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最近、いろいろ繋がってきた-監査役のつぶやき.3 

今週、二回ほど社内研修で話をする(昨日と明日)。その研修では、この画像で示したような「最近、いろいろ繋がってきた」という話を導入部分で使った(使う)。

「勉強会」という言葉を使わないようにした。「勉める、強いる」という言葉よりは、一緒に学ぶというスタンスの方がいいかな、と。そういう意味で、このリンク図にある言葉に、重要なものを置いてある。それは「環世界」であり「認知的多様性」或いは「集合知」、そして「Free Flat Fun」。環世界とは、「すべての動物はそれぞれに種特有の知覚世界をもって生きており、それを主体として行動しているという考え(wiki)」であり、それは人間にも当てはまる。他人が自分と同様と考えては失敗する。だから認知的多様性の尊重や集合知の活用が大事だし、相手に対して(押しつけではなく)Flatに接することで、価値が循環していく。一方通行ではなく、インタラクティブに、講師側も受講者のコメントから学ぶ。そのスタンスで、少なくとも昨日は受講者から好意的なフィードバックを得た(ように思う)。明日はどうだろうか。明日の方がチャレンジかな。

昨日、結構びっくりしたのはセカオワのHabitの歌詞を受講者が皆知っていたということだ。「自分で自分を分類するなよ」というところに、属性で判断しがちな世の中に対するアンチテーゼを感じた私。でもそれ以外にも「説教するってぶっちゃけ快楽」「でもwin-winじゃん」は微妙だけど確かにそうかも、と。韻が面白いけど「所詮あなたはgifted 私は普通の主婦ですと」も、そのあとの詩の展開が面白い。

yoasobiにしてもヒゲダンにしても、彼らの才能に刺激を受けている。明日のプレゼンには「はいはいあなたは特別です」という言葉も入れてある。迎合ではないけど、受けを狙ったのは確か。まあそれはどうでもいい。yoasobiで好きなのは、「誰かが描いたイメージじゃなくて、誰かが選んたステージじゃなくて」からのフレーズ。いいよね、そうだと思う。

環世界という言葉を初めて聞いたのは、mizhenの藤原佳奈からだった。「小町花伝」という芝居(能の「卒塔婆小町」を題材としたもの)を吉祥寺でたまたま観て、このユニットの才能に強く興味を持ったのが4年前だったか。「もし、 あなたから見る世界が、 わたしにも見えたなら、 もし、 わたしから見る世界が あなたにも見えたなら、 あなたとの境界がなくなって、 溶けてしまうことができるのでしょうか」というのが「溶けない世界と」という彼女の作品(チェーホフの「かもめ」が題材らしい)。頭の片隅にしまわれていたその言葉が、「暇と退屈の倫理学」で語られ、ムクムクと私の脳内を増殖し始めた。人間は想像を通して異なる環世界を行き来できるが、その自由さが故に一つの環世界に浸れず退屈する、という話。それはそれでなるほど、なのだけれども、それよりも多様性の文脈で脳が影響を受けている。

ちなみに、リンク図の左上の「演劇スナック」というのは、世田谷の某所でこのmizhenのメンバーが週に一日、開いていたもので、そこでいくつもの出会いがあった。能楽師の安田登さんの話(あわい=現実世界と異界をつなぐ存在としての「シテ」など)をここで聞く機会もあり、How to art-thinkingの著者で今ではメタバースクリエイターとして活躍する若宮和男さんともここで知り合った。

若宮さんのNote(或いは日経コメモ)記事は興味深く、Voicyも聞いていた。耳から入ってくる情報は、結構頭に残る。ヤフーの伊藤羊一さんの話は、「中小企業リーダーズサミット」というウェビナーで聞いて面白いと思い、Voicyでも聞き始めた。彼の「一分で話せ」はAudibleで運転中に読破(ではなく聴破?)しその後著作も読んで復習。山口周氏の話もVoicyではちょうどいい長さで、脳内に蓄積される。

山口周氏は、カゴメの有沢常務(最高人事責任者)との対話をオンラインで聴取してからその存在を知った。「知的戦闘力を高める独学の技法」という著作も参考になっている。有沢君は小6からの知り合い(中高の同級生)で、最近は人的資本経営に関して様々なところで話をしている。来年、監査役協会の部会で話をしてもらう予定。週末暮らしている諏訪郡原村の隣に富士見町があるが、カゴメの富士見ファームで働く人たちがイキイキしていて、カゴメの「サステナブル人事」が機能していることを体感した。旧知の彼の知見から、何か得られるものはないか、経営に活かせないか、そんな思いがある。

NewsPicsの動画も面白い。ホリエモンと和田秀樹の対談もなかなか。和田は、灘の同級生の中では決して人気がなく(その点、故勝谷誠彦とは対極だった)、私も彼の話しぶりは決して好きではないが、それでも言っていることの中に本質を突くような内容がある点は認めたい。AIの社会に対する影響という点で、これからの世界を読み解くのに重要なポイントがいくつかあった。ChatGPTをどう活用するか、活用した後のリスクマネジメントは、といった課題は、監査役員としても避けて通れないものだ。

こうやって、繋がってきた様々な事柄は、仕事も含めて、生きていく中で何か影響を及ぼしてくる。そういったインプットをどうアウトプットするのか。ようやくインプットに流れができてきた今、アウトプットが課題であって、その後更にどうインプットできるか、それを試行錯誤していきたい。

「言葉はまるで雪の結晶」(subtitle byヒゲダン)で、「時間が経ってしまえば大抵」溶けて消えてしまう。なかなか「最高の一言一句」は見つからないけどね。

奴隷の哲学者エピクテトスは「心象に拉致されないように」と説く。無意識のうちに、事実の認知以上の誤った価値判断に走ってしまわないように、ということ。アンコンシャスバイアスに囚われがちな現代の私たち、心しておきたい。




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