いますが,いかがでしょうか。

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